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今後、必要とされるChatGPTスキル

ChatGPTの話題は、まだまだ尽きないですね。先週、イタリアは、ChatGPTの開発元が個人データの取り扱いを改善したことから、国内での利用禁止を解除しました。週末に開催されたG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合では、ChatGPTを含む生成AIなどを適正な規制の下、有効活用していくという原則で、イタリアを含む7カ国が合意しました。

日本政府は、各省庁が業務効率化のために活用の検討を開始し、まずは農林水産省が文書の作成に利用するらしいですね。一方、アメリカでは企業での活用が急速に進んでいます。

求められるChatGPT人材

アメリカのアンケート調査では、すでにChatGPTを利用している、または利用予定の企業では、人材を採用する上で、9割以上が「AIやチャットボットの経験はプラス」、9割が「ChatGPTの経験があれば役立つ」と答えています。別の調査でも、現在、人材を募集している米企業の9割以上が「ChatGPTを利用した経験のある人材を求めている」という結果でした。それも、そのうちの3割は、「そうした人材がすぐにでも必要だ」ということです。

そうした人材を求める理由として、「よりクリエイティブで技術的なサポートによって会社の成長がスピード化する」「人材、その他のリソースを節約できる」「他の社員にChatGPTの使い方を教えられる」「会社の生産性、労働効率を向上できる」「会社の評判や市場シェアを向上できる」が挙げられました。

なお、ChatGPTの人材を求める企業の6割以上が、「それによって競争力を高めることができる」と答えており、今後、企業が生き残っていく上で、こうしたAI技術の活用、およびそうした人材の確保は不可欠となるのでしょう。

また、アメリカ企業でChatGPTに精通した人材が求められる分野としては、ソフトエンジニアがもっとも多く、次いで顧客サービス、人事、マーケティングでした。

必要とするChatGPTのスキルは、初級(回答企業の50%)、中級(39%)、管理職(43%)、上級管理職(43%)で、あらゆるレベルで、そうしたスキルが求められていることがわかります。

今では、仕事でパソコンが使えるのはあたり前であるように、今後は、ChatGPTや他のAI関連のスキルが必須になるのでしょう。

プロンプトエンジニア

皆さんも、最近、「プロンプトエンジニア(prompt engineer)」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。「プロンプト(prompt)」とはAIに指示を与えるために入力する文字列のことで、プロンプトエンジニアとは、AIから最適な回答を得るために効果的なプロンプトを作成する人のことです。

元々、コンピューター用語の「(コマンド)プロンプト」とは、コンピューターの画面で「ここから入力するように」と表示されるマーク(ウィンドウズ/DOSでは >)のことですが、AIの世界でいう「プロンプト」とは、AIに対する指示のことを指します。

なお、プロンプトエンジニアは、エンジニアとは言うものの、コンピューター科学や工学など技術的な知識は必要なく、文系出身者も従事しています。

このプロンプトエンジニアの需要は日に日に高まっており、今のところ引く手あまたです。上述のアメリカのアンケート調査では、回答企業の3割近くが「現在、プロンプトエンジニアを求人中」ということでした。そのうち2割が「10人超を採用したい」、社員数が250人を超える企業では、3割近くが「10人以上を採用したい」と答えています。

また、4分の1の企業が「給与は20万ドルを超えるだろう」と言い(ということは、4分の3では、それ以下)、社員数1000人を超える企業では2割近くが「給与は30万ドルを超えるだろう」とも答えています。実際に、20万ドルを超える求人がありますが、これは、現在、ChatGPTの実務経験がある人材が少ないのが大きな要因です。今後、供給が追い付けば、給与水準は下がるものと見られています。

アメリカでは、すでにプロンプトエンジニアを養成するためのオンライン講座も登場しています。ただし、AIの進化速度が日進月歩なため、プロンプトエンジニアの需要は短期的なもので、今後、長期にわたって求められる職種ではないという見方もあります。

プロンプトエンジニアの募集は、日本では、まだ少ないですが、一部、募集している企業もありますね。プロンプトエンジニア専門の求人媒体も立ち上がったようで、今後、一気に求人が増えるのではないでしょうか。

進む淘汰

上記のアンケート調査では、プロンプトエンジニアを募集している米企業の75%が、「プロンプトエンジニアによって置き換えられる職種があるだろう」と答えました。

別のアンケート調査では、今年2月の時点ですでに、回答企業の半数近くが「ChatGPTで社員を置き換えた」と答えています。「2023年末までに、ChatGPTが社員の解雇につながるか」という問いに対しては、33%が「確実に」、26%「多分」と答えました。「5年以内につながるか」に対しては、63%が「確実に」、31%が「多分」と答えており、今後、AIによる人間の置き換えが加速することは間違いなさそうです。

もちろん、先月、書いたように、上記のプロンプトエンジニアをはじめ、AIの到来によって新たな職業も生まれるわけですから、キャリアチェンジやキャリアアップのチャンスがなくなるわけではありません。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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