Global Career Guide

外資系企業への転職は、「年収アップ」や「グローバルな働き方」を目指す人にとって魅力的な選択肢です。しかし実際に入社してみると、「想像以上に文化が違い、戸惑った」という声も少なくありません。
特に日本人が経験しやすいのは、“仕事の進め方”や“コミュニケーションスタイル”におけるカルチャーギャップです。本日は、日本人が初めて外資に転職した際、感じるだろう5つの「カルチャーショック」と、その乗り越え方のヒントを紹介します。
外資系企業の多くは、成果主義(performance-based)を採用しています。
日系のように「努力」や「勤続年数」また「残業しているか」を重視するより、“数字”や“インパクト”で評価される世界です。
努力しても結果が出なければ昇進は難しく、逆に成果を上げれば年齢に関係なく抜擢されることもあります。日系企業で仕事のプロセスに時間をかけて、完璧な成果物を作成するよう教育されている人は、かなり注意したいです。
✅ 対策ポイント
・周囲の目を気にして残業することをやめましょう。一定の時間で仕事を終了できないのは、仕事ができない人のサインです。
・上司とのミーティングでは、自分の成果を数値で示して(例:売上10%増、コスト15%削減など)、きちんと成果をあげていることをアピールする必要があります。
・上司が海外で同じオフィスにいなかったり、テレワークが多い場合は定期的に
(理想は週一、相手が多忙な場合は2週間に1回でも可)、1:1ミーティングをしてもらえるように頼みます。「きっと上司はわかっていてくれる」は危険です。
・「どんな価値を生んだか」を明確に言語化する
外資系では、自らイニシアティブを取り自分の仕事は自分でマネジメントできることが求められます。優秀な上司は細かく口出しせず、権限を以上できる人なのです。部下も上司のマネジメントスタイルに合わせて、自分で仕事を進められる人になることが大事です。
とは言え、成果が出なくては評価が下がってしまうので対策を考える必要はあります。
(次の項目で説明します)
✅ 対策ポイント
・目標(ゴール)を明確にし、自分でスケジュールを設計する
・進捗は“求められる前に”自発的に共有する
・自律的に動ける人ほど信頼される
日本では、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」がビジネスマナーの基本。
しかし外資では、「必要な情報を、必要な時に、端的に伝える」ことが重要です。
上司やチームメンバーにとっては、「自分で判断して進めてくれる」人が信頼するに値する人材。過剰な報告や“上司へのお伺い”は、むしろ「自立していない」と見なされることもあります。
報告について気をつけたいのは、物事が予定通りに進んでいない時に「早めに上司に知らせる」ことです。ついつい、自分でなんとかしないといけないと思ってしまいますが、上司は困った時のためにいるわけなので、炎上して誰が対処しても鎮火は無理の状態で上司に知らせるはNGです。上司が英語圏出身の場合、この傾向はかなり強いので覚えておいて下さい。
✅ 対策ポイント
・必要なデータや根拠を明確に添える
・「どうすべきか?」より「こう進めます」を伝える
・予定通りに進まないかもしれない案件は、早めに事実を伝える
会議中に黙ってうなずく――日本では「ちゃんと聞いています」という同意を示すサインですが、外資では「意見がない=関心がない、もしくは仕事ができない」と解釈されます。
議論の場では、発言して初めて存在を認められる企業文化が外資です。
「反対意見」も歓迎されるため、沈黙はむしろマイナスに働きがちです。
✅ 対策ポイント
・意見を述べる勇気/英語力がない場合は、最後のQ&Aで気が利いた質問をするだけでも参加したと思ってもらえる
・誰かの良い意見に乗っかって、「I agree because…」と発言するのは、初心者向けの良い方法
・英語力の心配より、“積極的な姿勢”を示すことが大切
外資には肩書きに関係なく、誰でも意見を言える“フラットな文化”があります。
一見「上下関係がなくて楽そう」と思われがちですが、実際は「自分の意見を持たないと埋もれてしまう」世界でもあります。
リーダーに直接意見する場面も多く、堂々とロジカルに簡潔に主張する力が求められます。
✅ 対策ポイント
・事実やデータを根拠に意見を述べると、説得力がます
・相手の意見を尊重しつつ、自分の立場を明確にする
・外資において「主張=対立」ではないので、気楽に討論に参加する
外資で働くということは、単に英語を使うだけではなく、価値観を切り替えることでもあります。
最初は戸惑いがあっても、カルチャーの違いを理解すれば、成長スピードは格段に上がりますし多様性の中で仕事をすることが楽しくなるでしょう。
外資カルチャーは「個を尊重し、自律を重んじる」文化。
その中で自分らしい働き方やキャリアを築けることこそが、外資転職の最大の魅力です。

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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。