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タカシの外資系物語

タカシの “転職はツラいよ!” (その6)2016.05.24

“出入り禁止” の意味するところ

 

(前回の続き)このシリーズの最終回として、外資における転職で、最大の論点となる現勤務先との“契約”について、前回に引き続いてお話ししたいと思います。

 

まず、「特定クライアントへの “出入り禁止”」についてお話ししましょう。ま、これは当たり前といえば、当たり前の話だと思います。現勤務先にしてみれば、転職者にクライアントごと持っていかれたのではたまったものではありません。一方で、転職者の立場に立ってみると、前職時代に少しでも接点のあったクライアントに対し、未来永劫 “出入り禁止” !とされたのでは、転職後に仕事が極端に制限されてしまいます。よって、

 

「どういうクライアントに対して、転職後どの程度の期間、どのような接点 を持つことを禁止するのか?」

 

を、具体的・定量的に取り決めることになります。例えば、以下のような感じです。

 

・  過去1年間において、実際にFEEの支払いがあったクライアントに対して、

・  転職後1年間 

・  実際にFEEの支払いが発生する可能性がある提案活動 に関与しない

 

このような取り決めは、外資に関わらず、日系企業の転職者においても普通に行われていると思います。「1年間」 という期間の妥当性についてはなんともいえませんが、私がいるコンサルティング業界などは、1年もすればアイデアが陳腐化する傾向が強いので、ま、こんなもんだとコンセンサスを得やすいように思います。一方で、特定のアイデアやソリューションが長期間にわたってスタンダードとなりうる業界なら、もっと長くなるでしょうし、具体的な製品や特許などが絡んでくれば、個別に取り決めを行うことになると思います。

 

1つコメントしておくと、実はみなさんが思っているほど、ガチガチで、杓子定規的な取り決めは行いません。特に外資の世界は狭く、転職者が転職先で新たなビジネスを展開してくれる可能性も高いため、それを阻害する恐れがあるからです。締める部分は締めるが、がんじがらめにはしない、ということだと思います。

 

転職者に期待する “Proof” って、何?!

 

それともう1つ、転職する立場から言わせてもらうと、そもそも、元の会社から何かを持ち出して、出し抜いてやろう・・・ という意識は毛頭ありません。転職先も、そんな人は欲しくないと思うんですよね。Business Ethics(職業上の倫理観)が希薄な人というのは評価されないし、当然のことながら、転職先で成功する可能性も低い。

 

もちろん、企業秘密や守秘義務といった契約、ルールを順守することは絶対です。そのルールの中で、いかに複数企業の技術やアイデアをつないで、新たな価値を生み出すことができるか・・・? 昨今流行りのオープン・イノベーションというのは、そういうことなんだろうと思っています。

 

さて、ここで問題です。同業のA社とB社があって、B社はA社からの転職者を積極的に採用しているとします。この場合のB社の最大の目的は何だと思いますか?

 

前述の通り、B社はA社の情報やクライアントそのものが欲しくて、転職者を採用しているわけではありません。なぜなら、A社からの転職者がそういうことをできないよう、転職前に契約を取り交わしていることぐらい、百も承知だからです。

 

同じ業界での転職の場合、「育成コストがかからない」というのは、大きな魅力です。第二新卒などに期待するのは、この部分が大きいでしょう。しかし、私のような シニアなおっさん の場合は、いまさら育成云々の話でもない(だれが、おっさん やねん!)。では、何か? それは、「事業の “再現性”」です。A社とは異なる 商品・サービス・ソリューションを、あなたならではの方法で販売し、A社時代と同じ成果を上げてほしい・・・、B社の期待は、これに尽きると思います。

 

外資では、「~の “再現性”」のことを、proof of ~ と言って、非常に重視します(“Proof of concept” などは、ここ数年、非常によく使われる言葉でして、ITプロジェクトの開始にあたり、その効果を実証するような作業のことを指します。POCと略す場合もあります)。外資の経験者採用で最も重要なことは、この “proof of ~” です。転職活動の面談で、前職で成し遂げた成果を声高らかにアピールするよりも、前職と同様の成果を、いつでも、どこでも、どんな商品・サービスでも、だれに対しても、再現できることを伝える方が100倍評価されます。例えば、独自の営業手法やテンプレートを持っている、困ったときに助けてくれる社外コミュニティがある、効果的なリスク管理プロセスを実践している・・・等々、自分以外の人が聞いて納得でき、かつ、具体的な方法、それが proof ということだと思います。

 

結局、タカシはどうして転職したのか?!

 

最後に、「“競合先” には転職しないこと」について説明します。ここまでお読みいただいたみなさんならご理解いただけると思いますが、実際問題として、競合先にも転職はできます。これは、私なんかを参照するまでもなく、世に有名な経営者の多くが、同業他社を渡り歩いていることを見れば、一目瞭然だと思います。

 

ここで、転職される側の企業が言いたいのは、「転職するな!」ではなくて、「転職するなら、勝手にせい!ただし、ちゃんと “ルール” を守れよ!! わかってると思うけど!!!」ということなんですよね。これについても、常識的なセンスと倫理観があれば、取り決めに抵触することはないと思います(上級役員が転職する場合には、いったん 縁もゆかりもない業界の会社に、一時的に転職して、しばらくしてから、本命の会社に転職し直したりすることもありますが、レアケースだと思います)。

 

さてさて、長期にわたって、今回の転職に関するお話を書いてきました。友人からも幾度となく「・・・で、なんで転職したの?」と聞かれるのですが、実はうまい回答が思いつかない・・・。決して、適当にやっているわけではないんですけど、転職が実現するときって、えてしてこんな感じなのではないかと思ったりもしています。

 

今回、転職に至ったポイントを上げてみろ、と言われたら、以下のような感じでしょうか・・・

 

・   あれよあれよという間に進んだので、「これも運命かな・・・?」と思ったのは本音

・   前職が長くなり、閉塞感が出ていたのは事実。新しい職場で、心機一転やりたかったのも事実

・   転職によって、給料は 若干だが 上がる見込み。給料については、前職の1.3倍にならないと転職しない!と公言していたが、そうそううまくはいかないと実感・・・(T-T)。しかし、少しでも給料が高い方が魅力なのは事実

・   転職先の上司は40歳半ばでして、私にとっては生まれて初めての年下のボスです。実は、このことは私のポリシーと合っていて、リーダーたるもの、少なくとも、10年後も自分が存在するであろう(つまり、何事もなければ、あと10年は働き続けるであろう)組織でなければ、真剣に長期的なビジョンを考えないと思う。だから、上司が年下になったというのは、私にとっては、転職の大きなポイントになったのも事実かな・・・

 

結局のところ、胸を張って言えるような、カッコいい理由なんてないわけで。この成否は、今後、自分で作っていくものなのかな、と思っています。

 

新しい会社に勤め始めて、すでに1か月半が経過しています。次回以降、新しい発見をみなさんにお伝えしていければと思います。引き続き、『タカシの外資系物語』をよろしくお願いいたします!

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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