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タカシの外資系物語

素直に “ I’m Sorry ! ” と言うために (その2)2016.06.28

英語の謝罪を分類しよう!

 

(前回の続き)前回のコラムでは、「外国人相手に “ I’m sorry ! ” と言ってはいけない。なぜなら、自分で一方的に非を認めてしまう恐れがあるから」という、巷でまことしやかに語られる都市伝説に対して、実際はそうではない!というお話をしました。そう、外国人は、その職責・ランクに関わらず、それなりに謝罪するし、“ I’m sorry ! ” も口にします。しかし、彼ら・彼女らが謝罪を口にする場合には、必ずいくつかの諸条件を伴っています。さて、その条件とは、どんなものなのでしょうか?

 

まず、基本的な知識として、言葉の 意味(≒語感)を理解しましょう。日本の英語教育では、“ I’m sorry ! ” は、「ごめんなさい」と画一的に訳されます。ただし、一口に「ごめんなさい」と言っても、「わりぃ、わりぃ!」から「申し訳ございません、深くお詫びいたします・・・」まで、お詫びの深さというか、そのニュアンスは様々だと思います。英語の謝罪文・イディオムについても、いろいろなものが紹介されていますが、私は以下の3パターンを覚えておけば、ビジネスも含めて十分だと思います。

 

①    Excuse, me ・・・「すみません!」もう少し、大きな声で話してください・・・てな感じ。これは謝罪というよりは、コミュニケーションを円滑にするための常套句みたいなもんです。

②    I’m sorry ・・・「ごめんなさい!」 水をこぼしてしまいました・・・てな、感じ。ここからが謝罪の範疇ですね。

③    I apologize that  ・・・「申し訳ございません、深くお詫びいたします!」フォーマルな感じ、ビジネスで多用されます。私自身、仕事でよく使います・・・(T-T)

 

もちろん、言葉というのは態度やシチュエーションによって意味も微妙に変わってきますから、そのあたりの機微・場の空気を読むことは必須です。ビジネスの現場で、“I apologize” ばかり使っていると、なんか謝罪ばかりしているようなイメージがして、Mr. Apologize とか呼ばれるのがオチですのでご注意を!(外資には、そういう人多し・・・)。

 

話し言葉においては、プライベートもビジネスも “ I’m sorry ! ” でいいと思います。その度合いに応じて、so、 very、deeply などの形容詞を補うと、カッコがつくと思います。

 

外国人が謝罪に至る流れを理解する

 

さて、本題に入りしょう。Sorry だろうが、Apologize だろうが、外国人が謝罪を口にする際には、必ず “ある条件” をクリアしています。“ある条件” とは何か?それを説明する前に、外国人が謝罪するに至るロジック(過程)について、以下に示します。

 

(1) 自分が関与している事案について、他の関係者に損害や不快感を与えるトラブルが起こった(結果認識)

(2) トラブルの原因を調査したところ、自分ないしは自分が管理すべき組織が原因の一端を担っていることがわかった(原因認識)

(3) 自分ないしは自分が管理すべき組織が原因となった理由(チェック不足、作業不備等)を理解し、そうならないための具体的な対策および工程表を作った(改善対応)

 

まず、外国人が謝罪するのは、早くても(2)以降、多くは (3) の段階まで来ないと具体的なアクションはしません。つまり、自分に非があることを自分の腹に落とし(原因認識)、なぜそうなったか?そうならないためにどうすればいいか?(改善対応)を説明できる状態にあること、というのが、外国人が謝罪をする 条件 なのです。

 

上記のように書き下してみると、極めて当たり前のことに感じると思います。しかし、いざ当事者の立場になると、結構難しいんですよね、これが・・・。

日本人によくありがちなケースとして、まず、(1)の段階で、フライング気味に本格的に謝罪してしまう、というのがあります。もちろん、特にビジネスにおいては、自社の商品やサービスに関係する事案において、だれかが不愉快な思いをする事象が起こったら、それに対する謝意は言った方がいい。初動段階では、今のところ原因は特定できないので何とも言えないが・・・というのを強調して、コメントする程度ですかね。(2)に至って初めて、謝罪 していいレベル。(3)においては、本格的に謝罪しつつも、多くの時間は対策の説明に使う・・・これこそ、外国人の定番パターンだと思います。

 

日本人の謝罪プロセスにスピード感がない理由

 

あと、(1) → (2) → (3) に至るスピード感も重要です。日本人は、(2)の特定および(3)の作成が、極めて遅い。その結果、対応が後手に回って、自ら不利な状況を作ってしまうのです。

 

(2) (3) が遅れる理由はいくつかあって、1つには、「悪いのは だれ か?」の押し付け合いをするからです。言い換えると、「私は悪くない」の実証に走ってしまう。ま、人間なので、そういう行動に出るのもわからんでもないですが、こと、企業の不祥事の場合には、A常務が悪い、いやいやB専務の方が悪い・・・などと言い合っていても、あまり意味はない。問われるのは企業という組織の善悪なので、内輪もめは後回しにして、企業としての対応を考える方が先決なのです。

 

もう1つ、対応が遅れる理由として、「訓練・シミュレーションをしていない」というのがあります。有事の際に、だれが広報の窓口に立つか? 社内調査を仕切るか? 改善案をまとめるか?そういった役割分担を事前に決めておかないと、あたふたと空回りするだけで、大事な時間が徒労に終わってしまいます。このあたりの事前準備は、やはり欧米企業に一日の長があるように思います。

 

むやみに“ I’m sorry ! ”と言うべきではない・・・これはまさに、その通りだと思います。では、“ I’m sorry ! ” と言うべき条件は何で、タイミングはいつなのか?・・・この問いに回答できる日本人は非常に少ない。国際社会でサバイバルするためには、こういう要素も重要です。真にタフなグローバル企業となり、グローバル人材を育成するために、日本社会が取り組むべき課題として、「有事の対応と謝罪の仕方」というのは、喫緊の必須課題だと思っています。では!

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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