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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(64)– Global South

先週、今年のBRICSの議長国であるブラジルが、インドネシアのBRICSへの正式加盟を発表しました。人口世界第四位のインドネシアは、東南アジアの国として初めてのBRICS加盟国となります。

まず、BRICSが、Brazil, Russia, India, China, South Africaの頭文字の略であることは、皆さん、
知ってますよね。

昨年、アラブ首長連邦(UAE)、エジプト、エチオピア、イランの4ヵ国が加盟したため、今回のイ
ンドネシアを含め、加盟国は計10ヵ国となりました。

また、昨年10月、カザンで開かれたBRICSサミットで準加盟国となる「パートナー国(partner
country)が創設され、今年からべラルース、ボリビア、キューバ、カザフスタン、マレーシア、ナイジ
ェリア、タイ、ウガンダ、ウズベキスタンの9ヵ国がパートナー国として加わりました。

これで、BRICS諸国は、世界の人口の半数ほど、PPP(購買力平価)ベースでGDPの4割以上を占
めるということになり、今後も拡大が続くと思われます。

グローバルサウス

インドネシアでは、BRICS加盟によって、他のグロバールサウス諸国との貿易や投資の拡大を期待しているそうです。この「グローバルサウス」という言葉、近年、よく聞かれるようになりました。

Global Southとは、元々、1960年代に生まれた言葉なのですが、先進国が多いGlobal Northに対して、南半球に途上国が多いことから生まれた表現です。

ただし、インドや中国のようにGlobal Southに含まれる多くの国が北半球に位置していますし、オーストラリアやニュージーランドのように南半球に位置していても、Global Southには入っていない国もあり、その定義は地理的なものとは限りません。

”Global South/North”という表現は、冷戦(cold war)終結後に、次第に使われるようになりました。というのも、冷戦時代に世界を政治的・経済的に分類する表現として、「第一世界(First World}”(西側諸国)、「第二世界(Second World)」(東側諸国)、「第三世界(Third World)」(開発途上国)がありましたが、ソ連崩壊とともに”Second World”がなくなったため、時代にそぐわなくなったからです。

また、”Third World”という表現は蔑視的と考えられ、次第に使われなくなったという背景もあります。(といっても、英語では今でも結構使われている。日本語で未だに使われている「後進国」の方が蔑視的。)*  

定義はさまざま

どの国が「グローバルサウス」に含まれるのか、という正式な定義は存在せず、さまざまな解釈があります。たとえば、2023年1月に、`インドのモディ首相が主催したバーチャル「グローバルサウスの声サミット」には、125国が参加しました。(ライバル国の中国やパキスタンは不参加。)

国連の「77ヵ国グループ(Group of 77)」は、開発途上国を中心にした連合体ですが、134ヵ国から成ります。なお、国連では、現在181ヵ国・地域を途上国(developing countries)、67ヵ国を先進国  (developed countries)と位置づけています。

The Global South

英語ニュースに目を通していれば、しょっちゅう見かける表現ですが、Global South/Northの例文を少し挙げておきましょう。なお、英語では、Global South/Northの前には”the”がつきます。

This month Indonesia joined BRICS as a full member, strengthening Global South collaboration.
(今月、インドネシアがBRICSに正式メンバーとして加盟したが、これはグローバルサウスの協力強化につながる。)

South Africa said the BRICS’ goal was to advance the agenda of the Global South.
(南アフリカによると、BRICSの目標は、グローバルサウスの方針を推進することだ。)

India hosted the 3rd Voice of Global South Summit in August 2024 in virtual format.
(インドは、2024年8月、バーチャルで「第三回グローバルサウスサミットの声」を主催した。)

PM Modi said India is becoming the voice of the Global South.
(モディ首相によると、インドはグローバルサウスの代弁者となりつつある。)

Under the UNCTAD definition, both Russia and Ukraine would be considered part of the Global South.
(国際連合貿易開発会議の定義では、ロシアもウクライナも、グローバルサウスには含まれていない。)

Turkey is considered one of the six leading middle powers of the Global South.
(トルコは、グローバルサウスの主要なミドルパワー6ヵ国のひとつと考えられている。)

Malaysia’s PM is calling for international financial reforms, emphasizing that the current system benefits the Global North at the expense of the Global South.
(マレーシアの首相は、現在の国際金融制度は、グローバルサウスの犠牲によってグローバルノースが得をするものだとし、改革を求めている。)

* 日本では、メディアを含め「~後進国」といった表現を(自国に対しても)使っている人たちがいるが、世界的視野や教養の欠如丸出しなので、グローバルの舞台で活躍しようという人は使うべきではない。日本でも、かなり以前に「差別用語」として使われなくなったはずなのに…

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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