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オーストリアでは、英語はだいたいどこでも通じますし、ドイツ語話者は、アメリカに渡っても、すぐに訛りがなくなって英語ネイティブ並みになる人をよく見受けます。ところが、ザルツブルクで宿泊したアパートの「宿泊客向けしおり」の英語は、ひどいものでした。
スロバキアの宿泊先でも共通して見られた間違いが、untilの使い方です。
x Please check out until 10 am. (10時までチェックアウトしてください。)
〇 Please check out by 10 am. (10時までにチェックアウトしてください。)
上記の文は、untilでは意味を成さないですよね。
UntilとByの混乱は、東南アジアでも見られますが、日本人にも区別できていない人がいます。Untilは「(時間が継続して)~まで」ですが、byの方は「~までに」なので、日本語でも違いがあるのですが。
I’ll be there by 5 o’clock. (5時までに、そこに行きます。)
I’ll be there until 5 o’clock. (5時まで、そこにいます。)
「うまく使い分けができない」という人は、「by はbeforeに近い」と覚えるといいと思います。
Please check out by 10 am. ≒ Please check out before 10 am.
(午前10時前にチェックアウトしてください。)
日本語の「10時まで」に「10時が含まれるのかどうか」、「含まれない」のであれば、byよりbeforeの方が適切ということになります。
同様の英語表現には下記がありますが、たとえば「時間厳守」を強調したければ、”no later than”が使えます。
The report must be submitted by Oct. 1.(レポートは、10月1日までに提出要です。)
The report must be submitted before Oct. 1. (レポートは、10月1日以前に提出要です。)
The report must be submitted no later than Oct. 1.(レポートは、10月1日必着です。)
The report is due Oct. 1. (レポートは、10月1日が締め切りです。)
なお、最初の「チェックアウト」の文は、untilが使いたければ、下記のように言うことができますが、”check out”と共に使うことは不可能です。
You can stay until 10 am. (午前10時まで滞在可能です。)
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。