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保守化するZ世代-民主主義への懐疑

先月発足した高市政権は、今週末に行われた世論調査で82%という高支持率を得ています。先に行われた別の調査では、とくにZ世代(18~29歳)での支持率が高く、89%に達していました。さらに別の調査でも、18~39歳の支持率が80%で、若い世代ほど支持率が高くなっています。石破政権の支持率が年齢層が高いほど高かったのとは対照的です。

若者には、高市首相が「はっきり物を言う」「仕事が早い」「政策に期待できる」といった点が好感がもたれているようです。初の女性首相ということで、今までと何かが変わるのではないかという期待感もあるでしょう。

やはり若者の支持が高かった安倍政治の踏襲とされ、日本国内では「タカ派」、海外では”far right”(極右)、”ultraconservative”(超保守)、”hardliner”(強硬派)と称される政権が、若者の間で支持が高いというのは興味深いです。しかし、こうした傾向は日本に限ったものではありません。

アメリカ

昨年、トランプ大統領が再選された要因には、若者の支持があります。歴史的に若い層は民主党支持なのですが、昨年の大統領選では民主党(ハリス)候補との得票差は4ポイントに迫り、共和党大統領への若者の支持は、2008年以降最高となりました。2020年の大統領選では25ポイントの差があったのですが、その差を縮めたのは若い男性による支持でした。18~29歳の男性の56%がトランプ大統領に投票し、2020年に比べ大幅に増えたのです。歴史的に民主党支持の黒人男性の間でも、この年齢層は3分の1がトランプ大統領に投票しました。

現行制度への不満

こうした背景には、現行制度への若者の不満があります。昨年の大統領選挙前に行われた調査では、「民主主義が政府の最適の形」と答えた有権者は、58歳以上では69%だったのに対し、Z世代では27%だったのです。「民主主義は若者のために機能している」と答えた30歳未満の有権者は、わずか19%でした。

「現行の制度では我々の世代は幸せにはなれない。親の世代と同じようなチャンスは得られない」とアメリカの若者もエスタブに辟易しており、変化を求めているのです。バイデン前大統領にも、ハリス大統領候補を推した民主党エスタブにも、エネルギーや斬新さは感じられず、「古さ」「現状維持」の象徴と受け取られました。

若い男性の保守化

若い男性の間での共和党支持者の増加は、民主党支持者の減少としても表れています。31州の有権者登録を調べた調査では(2025年1月時点の登録)、民主党登録者数は若い白人女性の間では以前と変わらなかったのが(47%)、若い白人男性の間では49%が29%までに下がっているのです。*

歴史的に民主党支持の非白人男性でも、民主党登録率が66%から54%に減っており、若い男性の民主党離れが顕著となっています。

こうした傾向に関しては様々な考察があるのですが、「民主党は男性の女性化を求めている」「民主党は女性の党」(歴史的に女性の支持が多く、女性向け政策推進)「様々な社会問題が白人男性のせいにされる」といった男性による疎外感が要因として挙げられています。女性が大統領候補になる度に民主党を支持する男性が減る(男性候補になると戻る)ことを示す数字を挙げる人もいます。

ヨーロッパ

アメリカより、さらに若者の保守化(海外メディアは”右翼化”という)が叫ばれているのが、ヨーロッパです。

昨年、各国の選挙で(極右と呼ばれる)右派が台頭しました。フランスの国民連合(RN)は、昨年の解散総選挙(snap election)では、18~25歳の得票率が32%で、2022年の大統領選に比べ倍増しました。現党首はソルボンヌ大卒の29歳ですが、若者を党首にすることで、若い有権者の支持を得ることに成功しています。

やはりフランスでも、現行制度に対する若者の不満があるわけですが、フランスの世論調査では35歳未満の3割以上が「民主主義よりも優れた制度がある」と答え、他の年齢層よりも高くなっています。

ドイツに関しては昨年書きましたが、昨年の総選挙では、34歳未満の3分の1が”極右”のAfD(ドイツのための選択肢)に投票した結果、同党が第二党に躍り出ました。

オーストリアでも、昨年の選挙で、極右とされる自由党が34歳未満の有権者の27%を獲得し、ベルギーでは、フランダース地域(オランダ語圏)で、”極右”のフランダースの利益(VB)が躍進し、第一党と議席数を並べました。

それで、今年の参院選で参政党が台頭した際に、海外では「日本も右翼化かい?!」と報じられたのです。(元々、世界でも有数の保守の国だと見られているが、それがさらに保守化。)

なお、韓国でも若い男性は保守系政党を支持していますが、若い頃に学生運動にいそしんだ50~60代のリベラル派に対する反感があるそうです。

* アメリカで投票するには、大半の州で事前に選挙登録が必要。(州政府が認める中から)支持する政党の登録が必要な州もあり。登録制度は州によって異なる。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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