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タカシの外資系物語

PDCAの本質と外資系(その2)2017.05.23

もう1つの “A” とは?!


(前回の続き)「日本人は、PDCAサイクルの本質を理解していない」・・・元トヨタ自動車で現場経験が豊富なH先生のセミナーに参加したタカシは、そのことをまざまざと思い知るとともに、外資系企業の管理体制にこそ、PDCAの本質が活かされていることに気付くのでした・・・

 

  • ● PDCAサイクルとは?(Wikipediaより転載)

事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。この4段階を順次行って1周したら、最後のActを次のPDCAサイクルにつなげ、螺旋を描くように1周ごとに各段階のレベルを向上(スパイラルアップ、spiral up)させて、継続的に業務を改善する

 

トヨタの現場で、トヨタ生産方式を実務でバリバリ使っていたH先生。PDCAのコンセプトは、トヨタ生産方式にも活用されているということで、講義ではPDCAの説明もしてくださいました。で、その講義の中で、H先生がホワイトボードに書くPDCA の文字のうち、Aだけが他の文字より少しばかり大きく書いてあるのを疑問に思った私は、H先生に質問をしてみたのです。

 

私 「先生、1つ質問なんですが・・・そのPDCAのAの文字が少し大きいのは、重要だということを表しているんですかね・・・?」

H先生 「あ、これね。2つあるんだよ・・・」

私 「ふ、2つある・・・って、何が?」

H先生 「2つあるの、Aが!だから、大きくしているの。わかりやすく書けば、PDCAAっていうこと!!」

 

な、なんやねん、それ?!聞いたことないぞーーーっ??!!

 

H先生 「PDCAというのは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)と言われているけれど、実はもう1つ、忘れてはならないプロセスA があるんだよ!」

失敗も成果として考える!


私 「忘れてはいけない、もう1つのA って・・・なんすか、それ?!」

H先生 「それはね・・・

 

Achieve

 

 

H先生いわく、通常言われている PDCA というのは、単にグルグル回る一連のプロセスだけを指している。PDCAの本質は、その一連のプロセスを経過するたびに、螺旋を描くように、レベルを上げていくことにある。ちょうど、冒頭に記載したWikipediaの定義でいうところのスパイラルアップを実現する工程が必要であり、それが2つめの A、Achieve である。PDCAとは、本当はPDCAA であって、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)→ Achieve(達成)というプロセスをたどる・・・ということなんですね。にゃるほどーーーっ!

 

それともう1つ、H先生は非常に興味深いことを言っていました。“達成” というと、すぐに目に見える形での成果=プラスの結果を求めがちだが、それは違う。例えば、PDCAを回した結果、失敗したとする。その場合は、

 

「そういうやり方をすると、失敗するということがわかった」  つまり

「同じ失敗は二度と繰り返さない(はず)」

 

というのが成果となるので、失敗も成果となりうる、とのことです。これも、日本人には欠けている視点かもしれません。われわれは、とかく、PDCAの結果は常に成功という前提を置いてしまっています。だから、失敗を恐れて、なかなかPDCA を回そうとしない。管理手法に支配されて、身動きが取れなくなるだなんて、本末転倒もいいところなんですけどね・・・

外資が最後のAを多用する理由とは?!


外資系企業に勤めていて、最もよく使う単語の1つが、実はAchieve なんですよね。営業目標を達成したときには Achieveだし、それ以外にも、自分が何かやった/動いた/他者に働きかけた、その結果、何か反応があった(いい、悪い問わず)ときには、このAchieveという表現を使います。

 

外資では、とにかくAchieveを使っておけば、それなりに理解されるわけですが、そこには1つの条件があって、

 

「Achieveの前後で確実に何かがレベルアップしなければならない」

 

というのが、暗黙の了解となっています。つまり、H先生が言うところのPDCAA の最後のA が、まさに外資で多用されるAchieveに他ならない、ということです。

 

外資系企業というのは、常に目標数値の達成を求められます。しかし、百発百中というのはありえなくて、失敗することもままあります。しかし、失敗を恐れていては、成功すらおぼつかなくなります。だから、どんどん失敗のPDCA を回して、失敗という教訓を得ながらAchieveしていくのです。私は、これこそが、PDCAの本質なのではないかと考えています。

 

それともう1つ、トヨタの強さというのも、つまるところ、失敗もAchieveとして考えることができるか否か、に尽きると思います。外資が強い、トヨタが強い、というのは、結局のところ、一般的な日本企業が陥りがちな事象を克服できているかどうかという問題に収れんします。「PDCA って流行ってるけど、なんか腹落ちしないなぁ・・・」と思ったら、机上の座学から抜け出して、うまくやっている人、成功している企業の実例を見ることです。そうすれば、本質が見えてくる。これは、コンサルタントとしての、私の信念でもあります。では!

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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