Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、キャリアの方向性を考えている方のご相談について、アセスメント・ツール「ルミナ」を使って解説します。
※この記事は本人の了承の下に書かれています。
本日の相談者は、日系のメーカーで品質管理の仕事に就いている35歳の男性・新田さん(仮名)です。大学卒業後、経理部に配属され5年経ったところで品質管理部門に社内異動になり現場のリーダーをしています。時代の花形である外資系IT企業への転職を考えていますが、そもそも外資に向いているかどうかを知りたいというご相談です。英語力はTOEIC750点です。
さて、新田さんの4つのクオリティを見てみましょう。
ユング心理学を元に4つのタイプに分けた時、新田さんの一番の強みは細かいことが得意な青で、次に結果重視の赤になります。入社後に配属された経理の仕事も、細かいことが得意な堅実と規律重視を活かせる仕事なので適職でした。本人も経理の仕事は好きだったとのことです。
最高の品質を届けるという目的意識を高く持ち、細かいことを逃さずルールを守れる新田さんにとって、品質管理の仕事は天職です。職種を変える必要がないとわかったので、ほっとしたようでした。
次に新田さんのマンダラを見ると、強みは、規律重視(ルールを守れる)・堅実(細かいことが得意)・結果重視です。外交性と内向性のアームの形が似ているので、必要であれば人前でプレゼンをしたり、社交をすることもできます。品質を管理するためには理想である形・ルールが存在するわけで、それを守ることは規律重視のスコアが見事に高い新田さんにとっては簡単です。
品質管理は天職と再確認できたところで、外資ITに転職するのが正解かどうかです。こちらは24のクオリティの詳細データを見ながら解説します。
まずは外資に向いているかどうかを3つの視点から考えます。
1つ目は、外資の企業文化に新田さんの性格が合っているかです。緑の「柔軟性」が、素の自分で99%と100人並んだら前から2番目に立っている彼は非常に柔軟で、環境適応力を表す「順応性」も高いスコアなので、想定外が多い環境でもやっていけます。赤の「論理的」・「メンタルにタフ」のスコアもそれぞれ比較的高いので、穏やかとは言い難い外資でも大丈夫なはずです。
2つ目は、機会の多さです。どのくらいポジションがあるかという意味ですが、品質管理の仕事は物作りと直結しているので、日本で物作りまで行っている外資系企業が多くない中、何といっても日本企業の方が求人数は多いことになります。外資の場合は、日本だけでなく他の地域も担当するポジションになると機会が多くなります。日本と韓国、日本と台湾、アジア・パシフィックの仕事などです。
3つ目に英語力。日系もしくは外資の日本担当の品質管理であればTOEIC750点で足りますが、他の国も見ることになると足りないです。
最後にIT企業に向いているかどうかも見ないといけません。青(細かいことが得意)と赤(結果重視)が強みの方は、どちらかというと、質実剛健な業界で地に足がついた業界が向いています。今や花形はインターネット・AI関連で、品質管理職が多いハードウエアではないという点は新田さんにとって考慮すべき大事なトレンドです。
熟考の末、新田さんは日本のメーカーに転職して品質管理の専門性をさらに磨きながら、英語力を伸ばして3~4年のうちに日本以外も担当できる外資でのポジションへの転職を目指すことになりました。初めての外資への転職は42~3歳までの方が楽です。彼にはまだ時間があるので、まず必要な準備をすることになったのです。どんな職種・業界・職場が自分に合っているかを知りたかったら、こちらをご覧ください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。