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今年も、これが最後の掲載となりました。今年は、何と言っても、世界がコロナに翻弄された年でした。そこで、2020年最終回は、コロナ関連の話で締めくくりたいと思います。
アメリカでは、最近、今年2月にボストンで行われたバイオテク会議が、その後、30万人以上の感染につながったということがゲノム解析で判明しました。その会議に参加して、知らずに感染した人たちが、全米だけでなく、オーストラリアやヨーロッパにまでウイルスを持ち帰って広げてしまったのです。これは、”superspreader event”としてニュースになっています。
日本語でも「スーパースプレッダー」という表現は使われますが、「ウイルスを大拡散して多くの人を感染させる人」という意味で人に限って使われるようです。
What makes someone a Covid superspreader?
(何がコロナウイルスのスーパースプレッダーを生み出すのか?)
英語でも、確かに、人の意味で使われるのですが、”superspreader event”といった形で、「大規模な感染、集団感染を引き起こす」という意味の形容詞として使われることの方が多いです。
Christmas could be the mother of all superspreader events.
(クリスマスは、とてつもないスーパースプレッダー現象を生むことになり得る。)
Superspreaderに続く名詞は、event以外に、conference, meeting, wedding, gatheringなどが使えます。アメリカでは、結婚式で集団感染が起こった例がいくつも報告されており、先月、ワシントン州では300人規模の結婚式に高齢者介護施設勤務のスタッフ3人が参加した後、入居者65人が感染し、15人が亡くなっています。
The Boston superspreader conference led to over 300,000 Covid-19 cases.
(ボストンのスーパースプレッダー会議を発端に、30万人以上がコロナに感染することになった。)
The cluster is linked to a single superspreader meeting.(そのクラスターは、ひとつのスーパースプレッダー会議から生じたものだ。)
The 300-person superspreader wedding is tied to 11 deaths.(300人が集まったスーパースプレッダー結婚式が、死者11人につながった。)
Don’t let your year-end party be a superspreader gathering.(忘年会をスーパースプレッダーの集まりにしないように。)
Superspreaderを名詞として、人ではなく事例を指すことも可能で、上記の文は、下記のように表現することもできます。Don’t let your year-end gathering be a superspreader.
なお、superspreaderは、「~を爆発的に広めるもの」という意味で、下記のような使い方もできます。
Social media is a superspreader of fake news.(ソーシャルメディアは、フェークニュースのスーパースプレッダーだ。)
アメリカでは、(散々、旅行しないように、集まらないようにと言われていたのに)感謝祭(Thanksgiving)に家族親戚が集まり、家族10人以上が感染してしまい、superspreader holidayになってしまった人たちもいます。皆さんも、superspreader eventを起こさないよう、気をつけて、年末年始をお過ごしください。
Don’t be a holiday superspreader! Happy New Year!!
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。