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鈴木美加子のグローバル人材塾

寒いのに痩せ我慢しなくて大丈夫! 鍵はアサーティブネス2016.11.29

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。

アサーティブネスという概念が日本に導入されて17年になりますが、自分の意志を英語で上手にはっきり伝えること得意でしょうか? 本日は英語人相手に英語を話すのであれば、「英語人マインド」で明確に話さないと通じないという実例をご紹介します。

先日ある大手日系企業で、外国人向けに企業研修をしていた時のことです。
私は研修会社のセールスの女性と一緒でした。彼女はTOEIC850点くらいはあるんだろうなと思わせる英語を話します。 ただ、マインドはかなり日本的かもしれません。つまり、行間を相手に読んでもらいたい日本人なのです。 

 

その日は雨で気温も低く、寒い1日でした。日本人だけなら当然、暖房を入れるだろうというお天気でした。 ところが、この日の参加者は欧米育ちの若い男性ばかり。 チャイニーズ・アメリカン、ジャパニーズ・カナディアンなと、アジア人の血を持って生まれてはいますが、エアコンを強くかける環境で育っているので、アジアで生まれ育った人達と、皮膚感覚が全く違うアジア系欧米人で要は白人男性と同じです。(低い温度を好むという意味です。)

その日、暖房のない部屋を寒いと感じる人は、セールスの彼女と講師である私の二人しかいない状況でした。 「いくらなんでも寒すぎませんか?」 と講師の私が言ったので、セールスの彼女が、参加者に声をかけてくれました。

”We are fine, but isn`t this too cold?”
”No, this is fine.” で終わってしまいました(苦)

まず、「私たちは大丈夫だけれど」という出だしは、先方がお客さんだから気を遣ったのだと思いますが、全く通じない残念な出だしだったと思います。”大丈夫ならOKだね”と思われて終わりです。欧米の文化には日本の「お客様は神様です」の発想は存在しないです。

”僕たちに気を遣ってくれているのかもしれない、We are not fine.なのかな?” なんて、行間読みには誰も走ってくれません。”ちょっと寒すぎませんか?”も、額面通りの質問と取られてYes/Noで終わります。まさか、”本当は寒いの、そこんとこ汲んでください”という意味が含まれているとは、夢にも思わないのです。

よく、英語力は結構あるのに、欧米人とコミュニケーションを取ろうとすると誤解が生じる話を聞きますが、まさに目撃した感じでした。率直さが足りないし、自分がどうしたいのか相手にどうして欲しいのかをもっとストレートに伝えないと、英語では通じないですね。文法や単語の問題ではなくマインドの問題です。

私はかなり寒くて、企業研修が立て込んでいる週に「ここで風邪を引いたら大変」という気持ちが働き、アサーティブネスのボタンを押しました。

”This is too cold for me.  I would like to raise room temperature a little for a while. Is that OK with you? If it gets too warm for you, just let me know.”

と自分がどうしたいのかをダイレクトに伝えました。

結果は、”Oh, OK. If you feel that way, go ahead.” で、想像通り何の問題もありませんでした。

みなさんが同じ状況にあったら、どのようなやり取りになりそうでしょうか? 何となく気を遣ってしまうでしょうか? このケースから確認できるのは以下の3つのように思います。

 

・ 日本以外の国でお客様は神様ではありません。
・ 英語人に「察する」「行間を読む」「空気を読む」習慣はありません。求めるとガッカリします。
・ 自分が何をしたいのかを、率直に伝えて大丈夫です。 NOと言って問題ありません。

ついつい「悪い」という意識が働いてしまう方のために、私が「あぁ、NOは伝えて大丈夫なんだ」とつくづく実感したオーストラリア人とのやり取りを、ご参考までにお伝えしておきます。

 

オーストラリアに住んでいた2012年、親友と美術館巡りをしていました。友が「ミッキー、その絵の前で写真撮ろうか?」と声をかけてくれたので、自分の後ろの絵を振り返って見ました。残念ながら自分の好みの絵では全くなく、思わず”No, thank you.  I don`t like this picture.” と口から出ていました。 膝までついてファインダーを覗いてくれて、あとはシャッターを押すだけだった友にさすがに悪いことをしたかなと、その後の彼女の様子を見ていましたが、別にどうということはないのです。彼女は良かれと思ったけれど、相手が望まないなら「あっそう、OK〜」で全く問題無しです。

 

英語力さえあればグローバルな舞台で英語人と渡り合えると誤解しがちですが、実際には考え方・マインドを変えるよう意識することが大切です。行間を読んだり空気を読んだりすることよりも、明確に自分の意志を伝える力がグローバル人材には必要です。

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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