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和製英語に気をつけよう(41)- サッカー用語(4)イギリス英語 vs 米語

今回は、和製英語というよりも、イギリス英語と米語の違いについて触れたいと思います。

「サポーター」

日本では、一般的な「ファン」とは違う意味で「サポーター」が頻繁に使われます。これは、元々、イギリスのサッカーの特定のクラブの応援者という意味のsupporterから来たものです。イギリスには、Football Supporters’ Federation(FSF)というサポーターの団体もあります。

一方、サッカー文化の浅いアメリカでは、そうした意味でsupporterは使われません。Supporterは「支持者、支援者、賛同者」という意味で、下記のように使われます。

Trump supporters rallied against Hollywood elites.

(トランプの支持者らがハリウッドのエリートに対する抗議集会を行った。)

A recent survey shows that the share of death penalty supporters has increased in the U.S.

(最近のアンケート調査によると、アメリカでは死刑支持派の割合が増えた。)

Become a supporter and make a contribution today.

(支援者となって、今日、寄付をお願いします。)

ただし、イギリスでもfanの方が使われる頻度が高いです。つい昨日も、International Champions Cupの試合で、Chelseaに対し歓声があがると解説者が”Chelsea fans”と呼んでいました。W杯で試合後スタジアムを掃除する日本人サポーターについて各国のメディアが報道しましたが、BBCやテレグラフ紙の記事ではfanが使われていました。

World Cup: Japan fans impress by cleaning up stadium 

Japanese fans clean up stadium after World Cup victory and inspire other nations to follow suit

ちなみに、大衆紙サンはsupporterを使っていました。

Japan supporters tidy up stadium following win over Colombia to cement reputation as best guests

「サッカー」Soccer vs Football

サッカーは、イギリスをはじめヨーロッパではfootball(中南米を含むスペイン語圏ではfutbol)で、soccerが使われるのはアメリカ、カナダ、オーストラリアなどですが、soccerという言葉が生まれたのはイギリスなのです。日本で「フットボール」ではなく「サッカー」が使われるのは、イギリスでsoccer(association footballの略語)が使われていた頃にサッカーが日本に紹介されたからのようです。イギリスでは、その後ラグビーが生まれ、rugby footballと呼ばれたことから、ラグビーとサッカーを区別するために、サッカーはfootballと呼ばれるようになったようです。

なお、football圏では、サッカー選手を意味するsoccer playerには、footballer player, footballerが使われます。

   ちなみに、アメリカでfootballといえば、American footballのことになります。

サッカーが人気のないアメリカでは、W杯中も、平均的アメリカ人との会話ではW杯のことなどまったく話題にならず、ジムにある10台のテレビでW杯の試合が映ってない日もありました(フロントに言えばチャンネルは変えてくれる)。が、一番たまげたのは、知人のアメリカ人がワールドカップがサッカーの大会であることを知らなかったこと…

アメリカには3300万人以上のメキシコ系が住んでいますので、彼らの間では大いに盛り上がっていましたが。


<バックナンバー>

和製英語に気をつけよう(38)‐サッカー用語(1)「ハンド」「ボールロスト」
和製英語に気をつけよう(39)‐サッカー用語(2) 「スタメン」「ベンチスタート」
和製英語に気をつけよう(40)― サッカー用語(3)「PK」「ゲームメーカー」

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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