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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(56)– Runoff

週末行なわれた自民党の総裁選では、一回目の投票で獲得票が過半数を超える候補者がいなかったため、上位二候補による決選投票が行われました。「決選投票」は、英語では”runoff election”と言いますが、単に”runoff”と表現される場合も多いです。

Mr. Ishiba won to be the leader of the ruling party in the runoff election.  He will be formally elected as the prime minister by parliament on October 1.
(石破氏が、決選投票で与党の総裁に選ばれた。10月1日に国会で正式に首相として選出される)

The economic security minister won the most votes in the first round of voting, but she lost to the former defense minister in a runoff election.
(最初の投票では経済安全保障担当大臣が最多の獲得票数だったが、決選投票で元防衛大臣に敗れた)

After not winning a majority in the first round, the two top finishers went into a runoff.
(最初の投票で過半数を得られなかったため、上位二人の候補の決選投票となった)

Mr. Ishiba won in a runoff against Ms. Takaichi after none of the nine candidates won a majority in the first round of voting.
(最初の投票で9人の候補の誰も過半数を得なかったため、石破氏は高市氏と決選投票となった)

The runoff between the two candidates will determine the head of the LDP, in turn Japan’s prime minister.
(二人の候補の決選投票で、自民党の総裁、ひいては日本の首相が決まる)

Ranked-Choice Voting

先月、スリランカでも大統領選挙が行われました。スリランカでは、優先順位投票制を導入しており、どの候補者も過半数を得られない場合、再度、投票するのではなく、得票の集計をやり直す方式です。

この制度では、有権者は候補に優先順位をつけて投票し、最初の投票と決選投票がまとめて行なわれます。スリランカの場合、有権者は1位から3位まで順位をつけ、最大3人の候補者に投票します。一回目の集計で「第一選好(first preference)」の過半数を獲得する候補者がいない場合、集計を再度、行ない、「第二選好(second preference)」または「第三選好(third preference)」として一位または二位の候補者を選んだ票が上位候補者に加算されます。そして、一回目の集計と二回目の集計を併せた得票数が最多の候補者が当選となります。

 「優先順位投票制」は、英語では”ranked-choice voting”と呼ばれます。3年前にニューヨークの市長選で導入されて話題になりましたが、それ以前から採用している州や市がありました。現時点では、アメリカの10数州、50以上の都市や郡(county)で導入されています。また、スリランカ以外にも、アイルランドやオーストラリアでも採用されています。

なお、スリランカの大統領選で、最初の投票で当選者が決まらず、再度、集計が行われたのは、歴史上初めてのことだそうです。

Sri Lanka’s presidential election went into the second round of vote counting for the first time in history.
(スリランカの大統領選で、史上初めて、二回目の票集計が行なわれた)

The leftist candidate won the runoff after the second round of counting.
(左派の候補が、二回目の票集計後、決選投票で勝利した)

優先順位投票制が生まれた背景には、過半数の票を得ない候補が選出されることを防ぎ、より有権者の意思を反映させることにあります。たとえば、2016年に同制度を導入した米メイン州では、20年にわたり知事11人のうち8人が過半数を得ずに当選しており、そのうち3人は獲得票が4割にも満たなかったのです。

その他、死票が減る(第一候補がダメでも、第二候補への票が生きる等)、決選投票にかかる費用を抑えることができるといったメリットがあります(ニューヨーク市の場合、2000万ドルの節約)。しかし、投票が複雑になるなどのデメリットもあり、アメリカでは優先順位投票制を禁止している州もあります。(1~3選好くらいまでならまだしも、5選好まで選べというのはキツイのでは)

<日本語の壁による情報鎖国>

世界では、スリランカで大統領選があったことなど知らない人が大半でしょうが… 日本で、ほとんど報道されていない事象に、先週、アメリカを襲ったハリケーンがあります。フロリダに上陸した際、2005年に1400人近くの死者を出したカトリーナよりも大型のカテゴリー4(最大風速 140 mph = 62メートル)でした。

その後、通過したジョージアなど近隣4州で予想以上の被害が生じ、現時点で死者は90人ですが、河川が氾濫したノースキャロライナでは、1000人以上が、まだ行方不明です。停電は5州で3万戸以上に及び、復旧には時間がかかりそうです。

フロリダには、8月にもカテゴリー1のハリケーンが上陸したのですが、それ(Debby)も今回のハリケーン(Helene)も、大西洋岸側を北上ではなくメキシコ湾内を北上するという珍しい進路でした。

また、9月だけでも、タイや、ポーランドやオーストリアを含む複数の中欧諸国など、世界のあちこちで死者の出る洪水が起きていますが(インスタに動画が流れている)、日本で報道されることは稀です。

こうして、他国の災害や政治的騒乱などが報道されないため、日本語オンリーの世界では、何も”なかった”ことになっており、自然災害などが起こるのは「日本だけ」という錯覚に陥るのだと思います。(「オールドメディアしか見ない」とシニア世代を見下している若い世代もいますが、彼らも驚くほど国際時事を知らない…。シニアの多くがスマホやニューメディアなどを使って情報をつかんでいます。)

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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