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前回は、「フラットな関係」に対する英語表現を紹介しました。今回は、「フラットな視点」を取り上げたいと思います。
「フラットな視点・意見」「フラットに見る」といった場合は、「先入観のない」という意味のようですが、やはり英語のflatには、そうした意味はありません。「先入観のない」には、英語では”without (any) preconception(s)”が使えます。
It was a great opportunity to look into it without any preconceptions.
(先入観なし[フラットな視点]で、それを調べるよい機会となった。)Can you try it without any preconceptions?
(先入観なし[フラットな視点]で、それをやってみてくれる?)
似たような意味で、”unbiased”や”impartial”も使えます。* 「偏らない」「公平な」という意味で、”preconception”より少し強い意味合いになります。
It requires an unbiased view of system vulnerabilities.
(それには、システムの脆弱性をフラットに見ることが不可欠だ。)We welcome foreign journalists with an unbiased view to visit the city.
(フェアな視点の外国のジャーナリストによる市の訪問を歓迎する。)I’d like an unbiased opinion on my asset allocation.
(私の資産分配に対して、偏りのない[フラットな]意見を聞きたい。)The material was presented from an impartial point of view.
(資料は、偏りのない[フラットな]視点でプレゼンされた。)I hope the committee will take an impartial view of the case.
(委員会には、そのケースを偏りのない[フラットな]視点で見てほしい。)
“unbiased””impartial”ともに、”view”など以外にも、”feedback”や”analysis”など様々な名詞とともに使われます。
I’d appreciate your objective, unbiased feedback.
(客観的でフラットなフィードバックをもらえるとありがたい。)We can provide you with valuable, unbiased feedback from consumers.
(当社では、消費者からの貴重な偏りのないフィードバックを提供できる。)The report includes an unbiased analysis of the market dynamics.
(その報告書には、市場の力学に関する偏りのない分析も含まれる。)We are dedicated to providing unbiased analysis of stocks and markets.
(当社では、株や市場の偏りのない分析の提供に努めている。)
また、“preconception”より強い”judgment(善悪といった評価、決めつけること)”を使って、”without (any) judgment”ということも可能です。「決めつけないで、責めないで」という意味で、”Don’t judge me”や”Don’t be so judgemental”というのも、日常会話でよく使われます。
Can you listen to me without any judgment?
(決めつけないで[フラットに]、私の話を聞いてもらえる?)We should acknowledge vaccine hesitancy without judgment.
(悪いことと決めつけないで[フラットに]、ワクチン忌避を受け入れるべきだ。)
* 「フラット」は「ニュートラル」に似た言葉という人たちもいるが、この「ニュートラル」も、ほぼ和製英語。日本人が考える「ニュートラル」は、英語ではunbiasedやimpartialにあたる場合が多い。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。