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外資への転職理由をどう伝える?

転職の理由は人それぞれですが、外資の面接でどう伝えるかにはコツがあります。基本的に外資の企業文化はポジティブです。ネガティブな理由も、前向きな表現に言い換えて伝えることがとても大切です。

キャリア相談でよく聞く転職理由を、いくつか紹介します。

① 職場の人間関係

残念ながら最も多い理由です。元人事としては、できれば避けてほしい転職理由でもあります。

人間関係は双方向なので、面接官は「相手側に聞いたら、どう答えるだろう?」と考えてしまいます。つまりは候補者が言ったことを、そのまま信じることはないわけです。

また、現職の人間関係・職場の事情を正直に話しすぎる人は、入社したら今度は「うちの会社の悪口を言いそうだな」と敬遠もされますので、何か他の理由を考えた方が無難です。

② ワークライフバランス

働き方改革の推進で、今やワークライフバランスを労働者が求めるのは当然の風潮です。「働きすぎて体調を崩した」「自己学習の時間が取れない」といった具体例を添えれば説得力が増します。

ただし、「一生懸命働きたくない人」と誤解されないよう、月間残業時間が150時間など具体例を引用して、長く健康的に働くための前向きな選択であることを強調しましょう。

③ 給与

金銭的なモチベーションは自然なものです。感情的にならず、「市場水準との乖離」や「成果に対する評価」など、なぜ年収アップを求めているのかを客観的に説明できると好印象です。

外資ではお金の話をするのはタブーではありません。上司に当たる人が日本人の場合は、内定前の最終段階で、外国人の場合は2次面接以降、遠慮しないで交渉しましょう。相手に関わらず、まだ自分の人材としての価値を証明できていない1次面接で、給与交渉を始めるのは得策ではありません。初めて会う候補者の「価値」を判断するには、早いからです。

④ キャリアアップ

採用する側から見て理想的な転職理由です。「現職で多くを学び、一定の成果を出したので新しい挑戦をしたい」と伝えれば、常に向上心を持ちながらキャリアを真剣に考えており、自分のことだけではなく企業のことも考えられる人材は評価が高いです。実は「自分」のことばかりの候補者が多いのが実態なので。

部署が小さく昇進の機会が限られている、同じ仕事を何年も続けるのは自分の成長意欲に合わない、といった前向きな表現も好まれます。

⑤ 介護

最近増えている転職理由のひとつです。育児と違い、介護は時間とともに負担が増していくため、企業に伝えると自分が不利になるのではと迷う人が多いです

最近は、人事担当者自身も同じ課題を抱えているケースがあり、理解はあるので率直に話して大丈夫です。できれば急な変化に備えたバックアップ体制を整えておき、具体的に説明できると企業は安心します。企業は在籍期間が長い社員の、家族の状況変化には理解がありますが、新しく採用する社員の場合大きな負担を負っていない人が有難いと思いがちだからです。

⑥ 英語力を活かしたい

外資でも部署や職種によって英語の使用頻度は大きく変わります。外資に入社イコール、英語を毎日使えるではありません。上司やチームメンバーに外国人がどれほどいるか、海外の同僚と関わることはあるのかを確認することが大切です。

面接はお見合いの場。英語を使いたいことが明確なら、入社後の実情を具体的に確かめましょう。

転職理由は「現状への不満」ではなく、「次の環境でどう成長したいか」に変換できるかが鍵です。

あなたの「なぜ辞めるのか」を、「なぜそこへ行きたいのか」に変えた瞬間、面接での説得力は増します。秋の転職シーズン、工夫しながら乗り切りましょう。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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