Global Career Guide

転職活動は、ご縁とタイミング。この2つが噛み合わない限り、どれだけ実力があってもスムーズには進まないものです。特に8月は外資系企業の採用活動がスローダウンする時期。そんな今だからこそ少し立ち止まり、進め方を振り返ってみましょう。
今回は、転職活動がうまくいかないときに「すべきこと」「できること」を5つご紹介します。
うまくいかない状態で悩み続けていると、自信をどんどん無くしていきます。転職活動はまるでサーフィン。大波に乗り損ねた後は、しばらく“次の波”を待つ時間が必要になることもあります。
私自身、8回の転職経験のなかで学んだのは、「焦っても仕方がない時期がある」ということ。今すぐ職場を変えなければならない事情がないのであれば、いったん活動を止めて冷静さを取り戻すのも大切です。
迷いのループから抜け出して、自分の立ち位置や今の職場について、客観的に見直す良い機会になります。
やみくもに応募を続けるより、なぜ結果が出ていないのかを冷静に分析しましょう。
・求人内容と自分のキャリアのギャップ
・業界未経験として扱われてしまう
・理由がまったく分からない
理由が明確でない場合は、転職エージェントを通して企業側のフィードバックをもらいましょう。もちろん、正直に伝えてくれるとは限りませんが、「今後に活かしたい」という姿勢で聞けば、何らかのヒントが得られることもあります。
転職活動が長引いている人の多くは、「求人を見てなんとなく応募」している傾向があります。応募戦略が“受け身”になっていると、方向性にズレが生じがちです。
ハイクラス求人ばかりに応募しているのにマネジメント経験が少ない、逆に実力があるのにジュニアポジションばかり選んでしまう。こうしたギャップがミスマッチを引き起こします。
あるとき、ペット業界出身の方の転職をお手伝いしました。業界が狭く転職先が限られていたため、視野を広げて製薬業界を検討。商品開発の経験を活かし、現在は大手外資系製薬会社に転職成功されています。
「どんな会社・職種に行きたいのか」「自分のスキルは他業界でどう活かせるのか」を一度しっかり棚卸ししてみましょう。
外資系・日系問わず、JDと自分の経験・スキルのマッチ度を確認することは基本です。JDに「必須スキル」が5つ記載されていて、自分の履歴書がそのうち2つしかカバーしていなければ、書類通過は難しいでしょう。なにしろ“必須”なのです。
私は外資系企業で25年以上人事を担当しましたが、英文レジュメ作成や模擬面接でまず見るのはJDです。企業が求める人物像がその中にすべて書かれているからです。
特に英語での応募では、「応募前にJDを3回は読んでほしい」と強く感じます。ていねいに読み込み、Resumeやインタビューの準備に活かしましょう。
外資系を目指すなら、LinkedInの活用は必須です。企業の採用担当やリクルーターは、日々候補者のプロフィールをチェックしています。
英語で整え、「転職活動中」のフラグを設定しましょう。ダイレクト・ソーシングが増えている今、LinkedIn経由のスカウトチャンスも大きな可能性です。
特に「ヘッドライン」と「サマリー」は英文レジュメのSummaryに該当する部分なので、しっかりブラッシュアップを。
転職が停滞していると感じたら、それは「準備と軌道修正」のタイミングです。焦りに流されず、スキルと志向を整理し、自分に合った業界・会社・職種に絞っていくこと。そのプロセスが、やがてチャンスに繋がっていきます。うまくいかない時期は、次に進むための“静かな助走期間”に変えていきましょう。

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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。