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新年おめでとうございます。本コラムの執筆を始めて、今年で12年目となりますが、今年も、よろしくお願いいたします。
日本では、今回の年末年始は9日連休ということで、海外で過ごされた方も少なくないのではないでしょうか。私は、例年通りスリランカに1ヵ月滞在した後、1月2日にタイに向かったのですが、コロンボの空港では、あちこちから日本語が聞こえてきて、予想以上の日本人観光客が出国の手続きをしていました。
一方、年末年始の渡航先として、Google フライトの検索で一番多かったのが東京でした。昨年後半から、東京と京都も「オーバーツーリズム(overtourism)のため、2025年には避けるべし」都市リストに載るようになったというのに。
2024年の訪日外客数は、11月までで3300万人を超え、史上最高となりました。私が今、滞在しているタイでは、昨年(12カ月間)の観光客数が3500万人を超えたのですが、それに迫る勢いです。
日本では「日本は海外から観光客が殺到する安い国になった」という人たちがいますが、私は、毎年、10ヵ国ほどを点々と(ノマド)し、かつ訪日旅行の(英語)オンラインコミュニティにも参加していますが、「日本がcheapになった」という人に出会ったことはありません。
日本を訪れた、訪れたいという人たちの感覚は、「日本は物価が高いと思っていたが、実際はそうでもない。円安でaffordableになった」というものです(未だに80年代のまま高いと思っている人たちもいるが)。 先月、英米のメディアで、下記の見出しの記事が掲載されていました。(こうした記事でも紹介されているが、affordableになった最大の要因は円安)
How to make the most of a holiday/vacation in newly affordable Japan? *
(新たに手が届くようになった日本で、休暇を最大限に活かすには、どうすればいいか?)
One Of The World’s Most Iconic Travel Destinations Becomes Very Affordable If You Avoid Its Capital City. (首都を避ければ、世界でもっとも有名な旅行先のひとつは非常に手頃になる)
”Affordable”というのは、「手が届く」「無理なく買える」「それほど高くはない」という意味であり、”cheap”とは違います。 たとえば、ミシュランの星付きレストランでも、バカ高いところもあれば、affordableなところもありますが、(ビブグルマンでなければ)cheapなところはないでしょう。
デジタルノマドのオンラインコミュニティでは、「月1000ドル以下で滞在できるところを探している」といった書き込みが多いのですが、そうした人たちの渡航先は東南アジアや南米であり、「格安渡航先」として日本が挙げられることはありません。日本の物価上昇率は、コロナ後の欧米に比べて大したことはないですが、今も、日本の方が価格が高い物などいくらでもあります。
下記に、”affordable”の例文を挙げておきます。
How affordable is Tokyo?
(東京は、どれくらいお手頃?)
Which city is the most affordable in Asia?
(アジアでは、どの都市が一番お手頃?)
Homelessness in the U.S. jumped 18% in 2024 due to a lack of affordable housing.
(手ごろな価格の住居不足で、2024年、アメリカのホームレスは18%増加した)
形容詞”affordable”の動詞形は”afford”で、「買うことができる」「金銭的に~する余裕がある」という意味です。
I can’t afford such expensive shoes.
(そんな高い靴は買えない)
We can’t afford to eat out more than once a week.
(週に一度以上、外食する金銭的余裕はない)
Why don’t you go ahead and buy it? You can afford it.
(もう、それ買っちゃえば? あなたには無理なく買えるわけだし)
また、”afford”は金銭的だけでなく、時間や能力面で「~をする余裕がある」という意味でも使われます。下記のように、日本語では「~するわけにはいかない」といった感じです。
I can’t afford to lose any of my staff right now.
(今、スタッフの誰も失うわけにはいかない)
I can’t afford to take time off work anytime soon.
(当分、休みを取るわけにはいかない)
We can’t afford to leave anything to chance.
(何事も成り行きに任せるわけにはいかない)
* 「休暇」という意味の”holiday”はイギリス英語。アメリカの”holiday”は「祭日」という意味で、”Christmas holidays”と言えばクリスマスの休日(通常、クリスマスから1月1日まで)のこと。クリスマスとお正月が含まれているので複数。”Happy Holidays”も同様。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。