Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメント・ツール「ルミナ」を使って解説します。
*この記事は本人の了承の元に書かれています。
本日の相談者は、日系ITベンチャーで企画をしている39歳の男性・坂井さん(仮名)です。仕事は合っていると感じていますが、ITビジネスという業界がしっくり来ないため転職した方が良いのか悩んでいます。
まず坂井さんの強みですが、独創性・変革・ビジョンの黄色と、協調性・共感力・親密など人間重視のスコアが同じレベルで高いです。ITという先端産業に向いていますが、人間重視の緑の部分が満たされないのではないかと想像できます。
細かいことが得意な「青」のスコアが低いので、事務作業などは不得意エリアです。経理精算などで、うっかりミスが多いそうです。細かいことを自分でやらなくても大丈夫な仕事を選ぶことが成功の鍵と言えます。
さらに坂井さんの強みを深掘りしてみましょう。彼の強みは、直感重視・結果重視・外交的・人間重視です。ここでも「人間重視」のスコアが高く出ているので、無機質なITより教育・SDGsの方が幸福感を感じやすいとわかります。年収が下がっても良いのであれば、NPO/NGOも視野に入りますが、このタイミングで年収が下がる転職はしたくないとのことでした。価値観が明確な場合、職業の取捨選択がしやすくなるので道を絞るには「価値観」がはっきりしていることはプラスになります。
坂井さんには、実は内向的なところもあるので、時々一人で静かに過ごす時間をしっかり確保するとバランスが取れるでしょう。休日に外出せず、家で読書をしたり音楽を聴いていたりするそうです。
IT業界はスピードが速いどんどん進化するエリアなので、「人間重視」の緑をより重んじる業界へ転職することになりました。ここで難しいのは、例えば教育業界なら必ず人間重視なのか、です。規模が大きく歴史もある企業に行く場合は問題ありませんが、ベンチャーの場合は「教育イコール人間重視」にはならないので注意が必要です。
ベンチャー企業の企業文化はひとえに社長によります。人数が少ないのでインパクトが大きいという側面もありますし、オーナーとして影響力が強いので社長の意向により企業文化が引っ張られやすい面もあります。面接の時に、よく見極めて「しまった」がないようにしましょう。
坂井さんは、実はいつか起業したいと考えているとわかりました。感性の高い柔軟な坂井さんは教育・語学などの世界を選ぶとうまく行きます。企業に必要な行動力・企画力は両方とも持っているので、細かい経理作業や事務を任せられるパートナーを探せれば鬼に金棒と言えます。
まずは、教育業界での企画の仕事に転職して経験を積み資金も貯めて、しかるべきタイミングが来たら副業から始めて起業に切り替えられるのが、ベストシナリオと言えそうです。強みを活かして、夢を叶えられますように。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。