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ロシアの友人ナディアは、「合う」という意味でsuitをよく使うのですが、動詞のsuit も各国の英語学習者を悩ませる単語のようです。日本でも、「suit=合う、適する」と丸暗記している人たちが多く見受けられます。
下記は、 英語のオンラインレッスンを再開しようとしているナディアが、イギリスの先生の料金について語ったものです。
x Her price suits to me. → Her fee works for me.
Her fee sounds good to me.
(彼女の料金は、私には手頃。)
私がアメリカ人の先生を紹介しようとしたところ、時差のため、両者にとって週末が一番いいと思ったのですが、ナディアの答えは、
x Weekends don’t suit to me. → Weekends aren’t good for me.
Weekends don’t work for me.
(週末は都合が悪い。)
*なお、suit to…とtoをつけるのは、文法的に間違いです。
日本でも、 ネットで下記のような表現が紹介されていますが、意味は通じるものの、友達と約束する際はもちろんのこと、診療などの予約を入れる際も、suitを使った表現を聞くことはありません。
x What day would suit you? → What day is good for you?
What day works for you?
What day do you want to meet?(会う約束)
What day would you like to come in? (医者などの予約)
ロシアでもコスプレが人気で、ナディアは毎年、コスプレイベントの写真を送ってきてくれます。動詞suitが大好きなナディアは、その際も、
△ The costume suits her. → The costume looks good/nice/great on her.
She looks good/nice/great in the costume.
(彼女には衣装が似合ってる。)
上記のsuitを使った表現も、文法的には間違いではないのですが、日常的に使われるのは右の表現です。動詞のsuitは硬い表現であり、下記の成句以外で、日常会話で使われることは稀です。
A. I don’t think I want to eat out tonight.(今夜は外食したくないよ。)
B. I already made a reservation.(もう予約しちゃったよ。)
A. I don’t feel like going out! (外出したくないんだよ!)B. Suit yourself! (勝手にすれば!)(直訳すると「自分に合うようにすれば」)
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。