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将来性に富むU.S.CPAは仕事の選択肢を広げる武器になる<スペシャルインタビュー1>

写真:木村公認会計士事務所 公認会計士/U.S.CPA/CFA協会認定証券アナリスト 木村兼作 氏

日本の公認会計士(JCPA)や米国公認会計士(U.S.CPA)、CFA協会認定証券アナリスト(CFA)などの資格を持ち、「木村公認会計士事務所」の代表としてご活躍中の木村兼作氏に、U.S.CPA取得の意義や受験のコツ、どんな人が向いているのかなど、率直に語っていただきました。

自分の英語力を活かした会計士としてのキャリアがU.S.CPAにつながった

私がU.S.CPAを取得したきっかけは、自分の英語力を活かせると気が付いたからです。 私は父親の仕事の都合で小学校を卒業するまでロサンゼルスに住んで、地元の小学校に通っていました。クラスメイトは米国人ばかりですから、私にとって英語を喋ることは自然なことでした。しかし帰国すると、中学の英語の授業や試験は細かい文法を重視するものが中心だったため決して得意ではありませんでした。

大学は商学部で、親友が就職せずに会計士を目指すというので私も興味を持ちました。調べてみると会計士も国際化の時代でアタッシュケースを持って海外で活躍できると分かり、完全にビジュアルでの憧れから会計士になったんです。このため、最初からU.S.CPAを取得したのではなく、最初は学友達と一緒にJCPAを受験しました。

U.S.CPAを取ったのは、会計士になって四大会計事務所の1つ「KPMG」会計監査の国際部で働き始めてからです。現場では日常的に英語が飛び交っていて、会計の世界でも国際化が加速度的に進んでいた時期だったということもあり、私が英語を自然に喋れることは実は仕事でも役にたつ特技だと感じました。この特技をより有効に利用しようと考えたら、U.S.CPAの取得はごく自然な発想でした。「KPMG」では上場企業の担当に任命され、キャリアを拡大できました。

海外で働きたい人にとって英語と会計が一石二鳥で勉強できる資格

後輩からU.S.CPAを取得するメリットについて聞かれたときは、「U.S.CPAを持っていると面白い仕事を任せてもらえるよ」と助言しています。仕事を依頼する側からすれば、英語が喋れるだけでなく、米国式の会計の流儀が分かっている人のほうが不安が少ないはずです。日本の企業が外国人に仕事を依頼する場合も、日本語が喋れて日本の資格まで持っている人のほうが絶対安心しますよね。

ただ、向き不向きはやはりあります。日本の学生で、卒業後に海外で働きたいけれども、日本で働く道も残しておきたいと考えている場合は、まずはJCPAを検討したほうが良いでしょう。

既に社会人として働いていたり、試験勉強に使う時間の余裕があまりなかったり、あるいは絶対に日本から出て仕事するんだという強い意志を持っている人には、U.S.CPAが有利です。JCPAは細かい法律の知識なども求められるので、概ね2年くらいは勉強に専念することが必要ですが、U.S.CPAは実地重視なのでJCPAに比べると勉強に時間は掛かりません。もちろん、英語が全然できないところからトライするのは大変だと思います。でも、元々海外で働きたいと考えている人なら英語が必須なことは自明です。英語の勉強も一石二鳥でできると考えるくらい前向きな姿勢で挑戦することが大事だと思います。

U.S.CPAの科目はRegulationを最初に受験する

資格の勉強をしていると全部理解した上で問題を解き、全問正解を目指したくなりがちです。しかし、試験では効率良く得点できるかどうかが早期合格のコツになります。効率良く合格点を目指すには、難しい問題は捨てて答えられるところをきっちり答える、アウトプットを増やすことが大事です。勉強はとにかく問題集を解く。それも問題集を端から順に解いていくのではなく、1問飛ばしで解くなど、より広い範囲に触れる方が良いです。

日本の会計士がU.S.CPAを受験する際にも効率は考えるべきです。たとえば受験する科目の順番。U.S.CPAには試験科目が4つあります。どれから取得しても良いのですが18か月で失効します。4つのうち3つ「Financial Accounting & Reporting(財務会計)」「Business Environment & Concepts(ビジネス環境及び諸概念)」「Auditing & Attestation(監査および証明業務)」は、JCPAでも勉強する内容です。異なるのは「Regulation(諸法規)」。アメリカの法律の勉強に、多くの受験者が苦戦します。ここが突破できずに先に取得した科目が失効すると勉強し直しなので、最初にここをクリアしておくわけです。

AIやロボットが進歩する時代だからこそ、U.S.CPAが武器になる

会計士という職業の将来性に疑問を持つ人が増えています。いずれ監査はロボットがやるようになって人間は要らなくなるから、資格を取っても仕方がないというのです。これは少し違うと思います。

AIやロボットの進歩によって、ルーチンワークの自動化はますます進みます。会計士の仕事が伝票入力だけなら、確かにロボットに仕事が奪われるのも遠くないでしょう。しかし、会計監査で一番重要なのは、ルールで簡単に当てはめられない処理です。まったく新しいビジネスや事象をどうチェックするか。そこに自動化の余地は今のところありません。

本来の会計士の仕事はロボットにとっては難しい職業であり、何十年後かに会計士がロボットに置き換わる頃には、いまある職業のほとんどはロボットがやっていると予想します。

とはいえ、現状維持でよいということにはならないでしょう。ロボットを含むITツールはさらに高度化し、ブロックチェーンに代表される新しいデータベース構造が普及すると三式簿記という新しい会計の記録方法が実現するかもしれません。これは500年前に複式簿記が登場して以来の大革命といえ、会計職は変革期を迎えていると言えます。

このように、会計は今後ますます面白くなりますのでこれからU.S.CPA試験を受けられる方には自信を持ってチャンレンジしていただきたいと思っています。

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