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異文化間での危険な思い込み ー Don’t Assume!(続)

「差別・偏見の話は、これで一旦終了」と思っていたところに、非常に興味深い記事を読みました。


「差別」とは何か?アフリカ人と結婚した日本人の私がいま考えること>(現代ビジネス)

アフリカの女性と結婚した日本人男性(文化人類学者)が、ご自分の体験談を交えて書かれたものです。

ご家族で旅行した際、パリの空港の入国審査で黒人女性が一人旅をしていると思って怪しまれたそうです。係官は、まさか黒人女性がアジア人男性と結婚しているとは思わなかったようです。

これは、黒人+アジア人カップルに限りません。人種のるつぼであるアメリカでも、黒人は黒人、白人は白人、アジア人はアジア人と結婚するものだと一般的に思われているので、大半の異人種間カップルは同様の経験をしています。コマーシャルやドラマなどでも、異人種間カップルを見るのは稀です。

この係官はアフリカ人女性の夫がアジア人男性であると知ったとき、「自分が囚われていた先入観に気づいた」のですが、これが、まさに、私がいう”気づき”であり、この男性のいう「先入観」が、まさに、私が前回、書いた「思い込み(assuming)」なのです。

人は先入観のかたまり

先入観で人を見た眼で判断する例には、こんなのも。「アジア人は英語を話さない」と思っている人が多いので(欧米人だけでなくアジア人も)、白人といると、皆、必ず白人の方に向かって英語で話しかけたり、”Do you speak English?”と聞きます。クルーズ船などでも、隣にいる白人には話しかけるのに、私は完全に無視といった体験はしょっちゅうします。アメリカで生まれ育ったアジア系アメリカ人が、他のアメリカ人に”You speak English very well”と言われることなどしょっちゅうです。

一方、アジアの国々では、私が現地語が話せないとわかっていても、私より現地語ができる白人でなく、私に向かって現地語で話し続ける地元民もいます。(華人の多い)ペナンでは、白人のアメリカ人と結婚した香港系カナダ人が、まったく同じ体験をしていました。

差別(偏見)という「憑き物」をどう落とすか

上記の日本人男性は、アフリカでのアジア系への偏見や、アフリカの国同士や民族間の差別についても書かれています。アメリカの黒人の間でも肌の色でヒエラルキーがあります。中南米でも、国や肌の色でいろいろな偏見や差別があります。

私も、多くの国で、いろいろな差別を目撃してきたので、人間がいる限り差別・偏見はなくならないと思っています。日本で差別されて育ったマイノリティの人が、アメリカに移住して、アメリカのマイノリティを差別するのも見ています。だから、自分が差別を経験したからといって、人は差別をしなくなるわけでもないことも知っています。

ただ、上記の男性が書かれているように、

差別という「憑き物」をどう落とすか。 必要なのは抽象的な理念でも大袈裟なイデオロギーでもなく、人と人とのコミュニケーションの中で「落ちる」瞬間を具体的に体感し、その経験を積み重ねて、自身の心の中に自由な空間を広げてゆくことなのだ。

私も、いろいろな国で、この「落ちる瞬間」を自分でも体験し続け、また相手が”落ちて”くれるように、さまざまな誤解や先入観、偏見に対して「そうじゃないですよ」と今後も説明を続けて行くつもりです。

ぜひ皆さんも、旅行や仕事での国際交流を通じて、この「落ちる瞬間」を体験してください。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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