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先週、日本では、インスリン用の注射器でファイザーのワクチンが想定よりも多い7回分の接種ができること、また日本企業が7回分の摂取ができる注射器を開発したことがニュースになりました。ワクチン接種のために、世界的に100億本の注射器が必要なのですが、生産が追い付いておらず、注射器の輸出を止める国も出てきています。
まず「注射器」は、英語で”syringe”ですが、日本語で「シリンジ」というと「注射筒」のみを指す場合が多いようです。英語では、注射筒は”barrel”、押子は”plunger”、針は、裁縫の針などと同じ”needle”です。
ワクチンは「バイアル」に入っていますが、この単語は英語から来ており、“vial”とは薬品が入った小さなガラスやプラスチックの小瓶のことです。
There are three parts to a syringe: the needle, the barrel, and the plunger.
(注射器は、針、筒、押子の三つの部分から成る。)A Japanese hospital found that insulin syringes can draw seven doses out of each vial. (日本の病院が、インシュリン用注射器で、バイアルから7回分取り出せることを発見した。)
Thousands of vaccine doses have gone to waste in Australia due to a lack of a specific type of syringe.
(オーストラリアでは、特別な注射器がないために、何千人分ものワクチンが無駄になった。)
新型コロナウイルスのワクチン注射は「筋肉注射」なわけですが、これは英語では”intramuscular injection(shot)”、略して”IM”と呼ばれます。(日本では「筋注」と略されるようですが。) ”Injection”は「注射」を意味するフォーマルな表現で、日常会話では、アメリカでは”shot”の方が一般的です。
With an intramuscular injection, medications are injected directly into the muscles.
(筋肉注射では、薬が直接、筋肉に投与される。)IM injections allow the medication to be absorbed into the bloodstream quickly.
(筋注によって、薬の血中への吸収が早くなる。)For IM injections to be most effective, the needle needs to penetrate the muscle, not fat.
(筋注で最大の効果を得るには、針が脂肪でなく、筋肉に突き刺さる必要がある。)
一方、「皮下注射」は”subcutaneous(SC) injection”(略「皮下注」)ですが、医療用語なので、英語ネイティブでも知らない人が多く、日常的には、あまり使われません。(海外では、ワクチンは筋肉注射が多いことにも関係しているかも。)
A subcutaneous injection is a shot given into the fat layer between the skin and muscle.
(皮下注射は、皮膚と筋肉の間の脂肪層に投与される注射である。)SC injections are common for vaccinations in Japan.
(日本では、ワクチン接種には皮下注が一般的だ。)
ワクチン投与にインスリン用注射器が使えるのは、日本人はアメリカ人などに比べ皮下脂肪が少ないからとのこと。「皮下脂肪」は、英語では”subcutaneous fat”ですが、やはり”subcutaneous”という単語は日常的には使われないので、日常会話では”fatty tissue under the (layer of) skin”のような表現の方が自然です。
Your body has two primary kinds of fat: subcutaneous fat (which is under the skin) and visceral fat (which surrounds the organs).
(人間の身体は主に二種類の脂肪から成る–皮膚の下にある皮下脂肪と内臓の周りにある内臓脂肪だ。)Insulin syringes can be used for vaccinations if the person has less fat under the skin.
(インシュリン用注射器は、皮下脂肪が少ない人なら、ワクチン接種用に使うことができる。)
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。