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キルギス — 自然美あふれる景観

国の大半が砂漠のウズベキスタンと違い、国土の9割が山岳部から成るキルギスの魅力は自然美です。150以上もの山脈があり、4000メートル級の山々どころか、7000メートル以上の山もあります。その多くが山湖の湖も2000近くあり、一番大きなイシク・クル湖(Issyk-Kul)は琵琶湖の9倍の大きさです。

私は、首都ビシュケク(Bishkek)から車で、400キロ東にあるカラコル(Karakol)に向かう途中で、イシク・クル湖に寄りましたが(8月でも寒くて泳げなかった)、湖の南側には、アメリカのユタ州にあるような峡谷などの観光スポットが多々あります。

元々、遊牧民(nomad)だったキルギス人ですが、ソ連時代に定住が強制的に進められました。今も、ちょっと都会を離れると、馬や羊、牛の牧畜風景が広がり、移動手段として少年でも馬を利用しています。また、そこら中に移動式住居のユルタ(yurt)があり、観光客も宿泊することができます。

貧しい国

キルギスは、1991年、ソ連の崩壊とともに独立し、正式な国名をキルギスタンからキルギス共和国(Kyrgyz Republic)に変更しましたが、英語では、今もKyrgyzstanが主に使われています。

一人当たりの名目GDPは1800ドルで、中央アジアでタジキスタンに次いで2番目に貧しい国です。ビシュケクは、モダンできれいな街ですが、都市を一歩出ると、舗装されていないデコボコの道が多いです。ウズベキスタンからの国境を渡ったところでは、物乞いする人たちもいました。

(石油産出国の)カザフスタンの人に言わせると「キルギスは石油が出ないから(貧しい)」とのことで、キルギスの主な産業は農畜業や鉱業です。

街を走っている車は、ウズベキスタンに比べてボロ車が多く、日本から輸入した中古車も、(右側通行ですが)ハンドルが右のまま走っています。

一方、レクサスやベンツなどの高級車も、結構、走っています。カラコルのマルシュルートカ(marshrutka)で知り合ったキルギス人の青年は、「今、友人が日本を旅行していて富士山に登っている」と動画を見せてくれました。平均的な給与が3万円ほどの20代の若者が、どうすれば日本に旅行できるのかが不思議です。その青年自身(日本のアニメが大好き)は、「僕も日本に行きたいけど、お金を貯めるのに10年はかかる」とのことでした。

親日

キルギスは、中国と国境を接しており、ウズベキスタンと比べ、東アジア系の容貌の人が大半です。しかし、各都市で私はジロジロ見られました。(タシュケントの地下鉄内でもジロジロ見られた。)

ビシュケクでは短パンをはいた女性もいますが、地方に行くと、中高年の女性はロングドレスを着て、スカーフをしている人が多いです。

私は、ウズベキスタンのアンディジャン(Andijan)から車でキルギスとの国境に行き、(オシに行くために)キルギスには歩いて渡りました。国境の出入国施設は多くの人が行き来をしており、大した列もできていないのに、両国とも出入国には、結構、時間がかかりました。なお、キルギスの入国審査では、列ができていても、外国人は(優遇措置で?)列の先頭に連れていかれます。

キルギス側に入国すると、検問をしている軍人が、私のパスポートを見て「日本?!」と驚いていました。キルギスの国内線に乗った際も、保安検査員が、満面の笑みを浮かべて、大きくうなずきながら私にパスポートを返してくれました。他の外国人に対しては仏頂面だったのですが。

街中でも、私が「日本人だ」と言うと、”Wow!”という反応が返ってきたりしました。ちなみに、今回、周った国の中で、キルギスの人が一番親切な印象を受けました。

キルギス料理

キルギスの伝統料理にベシュバルマク(beshbarmak)という麺料理があります。チュチュク(chiuchiuk)という馬肉のソーセージも有名ですが、食べ損ねました。

中国と国境を接するキルギスは、ウズベキスタンと違い、中華料理のような(Russia meets Chinaという感じの)料理が多いです。とくに東部に行くと、中国の回族(Hui)出身のイスラム教徒、ドンガン(Dungan)人によるドンガン料理があり、中華料理に近いです。(カラコルには、清朝の迫害を逃れてきたドンガン人が建てたモスクがあるが、見かけは仏教寺院のよう。)

マンティ(manti)にサワークリームすらついてこないウズベキスタンと違い、キルギスでは、中華のような赤い辛いソースがついてきます。ドンガン料理の冷麺、アシュランフー(ashlyamfu)も辛目です(激辛にしてもらうことも可能)。中央アジアの料理には辛い料理が少ないのですが、辛いのが好きな人はドンガン料理がお勧めです。

車での旅

キルギスを旅する上での難点は、列車がないため、長距離を移動する際にマルシュルートカやタクシーなどに何時間も乗らないといけない点です。私は、英語ができるロシア人を通じて車を手配しましたが、送られてくる運転手はロシア人で、英語は一切話せませんでした。

私は、ビシュケクからカラコルまで10時間(途中で観光)、カラコルからカザフスタンのアルマトイ(Almaty)まで7時間、車で移動しましたが、とくにカザフスタンに入るまでの道はボコボコで疲れました。カラコルには国際空港があるのですが、今は使われていません。地元の人の話では、今年中に再開するとのことでしたが、まだ正式な発表はないようです。

私は美しい山々に囲まれたカラコルを非常に気に入ったので、来夏はカラコルを拠点にイシク・クル湖にも足を伸ばし、ハイキングに明け暮れたいと思っているのですが、ビシュケクから飛行機で飛べないとレンタカーを借りることになるかもしれません。

キルギスは標高が高いので、夏でも涼しいです。夏も、あまり暑くなくて、かつ観光客で混んでいない国をずっと探していたのですが、やっと見つけました。

なお、日本人は、キルギスにビザなしで60日間、滞在できます。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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