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タカシの外資系物語

あなたは“早帰りデー”を説明できるか?(その2)2017.09.12

“プレミアム・フライデー”の実態


(前回の続き)今年2月から、鳴り物入りで導入された“プレミアム・フライデー”。しかし、ひいき目に見ても、全く定着していないこと甚だしい現状なわけですが、諸外国では同様の制度をどのように運用しているのでしょうか?

前回のコラムでも述べたように、私は記念すべきプレミアム・フライデーの第一回目を、日本で体感することができませんでした。事後に、新聞報道や同僚の話等を参照すると、それなりに盛り上がったと聞いているんですが、実際のところはどうだったんでしょうかね?
 

あれから半年、現時点での盛り下がりぶりを見るに、所詮日本人にはこのような制度はそぐわないことは、火を見るより明らかに感じられます。

 

そもそも、「月末の最終金曜日」という設定に、結構無理があるように思えます。日本の商慣習では、「月末月初五十日」が忙しいとされており、「月末の最終金曜日」は、それに次ぐ繁忙日だと思います。その忙しい日に、なんかわけのわからない理由で早く帰宅せよ! と言ったところで、定着するはずがない。結局のところ、人事部だけが キーキーと目くじらを立てて、早帰りを促す一方、現場は全く冷めた状況で、いかにして遅くまで仕事をして、来るべき月末に備えることができるか? をせめぎ合う構図となります。ま、これでは、いかんですわな・・・。
 

この“プレミアム・フライデー”という制度、理念そのものに反対する人は少ないと思うんですよね。そもそも働きすぎの日本人、月末の金曜日ぐらいは、社会全体が仕事を早く切り上げて帰る、とすればいいんじゃないか・・・。ついでに、ショッピングや飲み会を奨励して、消費の喚起につながれば、なおいいんじゃないか・・・。でも、定着しなかった・・・、一体、何が悪いのか? 早帰り先進国の諸外国との比較でみてみましょう。

スペイン人が早帰りする理由とは?!


日本で第一回目のプレミアム・フライデーが実施された、ちょうどその日、私は出張で、スペインのマドリッドにいました。スペインというのは、生活に余裕があるというのか、良く言うと、生活にメリハリがある。悪く言うと、ほとんど仕事をしない、というお国柄でして、私が滞在した当日の金曜日も、午後3時には、ほとんどのビジネスパーソンは、オフィスからいなくなっていました。

 

私は所用があったため、自社のマドリッド・オフィスで仕事をしていたのですが、知らないうちに、周りの同僚のほとんどは、帰宅の途についていました。なかなか帰ろうとしない私に業を煮やしたのか、守衛のおじさんがトコトコとやってきて、仕事をやめようとしない私に一言。

 

守衛のおじさん 「まだ、帰らんのか?!(“早く帰ってくれないと、わしが帰れんじゃないか”感満載で・・・)」

私 「あぁ、そろそろ、ホテルに戻るよ・・・。 ところで、月末の金曜日って、いつもこんな感じなの?」

守衛のおじさん 「ん? 金曜日は、早く帰るもんだ・・・」

私 「それは、“ルール”なのかい?」

守衛のおじさん 「???」 ← 私の言っている “ルール” の意味がわからない。

私 「えっと・・・、どうして金曜日は早く帰るんだい?」

守衛のおじさん 「明日の準備をするためだよ・・・(“そんなこともわからんのか!”感満載で・・・)」

私 「明日の準備?!」

守衛のおじさん 「サッカーに決まってるだろ! 明日は、レアル(=レアル・マドリード)とバレンシアの試合があるんだぞ!! 早く帰って、ホームパーティの準備をしなきゃならんだろーーがっ!!」

 

つまり、スペイン人が金曜日に早帰りする主な理由は、翌日のサッカー観戦をする際の、パーティの準備をするためだ、というんです。

 

守衛のおじさんによると、スペイン・リーグの試合日程というのは、水曜日と土 or 日曜日となっており、

  • ・水曜日の試合は、さすがに前日からホームパーティの準備はしない。ただし、水曜日に会社を休む人は多い
  • ・週末の試合が日曜日の場合、金曜日は早帰りデーにはならない(2日前からパーティの準備をするやつはいない)。ただし、日曜日にひいきのチームが負けた場合、月曜日に二日酔いで会社を休む人は多い


とのこと。これって、信じられます??

早帰り後進国・日本に欠けている視点とは?!


つまり、こういうことなんです。 

 

「目的があるから、早帰りする!」

 

これに尽きるのです。家族や友人と一緒に、大好きなサッカーを楽しく観戦したい、そのために、早く帰って、パーティの準備をする、それだけのことなんです。目的ありきで、早帰りしているんですね。

 

一方、日本の早帰りデーというのは、目的ありきではなく、制度ありきです。これでは定着しません。そもそも、スペイン人にとってのサッカー観戦といったような、強いインセンティブが存在しないにもかかわらず、どうしても早帰りさせたい、休ませたいというのなら、法定の休日にでもするしかないのかもしれません。

 

2月に実施された、初回のプレミアム・フライデーが何となく成功したように感じたのは、多少なりとも、早帰りするインセンティブがあったからなのだと思います。1つには、初回なので守ろうか、と考えたこと。次に、真冬なので単純に早く帰りたいということ。で、もう1つ、ホワイトデーのお返しを買うという目的です。会社の管理職である年配の男性が、早帰りしやすいインセンティブがあったから、初回は何となく成功した。でも、それ以降は、そのようなインセンティブもなく、仕事を片付けたいということの方が勝った・・・、こういうことなんでしょう。

 

「早帰りする目的があるか?」「なぜ、早帰りするのか?」日本の企業、ビジネスパーソンに突き付けられた、この命題。次回のコラムでは、シリコンバレーやイスラエルのITベンチャーで働くビジネスパーソンを例に、日本人にとって示唆となる考え方をお話ししたいと思います。

(次回に続く) 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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