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外国人が働きやすい職場とは

日本の労働人口が減少し続ける中で、外国籍人材が日本で働いてくれることは企業にとっても社会にとっても大変ありがたいことです。彼らが活躍しやすい職場を提供すること、そして受け入れる日本人側も多様性を理解し、協働できるようになることは、これからの日本にとって避けて通れない課題です。

しかしながら、せっかく日本企業に入社したのに、その後に外資系企業へ転職してしまうケースが少なくないのも事実です。なぜ外国籍人材が「日本企業では働きにくい」と感じるのか。その理由をいくつかの観点から整理してみたいと思います。

1. 成果主義でない評価制度

大きな理由の一つは人事評価の仕組みです。日本企業でも徐々に成果主義を取り入れていますが、まだまだ完全な成果主義とは言えません。多くのケースでは「年功的な要素」や「在籍年数」が評価に影響します。

外国籍の人材からすると、自分の業績に対して昇給・昇格が決まらないのは、大きな不満になりがちです。母国では「結果を出せば正当に報われる」のが当たり前だった人ほど、努力が曖昧に評価されるのは不公平と感じるでしょう。

2. 集団主義という文化の壁

次に挙げられるのは、日本特有の「集団主義」です。よく日米を比較したときに「アメリカは結果重視、日本は人間関係重視」と言われますが、これは企業文化にも色濃く表れます。

例えばチーム、部署、会社全体のために個人が多少犠牲になることは珍しくありません。自分だけが目立つことはタブー視されます。つまり、「和を乱さない」ことが重視されるのです。

個人主義が強い国から来た外国籍社員にとっては、ストレスフルなポイントかもしれません。ベンチャー企業のように成果重視でスピード感を求める文化なら適応できる人も多いですが、伝統的な日本企業ではこの価値観の違いが離職につながる大きな要因となり得ます。

3. 外国人比率の少なさ

もう一つ重要なのは「外国籍社員の比率」です。例えば大企業に入社したとして、全社員の中で外国人が数名しかいないケースは珍しくありません。その場合、企業文化はほぼ日本的であり、無意識のうちに日本流に合わせることを求められることになります。

日本のワークスタイルには素晴らしい点も多くあります。 しかし「完璧を求めすぎる」「曖昧な指示が多い」といった日本特有のスタイルに戸惑いを覚える外国籍人材もいます。同じような立場の外国籍社員と悩みを共有できないことは、孤独感やストレスを強める要因にもなります。

逆に、外国籍社員が一定数在籍している企業では、彼らが自然にサポートし合う環境が生まれ、また日本人社員側も「外国人と一緒に働くこと」に慣れているため、摩擦が少なくなります。転職活動の際には、会社全体でどの程度多様性が浸透しているかを確認した方が後悔がありません。

まとめ

外国籍人材が日本で働きたい時は、企業文化についてよく研究することをお勧めします。働きやすさに大きな影響を与えるからです。成果主義・個人主義が合っているタイプの人なら、日本企業は最良の職場ではないかもしれません。周囲で働いている日本人も外国人に慣れていて英語も話せる人が多い環境の方が、伸び伸び活躍できるでしょう。外国人の方が転職活動をする際の確認ポイントとしてください。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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