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以前から、非常に気になっていることに、日本語での英語の表記があります。日本語表記では、英語のzの発音が、「ズ」でなく「ス」になっていることが多いのです。
たとえば、MLBやNBAのチーム名は、複数なので、sで終わるものが多いのですが、下記のように、日本語では「ス」で表記されます。しかし、英語ではzの発音です。
Atlanta Braves アトランタ・ブレーブス
Chicago Cubs シカゴ・カブス
Detroit Tigers デトロイト・タイガース
Los Angles Angels ロサンジェルス・エンジェルス
New York Yankees ニューヨーク・ヤンキース
しかし、下記のとおり、一部のチームに限っては英語どおりの発音表記になっています。「ズ」表記でもいいのなら、すべて英語どおりの表記にすればいいと思うのですが…
Cincinnati Reds シンシナティ・レッズ
Seattle Mariners シアトル・マリナーズ
Texas Rangers テキサス・レンジャーズ
日本のクイズ番組で、答えがイギリスの名優、Anthony Hopkinsだったときに、日本語表記の「アンソニー・ホプキンス」が正解で、英語の発音どおり「アンソニー・ホプキンズ」と書いた人が間違いとされていたのは、実に気の毒でした。
JamesやWilliamsに至っては、「ジェームズ」と「ジェームス」、「「ウィリアムズ」と「ウィリアムス」の両方が存在するという摩訶不思議… Jonesは「ジョーンズ」だけなようですが。
英語で、複数形sの発音がzでなく、sになるのは、f/gh/ph(fの音)、k(の音)、p(の音)、thの後に来たときだけです。
Chefs, laughs, graphs, photographs (略したphotosでは、sはzの音。)
Books, cooks, crooks, mathematics
Cups, lamps, lips, maps, stamps
Booth, death, paths
さらに気になるのが、business、crazy、easy、amazing、cruisingなどの発音です。日本語表記が「ビジネス」「クレージー」「イージー」「アメージング」「クルージング」と「ジ」になっているからか、gの発音をしている人たちがいますが、英語ではzの発音です。「クルーズ」であれば、ちゃんとzの発音になっているのですが(正確には、zでなくzuの日本語発音だが。)
同じように、”sea”や”sea”もcの発音をしている人がいますが、違いますので。日本語にはない発音です。
アメリカの会員制量販店チェーン、Costcoは日本語表記では「コストコ」ですが、アメリカではtは発音されません。”kaws-koh”[ˈkɑs.koʊ ]と発音されます。ですから、現地で「コストコ」と発音すれば、通じない可能性が高いです。全米メキシコ料理チェーンのChiptoleも同様です。
というのは、アメリカ英語では、子音に挟まれたtとdは、発音されないからです。dであれば、grandma、grandpa、grand pianoなどがあります。
黙字といえば、knee、knife、knock、knowledgeなどのkが発音されないのは、皆さんも知っていますね。
ということで、日本語の表記に惑わされないように、正しい英語の発音を覚えるように心がけましょう。
<余談>
発音とは関係ないのですが、やはり日本のクイズ番組で、「感染爆発」の英語として、和製英語の「オーバーシュート」が正解で、英語では正しい”outbreak”が間違いとされていたのも、正しい英語の知識を持つ正解者が気の毒でした。こうやって、和製英語が広がっていくのでしょうね。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。