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カタカナで覚えるのはやめよう(1)― 発音も意味も違うSlash/Slush、Staff/Stuff

前回、slash/slasherについて説明しましたが、英語にはslushという言葉もあります。Slushとは雪が半溶けでドロドロになった状態を指します。転じて、スムージーに似たドロっとした氷の飲物の名前になっています。この飲物はslushie/slushyとも呼ばれます。

カタカナで覚えることの弊害

日本語表記だとslashもslushも「スラッシュ」になってしまい、音の違いを表すことができません。そのため、こうしたカタカナ英語を覚えてしまうと、二つの区別ができず、英語での発音がちゃんとできなくなってしまう可能性が高いです。実際に、そういう人が多く、スペルの間違いもよく見られます。

正確には、slashslushも日本語の「ア」の発音とは違い、「ア」の発音だと、slashslushのどちらなのかはっきりしません。

Slash/slushと同じような単語に、staff/stuffがあります。

Staff vs Stuff

ヨーロッパ系でもstaffとstuffの区別ができていない人がいますが、日本人を含むアジア系の間ではよく見られます。

Staffは「スタッフ」として日本語にもなっていますが、stuffの方は「モノ」という意味で口語で非常によく使われます。

How to sell your stuff online    (オンラインでのモノの売り方)

I like this kind of stuff. (こういうの好きなんだよな。)

We need more office staff. (事務所のスタッフの増員が必要だ。)

We need more office stuff.(もっとオフィス用品が必要だ。)

 動詞のstaffについては、「スタッフを配置する」という意味で、以前に説明しました。

動詞のstuffは「いっぱいに詰める」という意味で、stuffed animal(動物のぬいぐるみ)、stuffed chicken(詰め物をしたチキン)のように使われます。口語では、下記の表現もよく使われます。

  I’m stuffed. (お腹いっぱい。)

Staffは集合名詞

なお、英語のstaffを日本語の「スタッフ」と同じように使う人が実に多いのですが、個人を指す日本語のスタッフと違い、英語の Staff は部員・局員・職員を集合的に表します。

I have a staff of 15. (スタッフ15人を抱えている。)

 Accounting Staff といえば、経理部員全体のことであり、経理部員のことをいいたければ、Staff Accountant, Accounting Staff Member, Accounting Clerk などを使う必要があります。

私は、各国の宿泊施設やレストランのレビューを読むことが多いのですが、国にかかわらず、hotel staff, restaurant staffであるべきところをstaffsと複数形で書いている人がどれだけ多いか! 非英語圏では新聞でも使われていることもあり、正しく使えているのは、ほぼ英語ネイティブのみかも…  

「多くのスタッフがいる」という意味であれば、下記のようになります。

There’s so much staff at this cafe.(このカフェはスタッフが多いね。)

Staffが複数になるのは、複数の部署(グループ)のスタッフを指している場合のみです。 

All the departments need to double the size of their staffs.

(全部署がスタッフの数を倍増させる必要がある。)

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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