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タカシの外資系物語

タカシの “転職はツラいよ!” (その4)2016.05.10

6年前に昇進したタカシ

 

(前回の続き) 前回の転職から、早や12年・・・。前回と比べ、転職先企業の面接相手の “レベル(職階)” が格段に上がり、あらためて、月日の経過を実感したタカシ(気付いたら、あと2年で 50歳 やんけーーーっ!(T-T))。 ま、普通にステップを上がっていれば、それなりに対応が変わっていて当たり前なのであって、前回と同じことを要求されるようでは困るのですが・・・。 今回のコラムでは、面談相手のレベル 以外 の部分で、前回の転職と異なっていた部分について、いくつかお話しすることにいたしましょう。実は、これからお話しする部分への対応が、予想以上に大変だったんだよねぇ・・・

 

私は前職の外資系コンサルにおいて、今を遡ること6年前の 2010年にパートナー(役員) に昇進しました(2010.05.11 『パートナー(役員)になろう!(その1)』 参照のこと)。 これはこれで、それなりに大変だったので、外資系コラムにおいても、何回かのシリーズでご紹介しています。

 

当時のコラムを読むと、そのときの私の心境やすったもんだ が素直に表現されていて、実に面白いというか今とほとんど進歩がなくて、情けない・・・(T-T) コラムによると、パートナーに昇進する際、私が面倒だ・・・(ハァ)、ハードだ・・・(フゥ) と思ったのは、以下の3点だと書かれています。

 

(1)  役員による面接

(2)  上司(自分より上位にいる人)による推薦書作成

(3)  外部機関による調査

 

(1) は当たり前なので、説明省略。 (2) もありがちと言えばそうなんですが、日系と違うのは、推薦書の “枚数” に条件がある、ということでしょう。私のときは、「5通以上」 という条件がありました。一説によると、この翌年から 「3通以上」に条件が緩和されたのだが、それでは 甘い!ということで、最近また、元に戻そうという動きがあるとかないとか・・・。ま、ここで重要なことは、“3通か、5通か?” ではなくて、“複数” の上司から推薦書をもらわないといけないということなんですよね。パートナー昇進の対象者から見て上司ということは、要は 役員 を意味します。つまり、役員に昇進したいのならば、複数の現役役員たちから、推薦書をもらってきなさい!ということなのです。

 

外資におけるこの制度、私はなるほどねぇ・・・ と膝を打ったものの1つです。複数の役員から推薦書をもらえるということは、懇意にしている役員が複数存在するわけでして、これまでに複数のエリアで、それなりの仕事をしてきたことが伺えます。また、声の大きい役員が ゴリ押し で昇進させようとしているわけでもなく、なんとなく 合議制 的な雰囲気を醸し出してもいる。 もともと、外資系の法律事務所やコンサルティング・ファーム における Partnership というのは、出資者としてのパートナーが合議制で経営方針を決めていく伝統に基づいていますので、現在のルールにも、その一端が見られるということなのでしょう。

 

初めてのSPI ?!

 

(3)は当時、かなり面喰いました。外部の調査機関を使って、私の人物調査 を行うというものなのですが、その内容は以下のものでした。

 

●  私がこれまで解いた中で、最も難解な SPI (適正検査・知能テストみたいなやつ)

●  英語で性格診断

●  英語でロールプレイング

 

実は私、それまで SPI というのをやったことがなく、どうやっていいのか、よくわからなかったんですよね・・・。なにぶん、“初物” に弱いもんで、すみません・・・ うちの奥さん(私より6歳年下)に聞くと、

 

「SPI を知らない、という事実が信じられない!」

 

らしく、つまりは、相当適当な就職活動しかして来なかった(というか、売り手市場すぎて、就職活動をしていなかった?)から、SPIを知らんのではないか、という結論に至りました。そういえば、昨日、スタバで私の前に座っていた就活生と思しき女子大生も、分厚いSPIの教本を持っていましたっけ・・・

 

で、私が生まれて初めて受けたSPI、めっっっっっっちゃ 難しかったんです、これが! 一緒に受験した同僚に聞いても、「あんなに難しいSPIなんて、初めてだ!」 と言っていましたので、本当に難しかったのだと思います。加えて、昇進試験をナメ切っていた私は、その前日に、クライアントの役員と3次会まで呑んだくれたもんですから、超二日酔いで目まいグルグル、もうちょっとで吐きそうになりながら、受験したのを覚えています。

 

個人的には、SPIの有効性については、肯定でも否定でもないですね。一定レベルの地頭、要領のよさ、手先の器用さ、判断力・・・ を見るにはいいでしょうが、この成績の高低を測っても、大して意味ないのでは? と思います。中学受験の経験がある人は、高得点を取るんじゃないかな、と思います。 ま、その程度の話ですな・・・

 

会社と交わす “一筆” には注意せよ!

 

さてさて、本題に入りましょう。6年前のパートナー昇進時、私がやったのは 上記(1)(2)(3)だけか、というと、実は肝心なことを忘れていました。 パートナーに昇進するのと同時に、会社と “ある契約” を結んでいたのです。わかりやすく言うと、“一筆書かされた” わけです。その内容は多岐にわたるのですが、重要なことは、当時はほとんど中身を理解せずにサインしていたということ。いやぁ、大変・・・ その契約内容が、転職時に思いっきり効いてくるとはねぇ・・・

 

転職時に 「うそーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!(T-T)」 となる、痛い(!)契約というのは、以下の通り(原契約は英語です。日本語でニュアンスをお伝えしますね)

 

 

私こと、奈良タカシ は、パートナー昇進に際し、昇進後に他社へ転職した場合は、以下について了解いたします

 

①    パートナー昇進後に獲得した “報償” を放棄します

②    退職前に接点のあったクライアントに対しては、退職後は一切出入りしません

③    会社が規定する “競合先” には転職しません

 

・・・ どうしましょ? まともに解釈したら、仕事できない、っつうか、転職そのもの ができないし! 

 

ま、ご安心を! 外資に勤める人で、それなりの役職にある人は、ほぼ同様の契約に縛られています。でも、転職し、仕事も続けているわけで・・・。次回のコラムでは、その 秘密 についてお話ししたいと思います。

 

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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