グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

タカシの外資系物語

男性社会は退屈だ!(その2)2018.02.13

歴史に見るすごい女性たち


(前回の続き)前回のコラムでは、「女性よりも男性の方が、地位・権力に固執する傾向が強い」よって「男性が実権を握っている社会では、新陳代謝が起こらず、停滞を招きやすい」という仮説について、芸能界で起こっている事実をもとに、私なりの解釈をお話ししました。今回は、より幅広い業界において、この仮説を検証していきたいと思います。


前回のコラムでもお話ししましたが、何らかの物事について男女を比較するという場合、最大のハードルとなるのが、「女性のサンプル数が少ない」ということです。これは、歴史上において、男性の支配が長く続いた証左でもあるのですが、勘違いしてはいけないのは、「男性のサンプル数が多く、女性のサンプル数が少ない」ということが「男性が女性よりも優れている」ことを意味しない、という点です。


サンプル数というのは、可視化できる指標、事象ということです。当たり前のことですが、世の中には、可視化できないことの方が圧倒的に多いわけで、有史以来、女性は可視化できる側ではなく、できない側で頑張っていたという言い方ができるでしょう。もっと言うと、可視化できる事柄というのは、実は短絡的・直接的で、レベルはあまり高くない。一方、可視化できない事柄は、戦略的・多重的で難易度が高く、かつ、組織や社会を支えるインフラとなっている。こう考えていくと、歴史の表舞台に出ていないがゆえの “凄み” というものを、大いに認識せざるをえません。


とはいえ、時折歴史の舞台に登場する女性は、今を生きるわれわれ現代人にも強烈な印象を与えてくれます。


- 日本史で言えば、卑弥呼は間違いなく、日本史上最初のリーダーといえるでしょう。また、鎌倉幕府の実権が実質的に尼将軍と呼ばれた北条政子の手にあったことは有名ですし、昨年のNHK大河ドラマの主人公 井伊直虎なども女性リーダーとしての印象が強いですよねぇ・・・

- 世界史で言えば、クレオパトラ、楊貴妃、ジャンヌ・ダルクなどは、すぐに名前が挙がる人物でしょう。私が注目したいのは、ナイチンゲールやマザー・テレサなど、自由・平等・博愛といった行動を実践した人物を輩出している一方で、西太后や文化大革命を主導した江青、ルーマニア独裁政権を影で操ったとされるエレナ・チャウシェスクなど、善悪両極端なケースが見られる点です。ただ、歴史というのは、後世の人が都合よく作り上げる性質があるので、一歩引いた客観的な評価が必要です。例えば、私が好きな女性指導者の一人に、エビータこと、エバ・ベロン大統領夫人がいますが、彼女の評価は、「アルゼンチンの民主化・近代化に貢献したものの、過激的すぎる」という感じで、良否真っ二つに分かれます。後者の「過激的すぎる」というのは、抽象的かつ男性のやっかみも入っている感じで、個人的には、眉をひそめざるをえませんが・・・

ビジネス社会にもすごい女性たちがたくさんいる?!


では、ビジネスの世界はどうでしょうか? ビジネスの世界は、政治やエンターテイメントの世界以上に、サンプル数が少ないため、確からしい評価が困難です。とはいえ、女性活躍推進やダイバーシティの流れもあって、いくつかの事例が出始めています。


まずは、女性経営者について見てみましょう。「ガラスの天井」といわれる通り、世界的に見ても、まだまだ女性の経営者は少数です。そんな中で、米ヒューレット・パッカードでは、カーリー・フィオリーナ氏に次いでメグ・ホイットマン氏と、複数の女性経営者を輩出しています。米IBMにおいても、バージニア・ロメッティ氏という女性CEOが誕生しています。また、米ゼネラル・モーターズといった重厚長大産業の社長にも、女性が登用されてきています。


日本においては、DeNAの南場智子氏が有名ですが、この方は創業者ですので、比較においては注意が必要です。大手企業では、女性の経営者はまだまだ少なくて、正直、パッと思いつく人がいません。日本マクドナルドのサラ・カサノバ氏ぐらいかな・・・ って感じです(ここで、「大手企業に絞っている時点で、古い、男性的な発想じゃないの?!」って、クレームしないでくださいね。今やっている比較作業自体が、古い、男性的な社会構造における、男女の振る舞い方についての話なので、大手企業を対象にした方がいいのです)。


さて、上記の女性経営者を眺めてみると、1つ気付くことがあります。それは、いずれの経営者も、非常に苦戦しているということです。唯一、日本マクドナルドは業績回復の兆しが見えますが、それ以外の企業は、極めて厳しい。このことは、女性が経営者であることと、何らかの因果関係があるのでしょうか?

女性経営者と企業業績の因果関係とは?!


結論からいうと、上記企業の経営が厳しいことと、経営者が女性であることは、ほとんど関係ないと思われます。なぜなら、上記企業の多くは、そもそも経営がかなり厳しい状況で、現在の女性経営者にバトンタッチをしたわけで、マイナスからのスタートなのです。だから、だれが経営しても厳しい。現況が回復していないのを彼女たちのせいにするのは、どう考えても酷だし、フェアではありません。


最近言われる女性活躍推進、ダイバーシティで少し気になるのが、「苦しくなったから、女性にバトンタッチしてみる」という傾向が、ややもすると見られる点です。女性はスーパーマンではありません!(そもそも、“マン” ではありませんが。じゃ、女性は全てがワンダーウーマンではありません! としましょうか。同じ「DCコミックス」系列だし、整合性も取れているでしょう・・・って、どうでもいい話ですが・・・)。


男性経営者がさじを投げるような状況で、「じゃ、やってみな。お手並み拝見!」とばかりに、女性に丸投げするのはいかがなもんか・・・。こういう局面こそ、意思決定は女性CEOに全権預け、内部の立て直しは男性COOが汗をかく・・・ といった体制が望まれるはずです。そういう説明の再建策があまり聞かれないのは残念です。先ごろ、苦境が報道されている米ゼネラル・エレクトリックの日本法人である、日本GEのCEOに、日本人女性が指名されたとのこと。是非とも頑張っていただきたいものです。

 

次回のコラムでは、経営者レベルではなく、現場における 男性社会からの脱却 についてお話ししたいと思います。では!

(次回に続く)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

合わせて読みたい

---