グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

タカシの外資系物語

外資流 タレント育成方法(その6)2018.10.30

HRテックを分類してみよう!!


(前回の続き) グーグルに代表される、世界トップクラスのIT企業では、人事業務における「Unconscious Bias(無意識の偏見)」と呼ばれる恣意性を排除することをはじめ、様々な目的のためにHRテックを採用しています。今回のコラムでは、HRテックがカバーしている機能を、網羅的にご紹介することにいたしましょう。


HRテックは比較的新しい分野だということもあり、定式化された分類が存在しません。ということで、私なりにカテゴライズしたものを、以下に提示したいと思います。


【HRテックの分類(奈良タカシによる)】

(1)採用(新卒・中途)

(2)研修・スキル管理

(3)評価・フィードバック

(4)リソース(労働力)管理

 

(3)と(4)の間に線を引いている理由は、(4)が異色だからです。その理由は、後ほどお話しします。


まず(1)については、グーグルの Unconscious Bias 排除の取り組みを見てもわかる通り、各社とも積極的に、HRテックの導入が進められている分野です。人為的な偏見を排除した上で、いかにしてApplicant(応募者)の能力・スキルを科学的に分析し、評価するか? ここが重要なポイントとなります。

東大卒か?! AI専攻か?!


Applicantの人物評価という観点で、中途採用と新卒採用を比較してみると、その難易度という意味では、中途採用の方が容易だと思います。なぜなら、中途の応募者というのは、何らかの成果をすでにあげているケースが大半であり、採用時には、その再現性を吟味することに力点を置けばいいからです。

 

一方、新卒採用というのは、社会人経験がない分、評価が難しい。だからHRテックを使って、中長期的な評価を、科学的に実施することになります。例えば、こういう母集団を採用したら、企業業績が〇〇となった。もう少し尖った学生を採用したら、業績は△△となって、向上(下降)した・・・ 等々、いわゆるPDCAを回して、新卒採用と業績、あるいは従業員満足度(ES)との相関関係をコントロールしていくわけです。

 

HRテックが定着していくと、タレント獲得という意味で、新卒採用の様相も変わってくると予想されています。特に日本の場合は、大学のブランドは重視しますが、学部、つまり専攻した内容は不問・・・ という採用スタンスがほとんどだと思います。しかし、これでは、HRテックの前提となる学生のプロファイル情報が少なすぎます。

 

人事にアナリティクスを導入し、PDCAを回していくためには、東大生を何人、慶大生を何人採用したから、企業業績がどうなった・・・ という発想ではなく、AI専攻の学生を何人、マーケティング専攻の学生を何人採用したから・・・ という見方が必要です。グローバルでは、すでにそうなっているわけで、日本のチャレンジは、大学ブランドではなく、専攻内容での採用に切り替えることができるか、という点が問われていくことになるでしょう。

いつでも、どこでも、好きな時間にやりたい?!


(2)については、みなさんが所属する会社でも、相当程度、HRテックが進んでいる分野ではないでしょうか。その背景には、Eラーニングの導入が挙げられると思います。いまや、座学を中心とした集合研修はほとんど見られなくなり、講義からテストにいたるまで、Eラーニングを使う企業が激増しています。

 

Eラーニングの効用は、集合研修に比べてコストが割安であるとか、テストの点数や受講結果を管理しやすいとか、いろいろとあるわけですが、私は以下が最大のメリットだと思います。それは、

 

いつでも、どこでも、好きな時間に受講できる

 

ということです。働き方改革が推進されている昨今、このメリットは非常に大きいと思います。

 

この流れは、社内向けの研修・トレーニングだけでなく、社外向けのサービスにも展開されています。その代表例が、「Webinar(ウェビナー)」です。Webinarというのは、ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語であり、オンラインセミナーとも呼ばれています。従来なら、どこかの会場に集まって、ときには参加費まで徴収されて、やっと受講できた外部セミナーが、手軽にWebベースで受講できるということで人気を博しています。

 

大手IT企業やコンサルティング会社を中心に、Webinarの活用が進んでいる一方で、専門のサービス業者も登場してきています。Schoo(スク―)などは、その代表格でしょう(https://schoo.jp/)。私もSchooのヘビーユーザーでして、週末の夜などにSchooが配信するセミナーを受講して、楽しんでいます。

 

あ、それと、私自身もFintech関連のWebinarを、所属するコンサルティング会社から配信してもらっているのですが、ご存知の方いらっしゃいますかね? このコラムで大っぴらにアナウンスできないのが残念なのですが、個人的にも、Webinarの盛り上がりを体感している次第です、はい・・・

 

次回のコラムでは、HRテックの分類(3)評価・フィードバックと(4)リソース(労働力)管理についてお話ししたいと思います。では!

(次回に続く)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

合わせて読みたい

---