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ウズベキスタン(2)– 高速鉄道で快適旅

前回、サマルカンドやブハラ、ヒヴァなどの世界遺産について書きましたが、これらの都市には、首都タシュケント(Tashkent)から列車で行くことができます。

高速鉄道

ウズベキスタンで鉄道が建設されたのは、19世紀、ロシア帝国の時代です。南ロシアからタシュケントまで、トルクメニスタンを通った鉄道が完成した後、東部のアンディジャン(Andijan)まで延長されました。その後、鉄道はウズベキスタンの鉄道省の管理となり、今も国営鉄道です。

ウズベキスタンには、Afrosiyobと呼ばれる高速鉄道もあり、2011年にはタシュケントからサマルカンドまで(2時間)、2016年にはブハラまで(1.5時間)完成しました。新幹線ほど早くはありませんが、トイレを含め車両はきれいで快適です。かつ料金は安く、タシュケントからサマルカンドまでビジネスクラスでも2000円以下で乗ることができます。「もっと安く移動したい」という人は、普通の列車(Sharq)であれば、時間は倍かかりますが、1000円以下で行くことができます。

砂漠の中、ブハラからヒヴァまでは、高速鉄道はないので、4時間かかります。私はブハラを午前4時台の寝台列車に乗りましたが(1時間ほど遅れて到着)、寝台は小さく、トイレもあまりきれいではなく、高速鉄道のように快適ではありませんでした。(インドの寝台列車の方が快適。)ちなみに、駅は、どこも近代的な立派な建物です。

列車のチケットは乗車日の45日前から発売されますが、すぐに売り切れるので、発売開始後すぐに購入することが必要です。ウズベキスタン鉄道のサイトで購入でき、乗車時はQRコードを見せるだけです。(アプリもありますが、私はアプリではクレジットカードでの支払いがうまく行きませんでした。)

なお、タシュケント~ヒヴァ間は、飛行機で移動することもでき、最寄りのウルゲンチ(Urgench)空港は、ヒヴァから車で1時間弱です。

治安・忘れ物

中央アジアの治安がよいことは、すでに書きましたが、タシュケントからサマルカンドに行く車内にノートPC(laptop)を忘れたときのことです。車内で、このコラムの原稿を書いていたのですが、タブレットより少し大きいくらいのサイズで、座席の横に落ちていたことに気づきませんでした。

気づいたのは、ホテルにチェックインしてから数時間後で、すぐにフロントに行って、鉄道会社に電話をしてもらいました(直で電話しても英語は通じないので。)すると、すぐに見つかり、その列車が夕方5時にサマルカンドに戻ってくるので、駅まで取りに来るようにということでした。

フロントの若い男性が「一緒に駅まで取りにいくか、パスポートを渡してくれれば、自分が代わりに取りに行く」と言ってくれたのですが、自分のPCであることを確かめて受け取りたかったので、一緒に行くことにしました。(※1)

列車が着いた後、私のPCを抱えて歩いている職員をホームで発見し(やっぱり自分で行ってよかった)、無事手元に戻ってきました。ホテルのスタッフには「地元の人は盗まないから大丈夫。忘れ物はちゃんと出てくる」と言われていたのですが、その通りで、感激しました。(アブダビも同様。)

タシュケント

首都タシュケントには、観光スポットは少ないので、あまり滞在する必要はないという人が多いのですが、私は長期滞在する場所としてタシュケントが気に入りました。おしゃれなレストランやカフェがたくさんあり、飲食店では英語が少しは通じるところが多いです。

タシュケント市内はYandex(タクシー)で手軽に移動でき、空港から駅までが高くて200円ほどで、近距離はもっと安く移動できます。地下鉄やバスなど公共交通機関も整っており、地下鉄は一乗り20円ほどです。(ヨーロッパのように)改札でクレジットカードをタップするだけで乗ることができます。駅員は一切英語が話せず、ウズベク語かロシア語が読めないと券売機で切符を買うのも大変なので助かります。

タシュケントの地下鉄は、1977年に中央アジアで最初の地下鉄として開業しました。ソ連時代の美しい装飾やアートが見られる観光スポットとなっている駅もあります。

私がタシュケントに着いた7月末には、気温は37度ありましたが、タシュケントには公園が多く、地下鉄の駅まで歩くのに10~15分かかっても、木の茂った公園の中を歩けるので、あまり苦になりませんでした。なお、一番暑かったのは、砂漠の街、ヒヴァでした(日陰がない)。

ウズベキスタン料理

私が、ウズベキスタンに行きたかったのは、やはり本場のウズベキスタン料理が食べたかったからなのですが、アメリカで気に入っているロシア料理の店のシェフが、2軒ともウズベキスタンの人なのです。

ウズベキスタンの伝統料理(national dish)といえば、ピラフ(プロフ)です。私はアフガニスタン料理も好きなのですが、アフガニスタン料理のピラフ(palau)やマンティは、ウズベキスタンのものと非常によく似ています。ウズベキスタンと国境を接しているアフガニスタンですが、隣国イランと同じ(ダリー語と呼ばれる)ペルシャ語を話し、イラン料理にも、よく似たピラフ(polo)があります。(※2)

ウズベキスタンのプロフ(plov)には、通常、羊肉が使われるのですが、ブハラでは羊肉版が売り切れていたので、馬肉版を食べました。また、プロフには、ご当地版があり、標準的なブハラ版に比べ、サマルカンド版は見た目が黒っぽく、脂分が多いため、ねっとりしています。私はブハラ版の方が気に入りました。

中央アジアで広く食べられている麺料理、ラグマンですが、ヒヴァでは、一般のラグマンとは違う香草を練りこんだ緑の麺、シビットオッシュ(Shivit Oshi)が食べられます。

・美食の国

私は、トブリシ(Tbilisi)からタシケントまでウズベキスタン航空に乗ったのですが、3時間のフライトで、エコノミーでも、すごい量の食事が出てきて、かつおいしかったです。(エコノミークラスの料理では、今までで一番おいしかった。)それで、「この国では食が重視されているのだな」と思ったのですが、ホテルに泊まって、それを確信しました。とくにタシケントで泊まったホテルの朝食が豪華だったのですが(2時間くらい食べ続けたかった)、レストランに入ってきた日本人観光客がブッフェを見て、思わず「すごい!」と叫んでいました。

(※1) 駅に向かう途中や、駅で列車を待っている間に、一緒に行ってくれたホテルのスタッフといろいろな話をしたのだが、大学で観光学を勉強しながら、ホテルに住み込みで働いているとのこと。旅行が好きだし、海外に住んでみたいので、留学したいということだったが、ウズベキスタンに限らず、中央アジアの人たちがアメリカのビザを取得するというのは至難の業で、「UAEに行こうかと思っている」とのことだった。

(※2)サマルカンド、ブハラ、タジキスタンと国境を接するウズベキスタン南部には、タジク人(Tajik)と呼ばれるイラン系民族が多く居住。人口の5%と言われているが、実際にはもっと多いらしい。ペルシャ語の方言のようなタジク語を話す。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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