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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(4)- Xenophobia

先月末、日本に住むアメリカ人が”Xenophobia will not protect Japan from Omicron”(外国人を排斥することで、日本をオミクロンから守ることはできない)という記事をネットに投稿をしました。
“Xenophobia”とは、「外国人嫌悪」「外国人恐怖症」という意味です。日本語では、あまり聞きなれない言葉ですが、英語では日常的に使われます。

まず発音ですが、xeは”z”の発音です。”Xeno”とは「異種の、外来の(alien)」「奇妙な (strange)」という意味で、xenophobiaは 「見慣れないものに対する恐怖症」ということになります。

”Phobia”は「恐怖症」という意味で、”acrophobia” (高所恐怖症)、”claustrophobia”(狭所恐怖症)などがありますが、xenophobiaと同じように一定の人へのヘイトを表す言葉に、”homophobia”(同性愛嫌悪)があります。

Naming a virus after the place where it was first discovered sparked xenophobia in many countries.
(ウイルスに、それが初めて見つかった場所の名前をつけることで、多くの国で外国人排斥が起こった。)
Covid-related hate and xenophobia against Asians surged in the West.
(欧米では、アジア人に対するコロナ関連のヘイトや外国人嫌悪が急増した。)  

形容詞の”xenophobic”という形でも、よく使われます。

Japan has a reputation as isolated, homogeneous and xenophobic.
(日本は、孤立していて、均一的で、外国人嫌いとして知られている。)
Most Japanese, being xenophobic, are content with keeping the borders closed.
(大半の日本人は外国人嫌いで、鎖国状態に満足している。)

コロナ対策にも反映

先にxenophobiaの直訳として「外国人嫌悪」「外国人恐怖症」をあげましたが、もう少し身近な「外国人への偏見」や「外国人差別」の方がわかりやすいかもしれません。多くの日本人が「自分は外国人差別なんてしていない」と信じているようですが、私はコロナ下で、海外での評判通り「日本はxenophobicである」と確信しました。

先月、オミクロン株(Omicron variant)対策として、日本政府は(再入国許可を持たない)非居住者の外国人の入国を停止したことに対するものです。(11月初旬に約一年ぶりで留学生や技能実習生、短期出張者の受け入れを開始したところだったが、そうした人たちが入国できなくなった。)

ネットでは、「(早々と外国人の入国を停止した)日本、イスラエル、モロッコが、世界で一番偏執的(paranoid)な国だ」という投稿もありましたし、英語メディアでも、一斉にそうした記事が流れました。*

日本在住の外国人のネットコミュニティでは、「昨年のように、また再入国できなくなるかもしれないから、クリスマスの里帰りはキャンセルすることにした」という投稿が相次いでいました。その後すぐに、日本はアフリカ10か国からの再入国も停止したので、そうした人たちの心配は、決して大げさではないのです。首相が新規入国を停止した後に、「在留資格のある外国人の再入国も停止するよう要請した」とツイートした立憲の議員もいたくらいです。(その後、ツイートを削除。)なお、イスラエルやモロッコは、外国籍の居住者の入国は制限していません

そもそも、在留資格のある居住者(resident)と、在留資格のない非居住者(non-resident, visitor)の違いを理解していない人が多いですよね。「外国人」はすべてひっくるめて、(外からウイルスを持ち込む)”よそ者”扱い–これがまさにxenophobiaです。

いつまで経っても”よそ者”

昨春、日本政府は、水際対策として、日本に住む外国籍の居住者の再入国も停止しました。家族の葬儀や病気などで一時帰国した人たちが、日本に再入国できなくなったのです。そうした人たちは、日本で暮らし、仕事をしているわけですが、入国できなくなり、仕事にも行けず、アパートの処分もできず、という状態が何か月も続いたのです。(友人に、家財を処分してもらってアパートを解約してもらったという人も。)

5ヵ月後に、やっと再入国を許したのも、ヨーロッパから圧力を受けてのことです(とくにドイツからドイツ国籍の日本居住者を再入国できるようにしなければ、ドイツ在住の日本人も同じ扱いをすると脅された)。それも、帰国前のPCR陰性証明書が義務付けられ(日本人に義務付けられたのは2021年1月)。

日本在住の外国籍の人たちは、冒頭のアメリカ人のように「日本人ならコロナに感染しないのか?!」「ウイルスは国籍を選ぶのか?!」「自分は日本に20年住んで、ずっと税金も払ってきたのに、何十年も住んでいない日本人が日本国籍というだけで入国できる」という不条理に不満を漏らしています。

多くの日本人にとって、どれだけ日本に住んでいても、外国人はいつまでも”よそ者”ということです。
11月初旬に海外からの留学生の受け入れを再開したのも、ハーバード大学を含め各国の大学の教授陣、学生、研究者ら650人以上が日本政府に学生ビザの発行を再開するよう要請したからです。留学、入学が決まっていたのに、2年近く訪日できず、オンライン授業だけで授業料を払い続けたり、もう待てないので「他国に留学する。日本留学への夢はあきらめた」という人たちもいます。そうした若者の教育の機会が奪われるだけでなく、日本にとっても優秀な人材を獲得したり、日本ファンを増やす機会を失っているのです。

パンデミック中、留学生を受け入れ続けている国はいくらでもありましたし、日本と同様に、保守的でリスクゼロ志向のアジアの国々にも、すでに観光客に門戸を開いている国があるというのに…

海外では「未だに鎖国している日本は、さらに入国制限を強化し、世界でもっとも厳しい入国制限を行なっている国のひとつ」と言われているにもかかわらず、未だに「日本は水際が甘い」と言っている人たち… **  日本語オンリーの世界での”思い込み”で世論が築かれていく恐ろしさについては、今までに何度も書きました。

若い回答者が多いであろうネットのアンケートでも、9割以上が「全世界を対象にした外国人の入国停止は妥当」と答えています。さすが、過去に200年鎖国していた国です。国民性にそぐわない多様性やグローバル化といった幻想は捨てた方がいいかもしれません。

* 日本のメディアは、「海外のメディアが日本のことを〇〇と言っている」というのを書き立てるのが好きなのに、実際に書き立てられたときは書かない。いつも「海外のメディアが~」と騒いでいるときは、自分たちが騒ぎたい内容で、自分たちが書いた日本語記事を拾った海外メディアを引用している。
** 「入国制限というのは、国内の医療体制を整えるまでの時間稼ぎのためのもの」と、どこの国の感染症専門家も言っているのに、日本語オンリーの世界の住人は、政治家も含めて、それでウイルスの流入が食い止められると思っている。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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