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グローバル人材向け金融リテラシー

俗に「金融リテラシー」といえば、家計管理や資産形成などに関する金融知識を指すようです。

たとえば、日本人は生命保険が大好きですよね。昨年も、子供もいないのに、複数の死亡保険に入っている人から相談を受けたのですが、保険金を担保に借金までしていて…  解約を勧めました。

その人は「周りで誰も株投資をやっていない。銀行に預けてるだけ」と言って、周りの人をディスっていましたが、勉強もせずに、人に言われたまま株などになけなしの資金を突っ込む人のことを「金融リテラシーがある」とは言いません。(外貨預金の金利が高いからといって、為替の変動も顧みずに飛びつく人も。)

最近、日本でもFIRE(Financial Independence, Retire Early)が流行っていますが、FIREするにも金融リテラシーが必須です。ちなみに、私は40代でFIREしており、一時、FIREをする方法を投資家志望者に教えていたことがあります。投資・資産形成で成功するには、「金融リテラシー」というほどのものでなくても、損得に対する嗅覚が必要で、ちょっと話しただけで、その人には、そうした嗅覚や素地があるか、今はなくても身に着けられそうか、というのがわかります。素地があれば、金融リテラシーは習得しやすいです。

外国為替

ここでは、資産形成などに必要な金融リテラシーは、ちょっと置いておいて、最近、話題になっている為替について書きたいと思います。グローバルに活躍しようというのなら、外国為替は避けては通れません。

金融業界にお勤めの方、ベテラン投資家の方には、釈迦に説法となりますので、以下は飛ばしてください。

コロナ騒動勃発後、感染症に関する俄か専門家が山ほど登場しましたが、最近では、軍事・ウクライナ・ロシア”専門家”、外国為替”専門家”が次々に現れていますね。最近の円安で、「国力低下の表れだ」「ルーブルにも負けている」などと騒ぎ立てている俄か専門家たちがいます。(数字・データに弱く、経済音痴のジャーナリストを含め。)

そういうのを見聞きした心配性の庶民が、また悲観的になるのが目に見えています。(コロナで恐怖を煽れなくなったから、次に庶民を脅かす材料?)

日本国内にずっと住んでいて、金融業界勤務でなく(業界人でも職種によっては疎い)、貿易に関与しておらず、FX投資や株式投資もしていなければ、為替とは縁のない生活を送っている人がほとんどです。そういう人たちは、円安が自分にとって得なのか、損なのかも理解していません。海外旅行に行くのに、円高と円安のどちらが得なのかすら理解していない人も…

中小企業の経営者でも、円安であれば輸出に追い風(輸入品は高くなる)、円高であれば輸入に追い風(輸入品が安くなる)といった最低ラインのことを理解していない人たちがいて、驚かされます。

いつの間にか円安は悪に

何十年と日本人は「輸出が助かる円安はいい」と刷り込まれてきて、マスコミも「円高はマイナス」という書き方しかして来ませんでした。ところが、最近は「円安はマイナス」みたいな論調が多く、時代は変わったものだと思います。

為替レートの変動にさらされることなく、かつ海外市場へのアクセスを得るために、日本から輸出するのではなく、現地生産に移行したメーカーが多いのが、その一因にあるでしょう。(現状では利ざやが稼げないため、円高に誘導して金利を上げさせたい金融業界による世論操作という意見もあり。)

昔は、「円高は輸出(ひいては日本経済)に悪影響」ということで、政府が積極的に為替に介入して、円高を阻止していました。私は若いときは「円安だと輸入品が高くなって、私(庶民)の生活にはマイナスなのに、なぜ誰もそう言わないのか」と不思議に思っていました。輸出業界で働いている人なら、会社が儲かって直接の恩恵を受けるのかもしれませんが、私などはアメリカから日本に化学品を供給する米メーカーで勤めていましたし、* 渡米当初は、日本から円を送金していたので、円安は痛手でした。

若い人には「1ドル=126円」というレートを初めて目にする人もいるのかもしれませんが、過去にいくらでもあります。(実効為替レートは、話がややこしくなるので、ここでは置いておいて。)

私が留学のために渡米した80年代半ば、1ドル=200円を超えていました。80年代後半、アメリカは対日貿易赤字が膨らみ(今の中国のように)日本たたきが激しかったですが、当時は1ドル=120~126円ほどで推移していました。

一方、私が、日本のメーカーのアメリカへの輸出をサポートしていた2000~2010年には、円高で1ドル=100円を切っていた頃もあり、輸出業者にとっては死活問題でした。(私のクライアントも「これ以上円高が進めば輸出業務は断念」と。)

円安の背景

海外からの観光客や留学生を閉め出して、いつまでも鎖国を続けて経済活動を滞らせているのが円安の原因だ」なんてことを言っている(金融リテラシーのない)外国人もいますが、最近、円安になっている最大の要因は、日銀の金融政策です。エネルギー価格の高騰などで金利が上がるのを防ぐために、日銀は国債を無制限で買い入れる指値オペを行ないました。これは海外では、日本政府が(異次元?)金融緩和政策を続け、低金利の継続、円安容認の表れと理解されています。

一方、アメリカは、インフレが加速していて、米連銀が金利上昇を始めました。(日本からアメリカへと)金利の高い方にお金が流れるのは、あたり前ですよね?(FX投資などをする人は、そういうのを見越して投資しているわけだが。)

金融や貿易に関与しておらず、投資もしていない人であれば、日本国内で為替動向を追う機会は、なかなかありません。旅行でもいいので、海外に出てみると、為替レートには、イヤでも敏感になります。

私は、今年に入って、毎月、違う国に滞在しているので、常に異なる外貨を使いながら、レートや現地の物価(相場感)を体で習得していきます(私は、元々、損得の嗅覚が強い人間なので、こういうのは得意。)

「やっと海外旅行に行けるようになったと思ったら、円安?!」という人もいるかもしれませんが、対ドルで円が安くなったといっても、1ヵ月で8%ほどです。世界には、同時期に対ドルで60%も急降下している通貨もあります。日本円に対しても40%以上下落しているので、為替だけ見るのなら、そういう国に行けば、お得感が得られるかも。次回は、そうした通貨危機に陥っている国について書きたいと思います。 

* 日本企業が儲かることで、日本全体が潤うみたいなことを思っている人たちがいるが、私は、もう10年以上前から、日本企業か海外の企業かにかかわらず、「多国籍企業=無国籍企業」と思っており、日本発祥のグローバル企業が海外で儲けたからといって、日本に住む人が潤うわけでもない。これは日本に限ったことではなく、グローバル化のデメリットの一つ。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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