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タカシの外資系物語

インド人CEOが続出する理由(その2)2015.09.15

ラマヌジャンがナンバープレートを見たら・・・?

 

(前回の続き)インド人が国際ビジネス社会で成功する理由として、

 

インド人は計算や数学が得意 → インド人は論理的に思考する人が多い → よって、ビジネス社会で成功する!・・・ 

 

という、あまりにも 短絡的 かつ ステレオタイプ の 発想を捨てるため、インド人の友人にインタビューを重ねるタカシ。そんな中、インド人の同僚Aから、「インド人=数学、という発想から抜け出るのは同感。だけど、インドで一番有名な数学者である ラマヌジャン については、調べてみたほうがいいよ」 というアドバイスを受け、早速調べてみると・・・ 非常に興味深いことがわかったのです!

 

みなさんは、車で渋滞しているとき、どんなことをして気を紛らわせていますか? 我が家では、前や横を走っている車の ナンバープレート の数字を使って、ゲームをしています。そのゲームとは、「ナンバープレートの数字を使って、“10” を作る」 というもの。基本は 四則計算(加減乗除) だけで10にするのですが、四則計算だけでは限界がある。そんな場合は、「累乗」(例:3の2乗=9) もありとします。結構盲点なのが、“0乗” でして、いかなる数字も、その0乗は “1” なんですよね。ここまで使えば、95%以上のナンバープレートは、合計 “10” にできるように思います。うちの子供も四則計算なら何とかできるようになってきたので、渋滞時には、家族で計算競争をしています。

ちなみに、うちの車のナンバーは 「 ・426」 です。さて、どうすれば “10” にできるか? 実は、四則計算では無理なんですね。解答は・・・ 4の2乗(または、2の4乗) - 6 = 10 です!

 

インドの天才数学者である ラマヌジャン を語る際、必ずと言っていいほど引き合いに出される、ある驚異的なエピソードがあります。 ある日のこと、体調を崩して入院しているラマヌジャンのもとに、同僚のハーディー(この人も天才数学者なのですが・・・)が見舞いに行きます。ハーディーが乗ってきたタクシーのナンバーが “17 29” だったので、二人は以下のような会話を交わします。

 

ハーディー 「つまらない数字だね。ちょっと考えてみたんだが・・・」

 

(タカシ解説) つまらなくはない! 2 × 9 - 1 - 7 = 10 じゃないですか! って、それはいいとして・・・ 話を進めましょう!

 

ラマヌジャン 「そんなことはありませんよ。とっても興味深い数字です(ほら!)。二つの立方和として二通りに表せる最小の数字ではありませんか!(なんじゃ、そりゃーーー!(T-T) By タカシ)」

 

ラマヌジャンが “しなかった” こと

 

ちょっと解説しましょう。立方 というのは、3乗 のことです。和 というのは 足し算 のことなので、立方和 というのは、3乗の数字どうしを足した合計 を指します。それが、二通りに表現できる数字のうち最小のものだ、と言っているのです。

 

  • ●1729  =  12 の 3乗(1728) + 1 の 3乗(1) ・・・一通り目

    =  10 の 3乗(1000) + 9 の 3乗(729) ・・・二通り目

1729 より小さい数字で、上記のように二通りの表現ができるものはない!

 

ラマちゃん、すごすぎるやん・・・(T-T) 確かにスゴイ! 奈良家直伝 足して “10” ゲーム の比ではありません!!

 

天才数学者ラマヌジャンは、数学研究の最高峰である 英ケンブリッジ大学に招聘され、最先端の研究を進めます。ラマヌジャンは、数々の先駆的な “公式” を次々と発表するのですが、その功績とは裏腹に、学界ではラマヌジャン排斥の動きが出てきます。なぜか? それは、ラマヌジャンは、自身が発見した公式の大部分について、その “証明” を行わなかったからなのです。

 

“証明”、イヤ~な響きですよねぇ・・・。学生時代、苦労した方も多いのでは? 私もそうでしたから、よくわかります・・・(T-T) しかし、公式や定理が数学的に正しいと認められるためには、その公式や定理を一般化・普遍化して、証明しなければなりません。しかし、ラマヌジャンはそれをしなかった。

 

ラマヌジャン 「円周率πの近似式として、63(17+15√5)/ 25(7+15√5) という式を発見しました! どうよ、スゴイだろ?!」

同僚 「どうして、その式の答えが円周率πの近似式だって、言えるんだい? 証明は?」

ラマヌジャン 「証明? どうしてそんなものが必要なんだ?! 実際に、πに近似してるんだから、それでいいじゃん・・・」

 

自分が発見した公式・定理に対して、頑なにその “証明” を拒んだラマヌジャン。結果、彼はケンブリッジを追われ、失意のうちに、その32年の短い生涯を終えるのです。

 

ラマヌジャン が重視したこと

 

ラマヌジャンの生き様は、現在に生きるわれわれに、何を示唆するでしょうか? 実は私、上記のエピソードを知って、ものすごく納得したんですよね。「あるある、これ、インド人の特長だ!」って・・・

 

まず、ラマヌジャンは、その気になれば、“証明” できたと思うんですよ(想像でしかないですが)。それをあえてしなかった理由は、以下のようなもんだと推測します。

 

(1)   “証明” をしている時間がもったいない。それよりは、公式・定理を量産した方がいい、と考えた ・・・ 実際に、ラマヌジャンはものすごい量の公式・定理を発表しています(ただし、“証明”なし)

 

(2)   仮に、100に1つぐらい、証明を通して公式・定理の不備が発見されたとしても、別にいいではないか。それよりも、量とスピード感を重視した

 

(3)   “証明” なしには、数学として認めない、という、西洋中心のアカデミズムの伝統に挑戦した(というか、バカにしていた)

 

次回のコラムでは、私が海外での研修で実際に出会ったインド人の言行を通じて、ラマヌジャンとの共通点、そして、インド人が国際ビジネス社会で勝ち抜くのに適した発想とスキルを持っていることの理由に踏み込んで生きたいと思います!。

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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