Global Career Guide
前回の”toxic workplace/work environment”の直訳の「有害な職場(環境)」という表現は、日本語では、ほぼ使われないのに対し、「有害な人」「有害な人間関係」というのは、一部使われるみたいですね。これも、元々は、英語の”toxic people””toxic relationship”の和訳として使われ始めたのでしょうが。
最近も、アメリカの有名な投資家が「成功するには、有害な人を切ること」というアドバイスをしていましたが、アメリカでは、これまで”Toxic People”というタイトルの本がいくつか出版されています。
“Toxic people”は、職場や仕事関係の人にも、家族や友人知人などプライベートなつきあいの人にも使えます。
Cutting out toxic people is essential to success.
(成功するには、有害な人を切ることが不可欠だ。)
His advice was to avoid toxic people and toxic activities.
(有害な人や有害な活動を避けるというのが彼のアドバイスだった。)
Toxic people are those who cause harm to others, often through emotional manipulation.
(有害な人とは、たいてい感情を操ることで、他人に危害を与える人のことだ。)
日本語で「毒親」という表現がありますが、英語でも”toxic parent” ”toxic father/mother”という表現があります。毒なのが親でない家族親戚の場合は、”toxic family member”や”toxic relative”が使えます。
It was a nightmare to be raised by a toxic parent.
(毒親に育てられるというのは悪夢だった。)
My toxic mother treated me like garbage.
(私の毒母は、私をゴミのように扱った。)
You should cut ties with your toxic family member.
(毒家族とは縁を切った方がいい。)
毒親を含み、DVやモラハラなど身体的・精神的に虐待を受けるような人間関係や恋愛関係は、”toxic relationship”と表現できます。
I used to be in a very toxic relationship.
(私は、とてもよくない恋愛をしていたことがある。)
This is how you can end a toxic relationship.
(こうすれば、有害な恋愛・人間関係に終止符を打てる。)
不思議なことに、「有害な人」「有害な人間関係」よりも、日本語で浸透しているのが「有害な男らしさ」です。これは、英語の”toxic masculinity”を和訳したものです。
SNSでMeToo運動が広まり、ハリウッドをはじめ、有名人の性的暴行やセクハラなどが暴露され、ここ数年、注目を浴びるようになったのが“toxic masculinity”という言葉です。
これは、「男は強くなければならない」「男なら泣くな」など、男性に「男らしく」というプレッシャーを与える伝統的な性役割のことで、それが女性の蔑視や性暴力のように有害な形で現れる点が問題と考えられています。
Toxic masculinity describes the negative aspects of traditional gender roles for men.
(有害な男らしさとは、男性の伝統的な性役割のネガティブな側面を表すものだ。)
Toxic masculinity is harmful to men and society as a whole.
(有害な男らしさは、男性、社会全体にとって有害である。)
最後に、”toxic”の元々の意味は「毒性のある」で「有害物質」といった意味で使われます。
10 toxic pesticides are linked to the development of Parkinson’s.
(10種の有害な農薬が、パーキンソン病の発症につながるとされている。)
Toxic substances have been found in drinking water.
(有害物質が飲水から検出された。)
A new study has found some popular contact lenses may contain toxic chemicals.
(人気のあるコンタクトレンズには有害化学物質を含んでいるものもあるかもしれないことが新たな研究でわかった。)
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。