Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材育成家の鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメントツール「ルミナ」を使って解説します。
*この記事は本人の了承の元に書かれています。
今回の相談者・渡辺さん(仮称)は36歳の女性です。大学卒業後、日系企業にSEとして4年間勤めたのち、カナダの大学院に留学し現地でカナダ企業に就職しました。職種は社内ITサポートです。このたび永住権が取れて就労ビザのスポンサー企業を必要としなくなったので、上司とあまり相性が良くない現職を離れることにしました。転職するに当たり、職種を変えた方が良いのか確認したいというのがご相談の内容です。
まず4つの色を見ます。
スコアが一番高いのは、細かいことが得意な青です。100人並んだときに、前から6番目にいるという圧倒的な強みです。ざっくりIT業務に向いています。次にスコアが高いのは人間重視の緑。こちらも90%と上位10%に入っているので強みです。「細かいことが得意」と「人間重視」の掛け算になる職業が、強みを最も活かせる仕事になります。社内のITサポートを行うにあたっては、対象が全社員になり人間味の要素は欠かせないのでこの段階で、社内のITサポートは適職と判断できますが、さらに細かくデータを見ていきましょう。
渡辺さんのマンダラです。
強みは、結果重視・規律重視・堅実(細かいことが得意)・内向的・人間重視とたくさんあります。赤の結果重視により、締め切りを守る・クライアントの困りごとを何が何でも解決できる人材であることがわかります。規律重視はプロセス・ルールを守ることが得意な資質なのでIT業務に向いています。内向性がかなり高いので、自分が前面に出ることは望まず、相手が非常に明るくてエネルギー発散型の人だと少し疲れそうでもあります。自分の精神的なエネルギーを温存する工夫が必要になりそうです。
社内ITの仕事で転職することは全く問題ないですが、本人がキャリア・アップを求めるのであれば、プロジェクト・マネジメントの仕事も向いているようにみえます。結果にコミットする、つまりは納期を必ず守り、IT業務の内容がわかっていることを活かしつつ、社内の人と協力してプロジェクトを完遂する仕事です。本当に向いているかどうかは、さらに詳しいデータで検証できます。
プロジェクト・マネジメントで成功するには、赤の主導力がある・論理的・目的意識が高い、青の信頼性がある・実践的、緑の協力的・柔軟性が欠かせません。渡辺さんは全てお持ちですが、「主導力がある」のスコアが非常に高くはないので、例えば全社あげての100人規模のプロジェクトを担ぐのは、少々荷が重いかもしれません。15人くらいのプロジェクトであれば問題ないです。
あとは渡辺さんがどうしたいかですね。社内ITサポートの道を極めるも良し、IT企業でプロジェクト・マネジメントにトライするのも良し。渡辺さんは、ITの技術が飛躍的に進歩する中、自分がこの先も最先端技術に追いついて他の人をサポートし続けられるのか少し不安に思っていたそうです。プロジェクト・マネジメントの仕事であれば、細かいIT技術の全てを自分が理解していなくても、そこはそれぞれのエンジニアが担ってくれるので、息が長い仕事ができそうとの判断です。またNZの労働市場での価値もプロジェクト・マネジメントの方が高いので、この機会にプロマネに転向することになりました。
自分がITサポートの仕事に向いていると確認できたこと、さらに一歩踏み込んでプロジェクト・マネジメントへ転向する道がありそうだとわかったことで、渡辺さんは迷うことなく転職活動を始めることになりました。キャリアの方向性に迷ったら、適性診断ツールのルミナスパークを思い出してください。ご興味がある方はこちらをご覧ください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。