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キャリアの方向性をルミナで考える(実例58)

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメント・ツール「ルミナ」を使って解説します。

※この記事は本人の了承の下に書かれています。

本日の相談者は、42歳の女性で外資のマーケティング・マネジャーをしている加藤さん(仮名)です。大学卒業後4社目で、一貫してマーケティング職に就いてきました。2022年に転職したばかりですが、キャリアの方向性と現職について振り返りたいというご相談です。

まずは加藤さんの4つのクオリティを見てみましょう。

細いことが得意な「青」と人間重視の「緑」がともに86%で、かなりの長所と言えます。青の適職はSE, 法務、経理、事務職。緑の適職は人事、NPO/NGO, 医療従事者、学校の先生、コーチングのコーチなどで、加藤さんが20年携わってきたマーケティングが見当たりません。実は加藤さんのスコアが最も低いビジョン重視の黄色の適職がマーケティングで、このデータだけを見ると向いていない職業にずっと就いてきたことになります。

ある方が選んだキャリアが適職でない場合、20年も気が付かないことはほぼないので、さらに細かいデータを見る必要があることになります。

そこで、一番詳細なデータである24のクオリティを見ます。

赤の「タフ」の数値が職場である日常で下がっていることがわかります。内在と行きすぎた時の自分のスコアが高いのに、日常だけ落ち込んでいる場合は仕事に対するモチベーションを著しく失っているケースが多いです。加藤さんに質問したところ、「ここ4~5ヵ月間、やる気をなくしている」とのことでした。

マーケティングに向いているかどうかを見る指標は、「想像力豊か」と「革新的」です。 どちらも「内在の自分」のスコアは高く、日常で発揮できていないとわかります。加藤さんと現職の内容をよく聞いたところ、本社からの制約が強い会社で真にクリエィティブな仕事ができない状態に置かれているとわかりました。

加藤さんは緑の「柔軟性」が99%と飛び抜けて高いので、求められていない資質を見せなかったり、職場で必要とわかった資質をストレッチして無理に伸ばしたりが簡単にできます。今は本来の「想像力」や「革新性」を見せないように抑えていますが、本人にとって最も大事な資質なので、少しずつストレスが溜まっている状態です。柔軟性が高いことは諸刃の剣で、知らない間に現職に適応しようとしすぎていることもあります。

マーケティングに本来は向いているので、不安に思うことなく、もう少し自由度の高い企業を見つけていずれは転職することになりました。当面はストレスを仕事以外で発散する方法を見つけることが必要です。

外資の場合、本社が海外法人にどのくらい裁量権を渡すかは企業によって異なります。商品開発やマーケティングなど、創造的な仕事で企業のブランディングに関わる職種の場合、本社からの制約が高いことが考えられます。特に初めて外資に転職するときは裁量権について調べておき、面接の時にも質問した方がいいです。入社前してから「こんなはずじゃなかった」になることを避けるためです。

年末年始のお休みに、キャリアの方向性を考えるためにどんな職種・業界・職場が自分に合っているかを知りたかったら、こちらをご覧ください。

今年もコラムをお読みくださり、ありがとうございました。 2024年が皆様に幸せと新たなチャレンジをもたらしてくれることを、心よりお祈り申し上げます。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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