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今夏、アメリカで国内線に乗った際に、私の席に男性が(間違って)座っていましたが、こうした経験をしたことがある人は多いでしょう。最近では、日本国内でも、外国人観光客が増えたために、新幹線などで同様の経験をする人が増えているようです。「外国人は指定席であることを理解していない」と擁護する声もありますが、日本観光に関するネットコミュニティなどで見る限り、たいていの観光客は、飛行機と同様の仕組みであることを理解しており、「席がとれないと困るから、家族で一緒に座りたいから、事前に予約する」という人が大半です。ヨーロッパやカナダ、アジアの長距離列車でも、仕組みは同じですし。
そこで今回は、飛行機や列車で、自分の指摘席に人が座っていた場合に対処する英語表現を紹介したいと思います。
Excuse me, are you sure it’s your seat? (すみませんが、そちらの席で合ってますか?)
What seat number do you have? (何番をお持ちですか?)
I think that’s my seat. I have 4B. (そこ、私の席だと思うんですが、4Bです)
自分が間違って座っていた場合には、下記のような表現が使えます。
Sorry, my mistake. (すみません、間違えました)
Sorry, I was in the wrong seat. (すみません、席、間違えてました)
最近、アメリカでは機内で「席を替わってくれ」と言われたらどうするか、という論争がSNSでよく起こっています。「家族が一緒に座れるように席を替わってほしい」と頼まれて「断った」という乗客が非難を受けたりもしていますが、アメリカの場合、国内線の席を前もって予約するのは有料ですから、お金を払って前列や非常口座席(emergency exit row seat)を取ったのに、「なぜ無料で替わらなければならないのか」「家族一緒に座りたければ、お金を払って席をとるべきだ」「替わる必要はない」という意見は多いです。
もちろん、飛行時間や替わる席にも寄るでしょう。 厚かましくも、真ん中の席(middle seat)を通路側の席(aisle seat)と替わってくれ、と言う人など、世界にいくらでもいますので。
私も、アジアで飛行機に乗ると、よく「替わってくれ」と言われますが、お金を払って通路側を取っている場合が多いですし、断ります。替わりたくなければ、はっきり”No”と言いましょう。
Would you change/switch/trade seats with me? (私と席を替わってもらえませんか?)
No, I don’t think so. (いえ、できかねます)
No, I paid for my seat. (いえ、お金払って、この席、取ったんで)*
最近、SNSで出回っている動画に、アメリカの国内線で、前の人が背もたれを倒したら、後ろの人が怒ってテーブルをバンバンと前の席にぶつけるものがあります。それで、前席の人が怒って立ち上がり、後席の人が”I need my legroom”(脚を伸ばすスペースが要るからね)と言い争いになるのですが… 実際に、こうしたことで乗客同士でケンカになって、パイロットが空港に引き返した例もあります。**
アメリカでも、エチケットアドバイザーなどは「まずは倒していいかどうか後ろの人に聞いた方がいい」と言いますが、私は何十年も、アメリカ国内線を含め多数の国で乗ってきた中、聞いてきた人に出会ったことがありません。が、もし聞くのであれば、下記のような表現が使えます。
Do you mind if I recline my seat? (席を倒してもいいですか?)
“Yes, I do.”(いえ、困ります)という返事が返ってくる確率が高いです。
それよりも、倒していると、後ろの人から「席を戻してもらえませんか?」と言われる確率の方が高いです。
Could you put your seat back? (席を戻してもらえませんか?)
欧米であれば180㎝以上の人など山ほどおり、まずそういう人が後ろに座っていると、その人の膝が席にあたって(脚で席が倒れるのを防御している人も)、いっぱいまで倒せませんが。
エチケットアドバイザーが言うには、「座席スペースは年々狭くなっているので、席はできたら倒さない方がいい」「倒したい場合、後ろの人が食事中でないことを確認し、少しずつ倒す方がいい」ということです。突然いっぱいまで倒して、後ろの人の食べ物が吹っ飛んだ、パソコン(laptop)の画面が割れた、欠けたというケースもありますから。
* と言ったら、”Relax. I just asked” と言い返してきたマレーシア人女子がいた。
** アメリカの国内便では、ファーストクラスでも背もたれで揉めることもあり。
半年ほど前、台北~サンフランシスコのエバー(EVA)便で、座席を巡って乗客同士が殴り合いの喧嘩になったのが、世界的にニュースになったが、乗客同士、乗客対乗務員のトラブルは、アメリカ国内線では頻繁に起こる。コロナ禍で、機内でマスク着用を拒否した乗客が大ニュースとなった日本は、平和。(日本では「こんな些細なことがニュースになるの?」というケースが多々)
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。