Global Career Guide
「フィリピンの語学留学には興味があるけど、治安が心配」という人もいるのではないでしょうか。日本人が殺されたり、誘拐されたりというニュースが、ときどき流れてきますからね。(誘拐されるのは、日本人だけじゃないけど。)
実は、私が12月にフィリピンを訪れたのは10年ぶりのこと。前回、訪問したのはマニラのみで、その時の印象はよくありませんでした。貧富の差が激しく、車に乗っていても、ストリートチルドレンが束になってやって来る…
しかし、今回は、セブ島、ネグロ島、ボホール島、パラワン島などを1ヵ月かけて周り、「(毎年、滞在している)ベトナムより治安がいい」という印象を受けました。
まず、理解しなければならないのは、フィリピンというのは、日本よりも島の数が多い島国であり、島によって治安も特色も違うということです。
一番避けるべきは、過激派組織による身代金目的の誘拐や爆破テロなどがある ミンダナオ島でしょう。ミンダナオ島中部以西は、外務省も、他国政府と同様、「渡航中止勧告」を出していますし、それ以外の地域も「不急不要の渡航はしないように」と勧告しています。なお、パラワン島南部も、数年前に過激派による外国人誘拐事件が起こり、「不急不要の渡航はすべきでない」地域に指定されていますが、少なくともプエルトプリンセサ(Puerto Princesa)市内は、他のフィリピンの都市と変わりありませんでした。
その他のフィリピンの地域は、大半の近隣諸国と同様、「十分気をつけてください」レベルです。
また、「セブ」といっても、セブ島のことを言っているのか、セブ市(Cebu City)のことを言っているのかで、全然ちがいます。セブ市を離れ、島の南に行けば田舎でノンビリしています。大学が多く「学園都市」とも呼ばれるネグロス島のドゥマゲテ(Dumaguete)では、夜になると街灯がないため道は真っ暗ですが、若い女性や子供が一人で歩いています。
ベトナムでは、道を歩くときには、私は肩に斜めにかけたショルダーポーチを脇の下にはさんでいますが、フィリピンでは、マニラ以外は、そこまでしなくてもいい感じです。
銃所持が禁じられているベトナムでは、発砲事件などはあまりないですが、とにかく(バイクによる)ひったくりや強引な置き引き、詐欺が多い! とくにホーチミンは、地元の人たちに「たとえホテルの真ん前でも、道端でスマホを出さないように」と散々、注意されます。ひったくりに遭うのは、旅行者だけでなく、地元の人もなのです。(私のニャチャンの大家さんも、10万円くらいする高級スマホを机の上に置いた瞬間、目の前で盗まれたとか。)
ひったくりが怖いのは、所持品が盗まれることよりも、バイクで引きずられること。(バッグなどを斜めにかけていると)引きずられてケガしたなんていう話はいくらでもあります。ちなみに、私がマレーシア滞在中には、クアラルンプールで地元の妊婦がバイクに乗っていてひったくりに遭い、溝に落ちて、お腹の赤ちゃんともども亡くなるという痛ましい事件もありました。
こうしたひったくりは、私はカンボジアで経験しましたが、東南アジアのどの国にでも横行しています。日本では、スマホを手に街をウロウロ歩くことができ、私は解放感にひたるのですが、そんな国は世界的に稀なのです。
なお、フィリピンとベトナムの都市の治安指数を比べると、治安がよい順に、
ダバオ>(ムンバイ)>ハノイ>(バンコク)>セブ>(北京、上海)>ホーチミン>(パタヤ、プーケット)>マニラ>(デリー)>(クアラルンプール)
クアラルンプールがカザフスタンのアルマトイ、ダッカに次いで、アジアでワースト3位とは…
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。