Global Career Guide

GAFAに勤める友人が、ポジションクローズを理由に仕事を失いました。
彼女の実力を知る者としては失職なんて考えられませんが、外資では個人の働きぶりとは別の次元で事業の判断が下されることが珍しくありません。不景気で人員削減が必要になった、M&Aで買われる側になった、日本から撤退することになったなど、個人がコントロールできない企業側の決定を受け入れるしかないという現実があります。
しかし、ここからが本題です。
彼女は一瞬たりとも落ち込むそぶりを見せず、「この先、どう道を切り拓くか」に気持ちを切り替え、次々に“種まき”を始めました。落ち込んでいたところで、問題が解決するわけではないからでしょう。そのスピード感と実行力こそ、厳しいとされるIT企業で高く評価されてきた人ならではと感じました。
彼女が行った種まきは、とてもシンプルですが効果的です。
1. 転職エージェントへすぐに連絡し、最新のマーケット情報と求人を把握する。
役職が上なので、どこに連絡するのが効果的かをよく考えてコンタクト。
2. ネットワークを活用し、複数の知人に壁打ちを依頼する。
自分の強み、どの方向に舵を切るべきか、第三者の視点を積極的に取り入れるためです。
3. LinkedInで情報交換したい相手に積極的にDMを送る。
「知らない人に連絡するのは気が引ける」という声もありますが、LinkedInは転職活動にもっとも適したプラットフォームです。実際、彼女によると4割程度の方から返事が来たそうで、国、業界、職種に関するピンポイントの情報を得るには最適の場所だと話していました。
外資の世界はダイナミックである一方、非常にドラスティックでもあります。だからこそ、社外にどれだけネットワークがあるかがキャリアの明暗を分けます。
日々の業務に追われていると、イベントへの参加やSNS上のコミュニティーとの交流がつい後回しになりがちです。しかし、グローバルに働く人材が業界コミュニティーや専門領域のグループに属しているかどうかは、いざという時に決定的な差になります。
安心して状況を話せる仲間がいること。複数の選択肢がある場合、どれが最良の道なのか一緒に考えてくれる存在がいること。キャリアの岐路で、これほど心強いものはありません。
彼女は海外在住でありながら、日本のネットワークを大切に育ててきました。その積み重ねが今回の状況で力を発揮し、声をかけてくれる人、励ましてくれる人、必要な情報をくれる人がたくさんいるという理想的な状況を作ったのです。特に海外にいる場合、日本の事情に疎くなる可能性は大いにあるので、浦島花子にならずに済んだのは彼女が積み重ねた努力のお蔭です。
彼女は、会社から提示された3ヵ月の猶予期間内に、次のキャリアが無事に決まりました。きっかけは、ある知人からの紹介だったそうです。求人はマーケットには公に出回っていなかったので、やはりコネはものを言いますね。
そう言えば、金融業界にいる友人がリーマンショックの後、突然仕事を失いました。彼女に新しい仕事を探してくれたのは、元同僚でした。一緒に仕事をしたことがあるからこそ、仕事ぶりに太鼓判を押せます。彼女は、求人のJD(職務記述書)のスペックとは少し違う経歴でしたが、「やればできるだろう」と強力に推してくれたそうです。
忙しい毎日、どうしても「いま目の前の仕事」を優先しがちです。しかし、職業人人生は長く、予期せぬ出来事は誰の身にも起こり得ます。だからこそ、ネットワーク構築は後回しにしてはいけないと、彼女のケースから改めて強く感じました。
外資を目指す方、すでに外資で働く方、これからキャリアの選択肢を広げたい方へ。日頃から小さな種をまき、関係を育てることをどうか忘れないでください。緩い関係で良いのです。長く続く信頼できる関係を利害関係なしに持てますように。キャリアの岐路でお互いに助け合える方は大事な存在です。

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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。