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タカシの外資系物語

シンガポール出張顛末記(その4)2016.11.15

外資系企業は、海外で仕事をしない?!


(前回の続き)転職後、初の海外出張となったシンガポール。過去に何度か訪れたことのある、この国際都市にも、大きな変化の波が押し寄せていました。タカシが目にしたものとは、果たして何だったのでしょうか?

 

実は今、つまり、このコラムの原稿を書いている、まさに今、私はシンガポールの某ホテルにいます。前回の出張を受けて書き始めたこのコラム、ちょうど一カ月が経過して、またシンガポールにやってきました。そう、プロジェクトが始まったのです!

 

前回のコラムにて、海外出張が6年ぶりだと書きましたが、海外でのプロジェクトとなると、10年以上前のことになります。「えっ?!外資系のコンサルなのに、海外のプロジェクトって、そんなに少ないの??!!」と思われるかもしれません。しかし、現実はこんなものでして・・・、実はこれでも多い方なのではないかと思っています。

 

まず、外資系企業というのは、グローバルでビジネスを展開している企業を指すのであって、そこで働く社員がグローバルに活動するかどうかは、別の問題なのです。実際には、外資系企業のローカル支社のスタッフは、極めてドメスティック。私が所属する会社も同様で、グローバル企業の看板を下げているだけで、その実態は、日本の企業(クライアント)向けに、日本人のメンバーが、日本語でビジネスをしています。一方、海外プロジェクトというのは、自分の担当するクライアントが海外でビジネス展開をする場合に、その支援をするという形がほとんどですので、極めて少ない。実数でいうと、会社全体の1割以下ではないかと思います。

 

もちろん、外資系企業というのは、本社が海外にあって、仕事の進め方や方法論は、英語で記載され、運用されています。日本に駐在している外国人役員や、海外の同僚と会議をする際には、英語が標準語になります。よって、英語を使う機会はめっちゃ多い。日常的に英語を使っていると、それが日本であろうがどこであろうが、なんか  “グローバルで仕事をしている感” が湧いてきます。だから、そういう感覚で仕事がしたいなら、外資系企業で働くことをお勧めします。

 

一方で、本当に世界を股にかけて仕事をしたい、世界の様々な国で現地の人とコミュニケーションをとって成果を上げたい・・・というなら、外資系企業ではなく、私はむしろ、日系の中堅製造業や中堅商社の方をお勧めします。これら企業の海外ビジネスは、英語ができればいいというものではない。机上のプランなど、ほとんど役に立たない。いかにして臨機応変に対応できるか、その国の人々と仲良くなれるか、というのがポイントなので、英語力や学生時代の偏差値はあまり意味がありません。こちらの方が、エキサイティングであるという見方もできるでしょう。

 

外資系企業の日本オフィスで、英語を使ってスマートに仕事をする or 日系の中堅企業の海外担当になって、現地で泥まみれになって頑張る・・・どちらがいい悪いの話ではありませんが、前者によって得られるものは、それほど多くはない、というのが、私の経験則です。是非、参考にしてもらえればと思います。

 

オフィスに隣接するのは・・・?!


「一体、シンガポール国内に、いくつの ○○ があるんだろう? すごいな、こりゃ・・・」

 

久しぶりにシンガポールを訪れて、まず気付いたのは、このことでした。どこもかしこも、大規模○○があって、ホテルやオフィスに隣接しているんですよね。果たして ○○ とは何か?正解は

 

大規模ショッピング・センター

 

です。私は前回の出張中、クライアントと自社含め、4カ所のエリアに行きましたが、いずれのオフィスも大規模ショッピング・センターに隣接していました。

 

ここでちょっと整理。“大規模ショッピング・センター” とは何か? オフィスのある高層ビルや地下鉄の駅前には、従来から、それなりのショップが集まっていたのだと思います。しかし、ここでいう ショッピング・センターというのは、そのようなショップ群とは違う。これは私の勝手な定義なんですけど・・・

 

 ・ 駅に隣接というよりは、一体化している。ショッピング・センターの一部が駅という感じ

 ・ ほとんど同じブランドのお店が並んでいる。その大半は、グローバル・ブランドなので、日本にもある

 ・ フードエリアも豊富で、観光客や一般客だけでなく、ビジネスパーソンの来店も多い

 

最も壮観だったのは、チャンギ国際空港の横チャンギ・ビジネスパーク に隣接したONE@チャンギ・シティです。とにかく、広い!ここには、世界的なIT企業のオフィスや開発拠点が多数入っているので、平日でも相当混雑しています。私もここで、クライアントとランチを取りました。選択肢が多くて悩むほどの品揃え、いやぁ、こりゃスゴイ、スゴイ・・・

 

利便性・標準化と引き換えに、消えていくもの


シンガポールは、チャンギ国際空港をはじめ、街全体、国全体が、綿密な都市計画のもと、作られています。上記で説明した、

 

“国全体が大規模ショッピング・センター化”

 

は、国家計画の集大成なのかもしれません。

 

東京23区とほぼ同じ面積を有するシンガポール、そのどこにいっても、同様の利便性を享受できる・・・。これは、究極の “標準化国家” といえるのかもしれません。しかしその一方で、“個性” がどんどん消えていく。シンガポールの大規模ショッピング・センター、それとほとんど同じものが、日本にも存在します。それは、マレーシアのクアラルンプールにもあるし、タイのバンコックにもあるし、フィリピンのマニラにもある。どこに行っても同じ。便利だけど同じ・・・。これでいいのかな?って、気が、正直します。

 

大規模ショッピング・センターに出店するためのテナント料は、非常に高額だと言われています。だから、グローバル資本のブランドしか出店できない。地場のお店は一層僻地に追いやられ、早晩、淘汰されて姿を消していきます。日本の郊外で起こっている問題が、まさに、アジアでも起こっている。私たちの次の世代に、アジアの深淵なる歴史を伝えるまで、どうか、個性を残しておいてほしい・・・。そんな焦燥感に駆られる出張でした。

 

さて、次回最終回では、プロジェクトのお話をしたいと思います。今回、現地のチームに、インド人が複数参画しています。彼ら・彼女らのパフォーマンスは、いかに?では!

(次回続く)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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