グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

タカシの外資系物語

タカシの UK武者修行?!(その5)2018.07.24

世界初への敬意


(前回の続き) ロンドン、とある日曜日の夕暮れ時・・・(つっても、夜の10時を過ぎとるんだが・・・。この時期、ロンドンは日が暮れるのが遅い)。ヒースロー国際空港に着いたタカシは、宿泊先のホテルがあるRoyal Victoria に向かって、地下鉄に乗ろうとしていました。
 

ロンドン地下鉄(London Underground)は、またの名を Tube といいます。これは、円筒型の車両を指してのことなんですが、その昔、トンネルの形状に合わせて、目いっぱいの大きさで作った車両がこのTubeというわけ。なんとも愛嬌があっていいのですが、贅沢を言えば、少し狭い。つうか、かなり狭い。向かい合って座ってしまうと、その間を通る空間がなくなるし、立っている人も横並びで3人が限度です。もうちょっと、先のことを考えて、うまく作れよ・・・という気がするのですが、これはこれで仕方ないのかな、とも思います。

 

というのも、ロンドン地下鉄は、世界で最初に作られた地下鉄です。世界初・・・ということは、全て自分で考えなければならない。これはつらい立ち位置なんだと思います。見本・前例がない、ということは、教訓もない。「ああした方がいい、こうした方が合理的で快適だ」というのは後になって言えることであって、あれこれ批評するのはちょっと違うかな、と。世界初というフロンティア精神を前にしては、もっと違う対応もあるのかな、と思います。例えば、「先にやってくれてありがとう。経緯を表します!」とか。

 

ただし、後世の都市開発に多大な影響を与える交通インフラという観点では、もう少し慎重に考えても良かったかもしれません(どっちやねん・・・)。トンネルの掘削技術が進歩して、大きな空間を掘ることが可能になることを見越して、人間工学的に最適な四角い車両に入れ替える、という判断もあったかも。でも、私は世界最初ということをリスペクトしますけどね・・・。

 

いずれにしても、ロンドンは地下鉄が非常に発達しています。地下鉄の駅に置いてあるカラー刷りの地下鉄マップさえあれば、どこでも行けます。ロンドンに着いたら、まずは地下鉄マップをゲットする、

というのは必須ですね。

 

前回お話しした通り、私が目指す Royal Victoria という駅は、めちゃ遠い。地下鉄マップ的には、ヒースローからRoyal Victoriaは、端から端まで行くイメージです。が、マップちゃんさえあれば、何とかなる! 私は Bank という複数の線が乗り入れている駅で乗り換えることを念頭に、いざ、Royal Victoria に向かうことにしました。

初夏の夜、信じられないミステリーが?!


「なかなか着かんな、やっぱり・・・(T-T)」

 

イメージ、在来線の鈍行列車で、成田から横浜まで向かっている感じですからね、そりゃ時間かかります。でも! 私には地下鉄マップがある!! ま、そのうち着くでしょ、慌てない、慌てないっと・・・(一休さん風 って、古すぎて知らないか・・・(T-T))。

 

長時間にわたるフライトの疲れもあって、うつらうつらと睡魔が襲ってきます。が、さすがに、異国の地で電車に乗って、寝ることはない。パスポートとか、盗られたらたまりませんからね。Zzzz・・・って、寝とるやないかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ! いやいや、気を確かに持てよ、乗り過ごしたら大変じゃけん!!!(って、なぜか広島弁)。

 

乗り換えを予定している Bank という駅は、日本でいうと、大手町に該当すると思います。名前の通り、銀行をはじめとする金融機関の拠点が集まっているところでして、よくロンドンの金融街をシティと呼びますが、それはBank駅を中心としたこの地域を指しています。

 

ガタンゴトン 「よし、もうすぐ Bank だ」 ガタンゴトン

ガタンゴトン 「St. Paul’s まで来たぞ、次が Bank!」 ガタンゴトン

ガタンゴトン 「えっ?! Liverpool Street って、乗り過ごしとるやないかーーーー!!(T-T)」

想像以上に疲れていたのか、不覚にも、Bank を乗り過ごしてしまったようです。急いで戻らねばーーーっ!!

 

ガタンゴトン 「今度は乗り過ごすわけにはいかん、目をしっかり見開いて、Bank Bank Bank っと・・・」 ガタンゴトン

ガタンゴトン 「えっ?! St. Paul’s って、また乗り過ごしたの? まさか・・・」

 

Bank駅が消えた??!!

駅が丸ごと消えた!! ミステリーの謎解きは・・・?!


ロンドン北部に King’s Cross というターミナル駅があります。この名前を聞いて、ピンとくる人がいるかもしれませんね。King’s Cross駅 9と 3/4番線というと、もっと多くの人が気付くかも。そう、かの『ハリーポッター』で、ハリーたちがホグワーツの魔法学校に行く際に使った架空のプラットフォームのことです(実際に、King’s Cross駅9と3/4番線は観光名所になっていて、多くの人が訪れているようですよ!)。

 

しかし、King’s Cross駅9と3/4番線なんて、目じゃない・・・。今私が経験しているのは、Bankという駅が丸ごと消えてしまった! という、ハリーのダンブルドア校長レベルの大魔術なんですから!

 

Bank の一つ手前、St. Paul’sに再度戻った私は、おそるおそる、足早に歩く人に聞いてみました。多分、何を言っているのか、わからなかったように思います。だって、「Bank駅、どこいったんでしょう?」って、聞いているんですよ!!

 

ほとんどの人は、意味不明といった面持ちで、怪訝そうに立ち去ってきます。そりゃそうでしょうな・・・。で、ある人が、大声で、こう答えてくれました。

 

SUNDAY

 

なんやねん、それ・・・。わしゃ、犬か・・・(ミュージカル『アニー』に出てくる犬の名前が、SUNDAY)。SUNDAYって、そりゃそうよ、今日は日曜日。当たり前じゃん、今日は日曜日・・・って、あっ! まさか!!(T-T)

 

ロンドン地下鉄は、いくつかの駅で、“土日休業” というのがあります。土日は営業しない。Bank駅は、土日休業なんですねぇ・・・。よって、電車も止まらない。ははは、つまり、止まらん駅を挟んで、行ったり来たりしとったというわけ。振り子か、わしは・・・。1/f ゆらぎ かぁーーーーーっ!!(T-T)

 

結局、かなり遠回りをして、終電近くまでかかって、ホテルに到着。ちなみに、ホテル最寄りの Royal Victoria駅も土日休業でした・・・。ははは、わしゃ、伊能忠敬か・・・。めっちゃ歩いた・・・(T-T)

 

ということで、次回より、ロンドン出張本編に入ります! 乞うご期待!!

(次回に続く)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

合わせて読みたい

---