Global Career Guide
今回は、前々回に紹介したアンケート調査で、インドで挙げられた「わかりにくくてミスコミュニケーションを起こしやすいjargonワースト5」を紹介したいと思います。というのは、下記の表現は、アメリカのビジネスシーンで非常によく使われる表現なのです。
1. Keep me in the loop 2. Take offline 3. Win-win situation 4. Core competency 5. Value-add |
まず、”loop”ですが、元々、「輪」という意味で、日本語でも「ループを描く」「無限ループ」などのように「ループ」として使われます。
”Keep me in the loop”で「輪の中に入れておく」という意味ですが、アメリカでは”the loop”には「意思決定などに影響をもつグループ」という意味もあります。そこで、”Keep me in the loop”で「情報の輪の中に入れておく」「情報を共有する」という意味で日常会話でも使われます。
Keep me in the loop, please.
(私にも逐次最新情報を教えてね。私にも情報を共有してね。)
Can you keep the entire team in the loop?
(チームの全員に情報を共有してくれる?)
準公用語が英語で、大卒のホワイトカラーであれば皆、英語を理解するインドでも、意味がわからないという人が多いのですから、とくに非英語ネイティブとのやりとりでは、下記のように一般的な表現を使った方が無難です。
Keep me posted.
Keep me updated.
Keep me informed.
「ウィンウィン」は、日本語でもかなり浸透していると思うのですが、「双方にメリットのある」という意味ですね。英語でも名詞として”a win win”だけでも使えますが、形容詞として”win-win situation”のように使われることも多いです。
The new partnership between the companies is a win win.
(両社の新たなパートナーシップは、ウィンウィンだ。)
This will create a win-win situation for everyone involved.
(これは、関係者全員にとってウィンウィンになる。)
ちなみに、一方だけメリットがある状況は、”win lose situation”です。
It’s kind of a win-lose situation. They won’t agree to that proposition.
(それは、どちらかというとウィンルーズだね。彼らは、その提案には同意しないだろうね。)
日本のビジネスシーンでも「コアコンピテンシー/コンピテンス」として使われていますので、聞いたことのある人も多いでしょう。「他社には真似できない企業の中核になる能力、強味」という意味です。
The company’s core competency lies in its patented technology.
(その会社のコアコンピテンシーは、特許取得済みの技術にある。)
これこそ”business jargon”で、英語圏のビジネスピープルにも、はっきり意味を理解せずに使っている人もいるのではないかと思います。経営学者が提唱した概念ですが、元の意味で使われていない場合も多々あります。
下記のようなbusiness jargon満載の表現は、ビジネススクールでは飛び交っていますが、非英語ネイティブとやりとりする場合、(たとえば英語圏のビジネススクール出身者など)話し相手が理解しているという確信がない限りは避けた方がいいでしょう。
Identifying your business’s core competencies gives you a sustainable competitive advantage over other companies.
(自社のコアコンピテンシーを見極めることで、他社に対し維持可能な競争優位性が得られる。)
日本語では「付加価値」という表現は浸透していると思いますが、それに当たる表現です。
We need to provide more value-add(ed) services.
(我々は、もっと付加価値のあるサービスを提供すべきだ。)
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。