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タカシの外資系物語

シンガポール出張顛末記(その5)2016.11.22

シンガポールに集まるのは?!


(前回の続き)久しぶりの海外プロジェクトで、頻繁にシンガポール訪問をすることになったタカシ。自身が統括するメンバーは、国際色豊かで、コミュニケーションにも一苦労なのです、トホホ・・・(T-T)

 
みなさんは、シンガポールという国に、どんなイメージを持っていますか? 

 

前回まで述べてきた通り、シンガポールという国は、国土狭い・資源なし・人口少ない・・・、という、“ないない尽くし” の状況を、徹底した国家統制・都市計画で克服してきた国です。人口が少ない国が国際的な競争力を高いレベルで維持し、先進国に伍していくためには、金融等サービス業で伸ばしていくのが得策です。スイスなども同じパターンで、競争力を維持しています。国力が落ちてからのイギリスも同様ですね。よって、シンガポールは金融業が盛んです。

 

金融が盛んな国というのは、いくつかの特徴があります。まず、ヒトとモノが集まってきます。ヒト・モノ・カネ って言いますもんね?集まる、といっても、定着するわけではなく、いわゆる “ハブ”(中継点)として、多数・大量のヒト・モノが行ったり来たりするわけですね。

 

ヒト・モノの往来を増やすためには、海外からの交通手段の受け皿 = 空港・港湾を整備する必要があります。だから、シンガポールの空港・港湾は世界有数の規模とレベルを誇っています。

 

まず、空港ですが、シンガポールは国土が狭いため、空港はチャンギ空港1つしかありません。しかし、その1つがめっちゃ大きく、レベルが高い。24時間発着可能な空港で、ショップも24時間空いている。ラウンジは、シャワールームがたくさんあって、長距離のフライトに備えての身支度も可能・・・ってことで、そりゃスゴいんですよ!航空関連の格付け調査を行っているスカイトラックスによると、2016年の「世界トップ100空港」において、チャンギ空港は堂々の第一位にランキングされています。空港だけでなく、シンガポール航空も、エアラインでは上位の常連ですよね。

 

次に、あまり知られていないのが、海運です。シンガポール港は、中国の上海港に次いで、世界第2位の貨物取扱量を誇っています(2013年 国土交通省調べ)。ちなみに第3位以降は、天津・広州・青島と中国の主要港となっています。中国の場合、荷揚げされる貨物の大半は、自国内で消費されるものだと想定されます。一方、シンガポールは、人口規模からして、その大半は、周辺諸国に運ばれる貨物を、ハブとして受けていることがわかると思います。

 

タカシだけが聴き取れない理由とは?!


さて、ヒト・モノ・カネが集まると、どうなるか? 仕事が集まってくるんですねぇ・・・、そして、給料も高くなる。だから、世界から優秀な人が集まってくる、そしてまた、仕事が集まる・・・という感じで、好循環が生まれるわけです。

 

事実、シンガポールのオフィス街を歩いていると、インド人と中国人が、めっちゃ多い。ここでいう中国人は、元々シンガポールにいた中華系の人々ではなく、中国本土から来た、最近成り上がったエリート層です。なぜそんなことがわかるかというと、元々シンガポールにいた中華系の人々は、仕事でも普段でも英語を使いますが、中国本土から来たエリート層は、仕事=英語、普段=中国語 を使う人が多い。だから、両者の見分けがつくというわけ。

 

上記のような背景から、私が担当するプロジェクトにも、インド人が3名、中国本土から来た中国人が2名参加しています。チームの構成は、以下のような感じです。

 

・ プロジェクト責任者 = 不肖 奈良タカシ(典型的な日本人)

・ プロジェクトマネージャー = フランス人1名

・ スタッフ = 日本人3名、シンガポール人3名(中華系)、中国本土から来た中国人2名、インド人2名

・ 技術アドバイザー = インド人1名

 

・・・結構大変なんだ、これが・・・(T-T) 

 

まず、英語・・・。わからんのだ、フランス人とインド人の英語が!泣ける・・・(T-T)(T-T)。何を言っているのか、一言もわからんときがある。一方で、フランス人とインド人同志では、意思疎通できている。つまり、私だけが理解しとらんということ・・・さらに泣ける・・・(T-T)(T-T)(T-T)

 

これって、日本人英語の典型的な弱点パターンなんですよね。名付けて、“アメリカ人が話す、流暢でゆっくりした英語しかわからん”  症候群。特に、30代以降に多い症状です。30代以降の人が受けてきた英語教育は、もっぱら アメリカ英語のみを勉強する、それがすべての世界。ま、アメリカ一国が超大国で、全てはアメリカ中心に動いているときはそれで良かったのかもしれません。しかし、ここ10年ほどで、その傾向は一変しました。世界は、アメリカ・中国の二大超大国時代に突入しましたし、IT分野などにおいて、インドの勃興も目覚ましい。単純に人数だけでいえば、アメリカ流の発音パキパキでカッコいい英語を話す人よりも、アメリカよりは英国に近い中国人英語やパラパラした感じのインド人英語を話す人の方が、世界的には多かったりするわけです。よって、最近では、TOEIC のリスニングでも、なまりのある英語や、雑音のあるシチュエーションでの会話を取り入る等、実状を意識した問題を作っているようで、いい傾向だと思います。そもそも、実際の会話では、テストのように身構えて必死に聴き取る・・・なんてこと自体、できないわけですからね。

 

「私、英語ができないんです・・・」を、何と表現するか?!


ま、英語はいいんですよ、何度も聞き返せばいいだけですから。もちろん、聞き返すことについて、いい顔はされません、「またかよ、こいつ・・・」的な、露骨に嫌な顔をされることの方が多いと思います。しかし、ここで屈してはいけない!わからんもんは、わからん!だから何度も聞く、文句あっか?!くらいの気持ちでいた方がいいです。

 

逆に、聞き取れない・わからないにもかかわらず、わかったフリして、それが露呈したときの方が、超・軽蔑されます。わかったフリというのは要するにウソですから、ウソつきと見られます。こうなると、関係を修復するのは至難の業です。ウソはいけない、だから、わからんならわからん、と言う、これが大原則です。

 

英語ができない、英語でのコミュニケーションが円滑ではない、ということについて、恥じることはありません。英語しか話せない人より日本語が話せて、片言の英語が話せる人の方が、すごいのです(ホントか?!)。自信を持ちましょう(実際には、英語ネイティブの人の大半は、他の複数の言語も、ネイティブ並に話せる人がほとんどなんですがね・・・)。

 

ただし、前もって、自身の英語が十分でないことを相手に伝えることは重要です。相手もそれを知れば、ゆっくりと話してくれます。そんなとき、何と言えばいいのか?

 

  • ● I cannot speak English ・・・は、NGです。ていうか、ウソつきです。しゃべっとるやないか!
  • ● I cannot speak English fluently ・・・は、NGではないですが、イマイチです。ネイティブでなければ、fluentlyであるはずないので。
  • ● My English is not perfect ・・・これがいい!英語ネイティブではない外国人が、よく使う表現です。

 

Perfect ではない、という表現は、日本人的には、“相当デキる” イメージがあると思いますが、英語の世界ではそうは解釈されません。英語では、程度を表現するのに、曖昧な表現を極力避けようとします。言い換えると、人によって、定義が異なるような表現はしないのです。だから、perfect かnot perfect か、二択の世界。できるか、できないか、それでいいのです。その事実を、胸を張って言えばいいのです。

 

次回のコラムでは、国際色豊かなメンバーとのやりとりを通じて、ダイバーシティやインクルージョンといった概念を考えてみたいと思います。

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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