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ウイズコロナ時代の海外旅行(7) – リスク(続)

今回は、別のことを書こうと思っていたのですが、日本政府は、先週、突然、アジア諸国や欧米など106ヵ国からの入国制限を解除しましたね。訪日を待ちわびている外国人が「これで、やっと日本に行ける!」と喜んだのもつかの間。ビザ免除措置は停止されたまま、発給済みのビザも無効のままで、留学生や出張者など一部を除いて新たなビザの発給も停止されているので、結局、入国できるのは一部のビザ保有者のみという状況は、今までと、ほぼ変わりはありません。*

政府が上記の入国制限を(少なくとも法律上)緩和したのは、その106ヵ国に対して、感染症危険情報をレベル3の「渡航中止勧告」からレベル2の「不要不急の渡航はやめてください」に引き下げたからのようです。募集型の企画旅行は、レベル2でないと再開できないらしく、旅行会社は、これでやっとゴールデンウィークを目途にハワイへのツアーを再開するようです。(「いつになったら海外に行けるの?」という人たちは、ツアーの再開を待っていた?)

ウイズコロナ時代の海外旅行のリスクについては、これまでに列挙しましたが、ゴールデンウィークに「二年ぶりに海外旅行を!」と予定している人もいると思うので、注意点を少し追加しておきます。

予想外のイタリア国内障壁

私は今月、モルディブからアルバニアに向かうつもりだったのですが、昨秋に続き、またもアルバニア行きの便がキャンセルされてしまいました。2週間アルバニアを周遊した後、フェリーでイタリアに入るつもりだったのですが、アルバにはパスして、モルディブからイタリアに直行することにしました。

イタリアは、4月1日から飲食店や公共交通機関など利用時に必要なワクチンパスポートである”Green Pass”が不要になると聞いていました。また、EUは、正式にワクチン接種証明の有効期限を9ヵ月と決定していたので、私は、昨年8月に受けたワクチン接種証明(アメリカのvax card)で問題ないと理解していました。実際に、イタリア入国(正確にはイタリア渡航便への搭乗)は問題なくできました。

ところが、まったくの想定外(勉強不足)だったのが、イタリア国内ではワクチン接種証明の有効期限が半年と決められていたことでした。また、4月1日からGreen Passが不要になるのは、飲食店での屋外飲食、地域内の公共交通機関で、店内での飲食や地域外の公共交通機関では、4月中はGreen Passが必要なのです。

しかし、ローマからベネチアに向かう列車乗車時には、ワクチン接種証明の提示も何も求められず、駅に隣接の市場(フードコート)での屋内飲食時にも、何の証明も必要ありませんでした。

ベネチアに着いてからも、2日間、カフェやレストランで問題なく屋内飲食できていたのが、3日目に、あるカフェで「屋内で飲食するにはGreen Passが必要」と言われたのです。「外国人の場合、ワクチン証明書でもOK」と言われたのですが、携帯していなかったため、屋外で飲食しました。(ベニスのカフェやレストランでは、大半が屋外にテーブルを設置しているので問題はない。)

それで、昼食に予約していた(星付き)レストランには、ワクチン接種証明を持参したのですが、「三回目接種をしていないのなら、ワクチン接種は6カ月以内でないと有効ではない」と言われたのです。そのレストランは、屋外にもテーブルがあったので問題なく飲食できましたが。

その翌日も、別の(星付き)レストランを予約していたのですが、ネットの写真で屋外にもテーブルがあることを確認していました。ところが、当日、行ってみると屋外にテーブルはなく、「店内での飲食にはGreen Passが必要。うちは屋外にテーブルはないから」と門前払いとなりました。

そこで、別のレストランに行ったところ、屋外にテーブルはあったものの、人通りが多いので、「Green Passなしで店内で飲食できる?」と聞いたところ、OKでした。カフェでも、Green Passの提示なしに店内飲食できるところも多々あるので、店次第ということのようです。(とくにカジュアルな店では忙しいので、一々、確認していられない。)

その翌日、ベネチアからナポリに飛行機で飛ぶ際にもGreen Passが必要ということで(外国人観光客だからといって、航空会社は、そんなことは一々教えてくれない)、当日、薬局で抗原検査を行いました。(空港でもできるが、薬局の方が安い。)ワクチン三回目接種をしていなかったり、ワクチン接種の有効期限が切れている人は、抗原・PCR検査の陰性証明がGreen Pass扱いとなります。ただし、抗原検査の場合、有効期限は48時間、PCR検査の場合、72時間なので、国内旅行や屋内飲食をしようとすれば、数日ごとに検査を受け続けなければならないということです。** (ワクチン三回目を接種したにもかかわらず、コロナに感染している人など欧米に山ほどいるのに、それが免罪符になるというのが意味不明。ワクチンを接種させるためのインセンティブなのだろうが。)

また、検査をする限り、陽性になるリスクが常につきまとうわけで、たとえ自主隔離ですむとしても、旅行が中断されることになります。仕事がある人は、予定通りに帰国できないリスクがあるということです。

意外と厳しいマスク着用義務

イタリアでは、2月に屋外でのマスク着用義務は解除となりましたが、屋内(かつ屋外でも人が密集した場所)での着用義務は続いています。(日本よりも狭い路地で、多数の人とすれ違うのだが、大半の人は屋外ではマスクなし。)

ベネチアの空港に向かうのに船に乗ろうとしたところ、「FFP2のマスクでないと乗船できない」と不織布マスクは拒絶されました。(私も機内では常にFFP2を着用し、持参しているので付け替えるだけだったが。)

“FFP”は”filtering face piece”の略で、2は保護のレベルを表します。「FFP2マスク」は着用者も保護する”respirator”扱いとなります。この手のマスクは、アメリカでは”N95 respirator”と呼ばれています。KN95やKF94がFFP2相当となります。(私もヨーロッパに行くまで”FFP”というのは聞いたことがなかった。)

教会などの観光名所では、「FFP2か不織布(surgical)マスク着用のこと」という注意書きがあり、不織布マスクでも問題なかったのですが、(運河以外の)船や飛行機ではFFP2マスクを着用していないと、職員に注意されるのです。(イタリアでは大半の人がKN95のマスクをしている。ヨーロッパには、他にもFFP2マスクの着用を義務付けている国アリ。)

空港では、マスクをしていなかったり、顎マスクの人には、警察官が「マスクをするように」と促していました。アメリカよりもずっと厳しいのには驚きました。自国では、こんなに厳しいのに、海外に行くと(とくにモルディブにはイタリア人観光客が多数)、イタリア人観光客はマスクをしていないというのは、どういうことなのか…

イタリアで屋内飲食や国内旅行にはGreen Passが必要ということを知っていたら、私はイタリアに来ていませんでした。EUのルール以外に各国のルールもちゃんと調べておかないといけないという教訓となりました。

各国で異なるルールを遵守するどころか、調べるだけでも面倒という人は、旅行会社にお任せのツアーで旅行するか、渡航国ですべての規制が解除されるのを待つのがいいかもしれません。

* なのに、相変わらず、ビザの仕組みを理解していない人たちから「国内の感染者が増えているのに、なぜインバウンドを解除するのか」という声が。こういう国民の声があるから、少なくとも参院選が終わるまで、政府は開国しないんでしょうね。まさか、ニュージーランドにまで開国で先を越されるとは…

** ナポリのレストランで陰性証明を提示すると、「ワクチン接種証明は?」と聞かれる羽目に… 政府の規則がコロコロ変わるので、それを現場で執行する店側も大変なのだろうが、実に面倒。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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