Global Career Guide
先週月曜(2月3日)からコタキナバルの街の人混みや滞在しているビルのプールの混み具合がマシになった(春節の前に戻った)と思っていたら、マレーシアの春節の祝日は28日と29日だけだったそうです。31日金曜に有休を取って(ウソをついて病欠の人も)5連休だった人たちが月曜に職場に戻ったようです。(華人経営の商店には2週間休業のところもあり。ショッピングモールのフードコートも閉まっているのは中華系だけ)
今は、昨年も滞在したセンポルナ(Semporna)の水上リゾート(water villa)にいますが、昨年は春節(CNY)の真っ只中に泊まったため宿泊客の9割が中国人だったのが、今年は春節のピークを過ぎているからか、中国人観光客が5割ほど、次に多いのがヨーロッパ系、マレー系といった感じです。*
ところで、1月末に、マレーシア観光芸術文化大臣が発表した2024年の観光客数3800万人という数字は、2月に入って同じ大臣が正式に国会に提出した資料では2500万人になっていました。(1300万人も乖離?!国会で追及されたみたいで、それに対する回答で資料を提出か?)
ということは、東南アジアで海外からの観光客が最多なのは、依然タイで、マレーシアは大きく離された二番手ということになります。
また、2004年のマレーシア政府目標2730万人には及ばなかったということですが、2023年に比べ、24%増加しています。国別では、シンガポール(36%)、インドネシア(15%)、中国(13%)、タイ、ブルネイの順で多くなっていました。
マレーシアでは、昨年から、Visit Malaysia 2026(VMY2026)という観光客誘致キャンペーンを開始しており、2026年には観光客3560万人、観光収入1470億RM(約330億ドル)を目標としています。
なお観光業は、同国のGDPの15%を占め(タイは18%)、400万人ほどを雇う最大の雇用を生む業界とのことです。
一方タイ政府は、2025年、観光客数3900万人、観光収入3.5兆バーツ(15兆円以上、2024年のほぼ倍)を目標としているので、当分はタイのリードが続きそうです。2024年、タイを訪れた中国人観光客は670万人で、国別では最大ですが、それでも全体の19%で、マレーシアよりタイの方がアウトバンド国が分散しているようです。
タイでは今月、中国人観光客の安全への懸念を払拭するため、首相が「私には中国人の血が流れている。タイが中国人観光客にとって安全であることを保障する」(論理の破綻?)と発言しました。 **
なお、タイの観光大臣は、2024年「日本よりも観光客数も観光収入も低かったが、他国との競争ではなく、2019年の自国の数字を上回ることが優先」と発言しており、日本に抜かれたのはショックだったのかもしれません。2019年、タイを訪れた観光客は4000万人弱で、史上最高を記録しました。
2024年にはインドからも100万人の観光客が訪れたということで、マレーシア政府は今年、それを160万人に増やすことを目標としています。同国では、インドに対しても、2003年12月からビザを免除しています。インドからの観光客が倍以上に増え、インドからペナンやランカウイにもインドからの直行便が飛ぶなどインドからの便が大幅に増えました。
タイも、インド人観光客に対しビザを免除したおかげでインド人観光客が前年比30%増え(210万人)、2024年に中国、マレーシアに次ぎ、第三位のアウトバンド国となりました。
シンガポールを訪れるインド人も増えており、2024年、オーストラリアとマレーシアを抜き、インドが3位のアウトバンド市場に躍り出ました(1位中国、2位インドネシア)。昨年、インド人観光客にバウチャーを進呈するプロモーションまで行ったようです。
消費額では、中国からの観光客が最大で36億ドル、2位のインドネシア(21億ドル)の10倍以上です。なお昨年、日本からの観光客数および消費額も大きく伸びたそうです。
中国経済の景気減速で、海外旅行をする中国人も減り、爆買いも期待できない今、人口世界最大のインドは、次のアウトバンド市場として各国が狙っています。中国と海外拠点を結ぶ航空ルートは43%収縮し、中国人観光客の減少は、世界の旅行経済の1300億ドルもの減少につながっているそうです。
2024年前半、1500万人のインド人が海外を旅行しましたが、前年比14%増で、消費額は317億ドル、前年比25%増でした。インドは、2019年にはアウトバンド市場で世界10位でしたが、2027年には5位に上昇し、消費額は890憶ドルに達すると予測されています。
インドの人が海外に行くのは、ビザ取得が超大変だったのですが、近年、インド人に対してもビザ免除をする国が増えています。日本への観光にはビザが必要ですが、昨年からeビザ(電子査証)が可能となったので(わざわざ大使館や領事館まで出向かなくてすむ)、インドの人は「日本に行きやすくなった」と喜んでいます。
カザフスタンも3年前から、インド人観光客はビザなしで入国できるので、昨夏、当地で多くのインド人観光客に出会いました。(アルマトイの郊外にある中央アジア最大のスキーリゾート[Shymbulak/Chimbulak]では、9月初めに雪が降り積もったのだが、大半のインド人観光客が夏服着用で、凍えていた)
日本を訪れるインド人旅行者も、2024年には前年比40%増で、過去最高でしたが、わずか23万人で東南アジアに比べると桁違いですね。訪日客6000万人を目標として掲げる政府も、インド人観光客誘致合戦に加わるのでしょうか。
* 食事時間も喧噪としてないし、静かでいいなと思っていたら、翌日に中国人中年女性5人グループが到着。何をそんなに怒鳴り合っているのかと思ったら、台湾在住のイギリス人彼氏と一緒の台湾人女性によると「彼女たちは、ただしゃべっているだけ」と。怒っているわけではないらしい。そのカップル、シュノーケリングツアーで、その5人組と一緒だったらしいのだが、出発時間を過ぎても、写真を撮りまくって、ボートに乗っている他のツアー客を待たせたそう。夕食時にはグループ全員で歌まで歌いだして、地元のスタッフも驚いていた。
** 私のアメリカのビジネススクール時代のクラスメートにタイ人がいて、バンコクでの結婚式に招待されたのだが、中国語で書かれた赤い封筒が届いて初めて、彼女が華人だったことを知った。容姿は、まったく東アジア系に見えなかったので。タイの華人は、近隣諸国に比べ、地元に同化しており、名前もタイ化していてわからない。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。