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タカシの外資系物語

“Frictionless Future”に向かって!(その1)2018.12.18

“Frictionless” とは何か?!


最近、“Frictionless”というコトバをよく見かけるようになりました。Friction(フリクション)というのは、某メーカーの「消せるボールペン」のブランドとして採用されていますが、本来は<こする><摩擦>という意味です。消せるボールペンは、ペン先の逆にある特性の消しゴムで、書いた文字をこすって消す仕組みなんですよね。ということで、“Frictionless”というのは、“摩擦なし”ということになります。

 

このコトバ、具体的には、以下のような文脈で使われます。

 

(1)The Future of Retail is frictionless (未来の小売業は、Frictionlessです)

(2)How frictionless digital technologies are transforming our business ?(Frictionlessなデジタル技術は、いかにしてわれわれのビジネスを変革していくのか?)

 

ここでいう<摩擦>は、何らかの<障害>あるいは<面倒くささ>と考えるとわかりやすい。(1)の典型例は、アマゾンでしょう。わざわざ店舗に出向かなくても、PCやスマホ上で、数回のクリックで欲しいものを購入することができる。それだけでなく、自分にとって興味がありそうな商品を、レコメンドまでしてくれる(ウザいときもありますが・・・)。

 

そして、アマゾンに代表されるようなビジネスモデルを支えているのが、(2)でいうようなデジタル技術ということになります。デジタル(Digital)というコトバはいろんな意味合いで使われているので、明確な定義が難しいのですが、「アマゾンで使われている技術」とざっくり考えるとわかりやすいと思います。

GAFA = 4騎士の意味とは?!


<面倒くさい>仕組みを<摩擦なし>にする! ビジネスモデル成功の要諦は、この一文に尽きると言っても過言ではないでしょう。ここ数年、世界を席巻しているGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字をとったもの)は、Frictionlessを極めることで大成功を収めたわけです。

 

ここでちょっと余談なんですけど、GAFAというコトバも、最近よく目にしますよね。このコトバ、日本人にとってはIT業界のトップ4企業を並べたものにすぎないのですが、グローバルでは違う意味合いを秘めています。重要なのは4という数字でして、これは新約聖書におけるヨハネ黙示録に出てくる4騎士を暗喩しているんですねぇ・・・。

 

Wikipediaによると、ヨハネ黙示録の4騎士というのは、以下の説明がされています。

 

ヨハネの黙示録の四騎士は、『ヨハネの黙示録』に記される四人の騎士。小羊(キリスト)が解く七つの封印の内、始めの四つの封印が解かれた時に現れるという。四騎士はそれぞれが、地上の四分の一の支配、そして剣と飢饉と死・獣により、地上の人間を殺す権威を与えられているとされる・・・(Wikipedia より)

 

何が面白いのかというと、「地上の人間を殺す権威を与えられている」という部分です。GAFAによって、人間が殺される?!というのは、すごく納得感があると思いませんか。グローバルの知識層というのは、こういうコトバ遊びで、世相を皮肉ったりしているわけです。

 

ちなみに、『聖書』というのは、グローバル知識層の常識です。世界を相手にビジネスをする場合には、必須の知識。だから、基本的なことは知っておいた方がいい。『アベンジャーズ』など、娯楽映画でも、ときどきわけのわからない表現とか、設定などが出てくると思います。そのほとんどは、聖書をベースにしていますので、聖書を理解することで、映画の楽しみ方も倍増します。参考文献は以下の通り。

・『「聖書」名表現の常識』等 講談社現代新書の石黒マリーローズさんの一連著書

・『聖書に隠された成功法則』(松島修 サンマーク出版)

 

ついでに言っておくと、可能なら、シェイクスピアも知っておいた方がいい。欧米の知識層において、シェイクスピアを知らない人はいません。「To be, or not to be, that is the question ・・・」って、何のことだかわかりますか? 参考文献は以下の通り。

・ 『あらすじで読むシェイクスピア全作品』(河合祥一郎 祥伝社)

・『シェイクスピア名言集』(小田島雄二 岩波ジュニア新書)

Friction × 人口 = ビジネス規模?!


話を戻しましょう。Frictionless = ビジネスの成功 ・・・ ということは、Frictionが存在するところには、ビジネスチャンスがある、ということになります。

 

例えば、中国。ほんの数年前までは、Frictionだらけの社会でした(今でもそうですが・・・)。そこにビジネスチャンスを見出したのが、アリババであり、テンセントです。そもそも、母集団のボリュームが違う! 人口1億の国と人口10億の中国では、同じことをやっても成功量が10倍違うということになります。この差は大きいですね。

 

時代はFrictionlessを求めているという状況については、理解いただけたと思います。では、日本はどうか? 実は、Frictionlessというキーワードに関していうと、日本は相当不利な立場にあります。次回のコラムにて、その理由についてお話ししたいと思います。

(次回に続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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