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Z世代の飲酒離れ–世界的傾向

日本では、最近ノンアルコール飲料が急増しており、スーパーにはノンアルコーナーも設けられています。

日本では、20代の約6割が日常的にほとんど飲酒をしないと言われています。2023年の調査では、20代の2割が、飲めないわけではないのに「ほとんど飲まない」「飲酒をやめた」と回答し、「飲まない、飲めない」層を含めると20代の6割に達しているということです。

こうした若者の飲酒離れは日本だけでなく、世界的な流れとなっています。最近、どこの国に行ってもやたらモクテル(mocktail)を見かけるのですが、以前は主にイスラム教国で見かけたものでした。

「飲めないわけではないが、あえて飲まない」を意味する”sober curious”という表現も生まれています。”Sober”とは「シラフ」という意味です。

”Sober curious movement”(あえて飲まない運動)、”NoLo (no and low alcohol) movement”(ノンアル・低アル運動)というのは世界的なトレンドとなっており、各国の飲酒メーカーもそうした市場の動きに合わせた製品を次々と発売しています。

イギリス

先月、イギリスの非営利団体が行った調査では、イギリスの飲酒者の44%が「ノンアルコールや低アルコール飲料を利用する」ということで、2018年に比べて13ポイント上昇しています。また、低アルコールよりもノンアルコール飲料の利用が増えているということです。

とくに若い世代(18~34歳)の間では28%から49%と大幅に上昇しています。一方、ノンアルコールや低アルコールの利用が一番少ないのが55歳以上でした。

イギリスでは、その文化でもあるパブの閉店が相次いでおり、今年前半だけでも209軒(週に8軒の割合)が廃業しました。2020年から2000軒以上減っており、減少率は25%以上にのぼっています。なお、こうした背景には若者の飲酒離れだけではなく、パブ経営に重くのしかかる税金や社会保険料、人件費(最低賃金)、原料費、光熱費の上昇があります。

ドイツ

世界的に一人当たりの飲酒量が一番多いのはヨーロッパですが、2010年から2020年にかけて、EUの一人当たりの年間アルコール消費量は0.5リットル減少しており、40年前に比べると(1980年12.7ℓ、2020年9.8ℓ)23%も減少しています。

EUの中ではドイツでの飲酒量が一番多く(10.6ℓ)、次いでフランス(10.4ℓ)なのですが、そのドイツでも、若者の飲酒量が減っています。

今年1~5月の販売量は34億リットルで前年同時期比7%減となっており、ドイツ統一以降、最低の数字だそうです。それも、飲酒量が減っているだけでなく、減少量も加速していると言います。2024年までの10年で15%減っており、一人当たりの年間平均飲酒量は111リットルから、2023年には88リットルに減少しました。

メーカーにとって唯一の救いはノンアルコール飲料の消費量が伸びていることで、ビール販売総量の10%を占めるに至っています。生産する飲料の4分の1がノンアルコールというビールメーカー(brewer)もあるそうです。

飲酒減少の最大の原因は、コロナでパブやビアガーデンに集まって飲むことが減ったことと分析されています。ビール生産量は、未だコロナ前のレベルに戻っていないのです。

さらに、価格の上昇、若者の健康志向、高齢化、イスラム教徒の増加が理由として挙げられています。

消費が減少する一方生産コストは増大する一途で、全独ビール醸造協会では、多くのメーカーがつぶれるかもしれないと警鐘を鳴らしています。

アメリカ

アメリカでは近年、ノンアルコールバー(non-alcoholic bar、sober bar)が増えていますが、従来のバーでも「今後、NoLo飲料を提供しないと生き残れない」という業界人もいます。NoLo movementは、ベジタリアンやグルテンフリーと同じようなトレンドとして広がっていくと思われるからです。

今年7月に行われたアンケート調査では、「飲酒をする」という人は54%で、調査開始以来、過去90年で最低の数字だそうです。とくに若い層での減少が大きく、2023年の59%が2024年からは50%に減っています。

健康志向

飲酒をする人が減っている一因に健康志向がありますが、「一日に1~2杯の飲酒でも健康に悪い」と信じる人が、今年初めて半数を超え53%に達しました。この割合は、2018年には28%、2023年には39%だったのですが、2024年に45%で、ここ数年で急増しているのです。なお、18~34歳では「健康に悪い」と考える人は66%に達しています。

インクルーシブ

アメリカの消費者の60%が「仲間の存在がノンアルの選択に影響する」と答えています。体質的または身体的(妊婦など)、宗教的にお酒を飲めない人が同席している場合は、飲めない人が疎外感を味わないよう配慮してノンアルや低アルを注文する人が多いということです。

「飲む人も飲まない人も、みんな飲みトモ」で、「何を飲んでもええねん」という日本のビールメーカーのCMがありますが、それと同じような仲間への気配りということでしょう。このように”inclusive”を打ち出さないと飲酒メーカーも生き残れない時代になってきているのでしょうね。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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