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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(81)–Shrinkflation

先週、自民党総裁選が始まりましたが、世論調査では「新総裁にもっとも取り組んでほしい」テーマとして「物価」と答えた人が45%で、ダントツ一位でした。

欧米に一足遅れて日本に襲来した物価上昇ですが、そうそう価格はつり上げられないので、容量・サイズを小さくする手法もよく見られます。私の好きなパン(ベーカリーで買うハード系)は、値段の上昇以上に、サイズがどんどん小さくなっています。コンビニなどのコーヒーのカップも小さくなっているような…

こうした見えにくい、こっそりやる値上げを日本語では「ステルス値上げ」というようですが、英語では”shrinkflation”(縮むインフレ)という表現が使われます。「縮む、小さくなる」という意味の”shrink”と”inflation”を合わせた造語で、アメリカでは10年ほど前から聞かれるようになりました。

正確に言えば、「ステルス値上げ」はサイズが小さくなるshrinkflationだけではないのですが、英語では、他の値上げ手法を表すのに下記のような表現もあります。

Skimpflation

価格は同じで品質が落ちるという意味で、サービス要員の削減などにも使われます。たとえば、焼肉屋の肉質が落ちたとか、トイレットペーパーの紙質が落ちたとか、食品の成分が低コストな原料や配分に変わったといったことです。セルフレジ(self checkout)も、一種のskimpflationではないでしょうか。スタッフがやっていた作業を顧客が自分でやるわけですから。

なお、”skimp”とは「節約する、ケチる」という意味です。

Don’t skimp on safety issues.
(安全面でケチるな。)

The builder skimped on the quality of materials to save costs.
(その建設会社は、コスト削減のために材料品質で手を抜いた。)

Sneakflation

価格は同じで特典が減ったりすることです。週に4回ほど15%オフの(アプリ)デジタルクーポンをくれていた大手ドラッグストアチェーンが、月に数回しかくれなくなったのですが、これは”sneakflation”です。

“Sneak”も、”stealth”と同じように「こっそり」という意味ですが、「卑劣な」という意味合いが含まれ、ネガティブな意味で使われます。

The enemy made a sneak attack to invade the country.
(敵は、その国を侵略するために奇襲を行った。)

He sneaked out of the classroom.
(彼は、こっそり教室を抜け出した。)

Shrink

「縮む」という意味の”shrink”は、下記のように使われます。なお、”shrink”の過去形は”shrank”、過去分詞形は”shrunk”です。

I think the package has shrunk. = the package got smaller.
(パッケージが縮んだと思う。)

My favorite bread keeps shrinking. = keeps getting smaller.
(私のお気に入りのパンが、どんどん小さくなっていく。)

I shrank by 1 cm over the last 12 months. = I got 1 cm shorter.
(過去1年で背が1センチ縮んだ。)

The sweater shrank after washing.
(洗濯したらセーターが縮んだ。)

”Shrink”は、物だけでなく、下記のような事象にも使われます。

The US economy shrank by 0.3% in the first quarter of this year.
(アメリカ経済は、今年の第一四半期に0.3%縮小した。)

The gender pay gap shrunk by 25% over the last 30 years.
(男女の賃金格差は、過去30年で25%縮小した。)

The AI race has already shrunk to the Big 4 key players.
(AI競争は、すでに大手4社に絞られている。)

 なお、“shrink”の名詞は”shrinkage”です。

Natural fabrics are more susceptible to shrinkage than synthetics.
(天然繊維は、化繊より縮みやすい。)

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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