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タカシの外資系物語

Singularity って、何?(その2)2015.07.07

弁護士・会計士の憂鬱

 

(前回の続き)AERA 2015/6/15号に掲載された特集記事『AIでなくなる仕事』において、「10~20年後に“なくなる仕事”」が列挙されています(英オックスフォード大学 オズボーン准教授らの論文「雇用の未来」からの引用)。世の中に存在する、いわゆる事務的な仕事の大半は、早晩、AIに奪われてしまう!という過激な内容に加え、タカシの予想では、それは10~20年後ではなく、少なくとも5年後には起こると考えられる。それも、かなりの確からしい理由によって・・・ヒョエーー、ブルブルブル!では、衝撃の本編にコマを進めることにいたしましょう・・・

 

話を始める前に、再度、「AIの台頭によって 10~20年後に“なくなる仕事”」の特徴を見ておきましょう。

 

【10~20年後に “なくなる仕事”】

(1)   保険引受時の審査担当、銀行の新規口座開設担当者、保険金請求時の審査担当、証券会社の一般事務員、銀行の融資担当者、クレジットアナリスト・・・ 等々、銀行・証券・保険といった金融関係の仕事が軒並みランクインしている (前回のコラムにて、コメント済み)

 

(2)   不動産登記の審査・調査(宅建主任者・不動産鑑定士)、税務申告代行者(税理士・公認会計士)、弁護士秘書、簿記・会計・監査担当者・・・ 等々、いわゆる“士業”といわれる難関資格保持者の仕事が軒並みランクインしている

 

(3)   時計修理工(アナログ時計が激減するから)、映写技師(アナログフィルムが激減するから)、モデル(PC上でCGの擬似モデルに服を着せれば事足りるから)・・・ 等々、ロボットが人間の仕事を奪うというよりも、技術革新によって、対象となる仕事そのものが様変わりするようなものもある

 

 

(2) について・・・、いやぁ、キツイなぁ、これも・・・。でも結局のところ、“士業” の仕事って、膨大な知識 or 過去事例(判例等)の提供であり、そのほとんどは、回答が一意に求められるものなので、AIの得意分野そのものなんですよね。

例えば、企業の経理情報をクラウド環境に保存して、会計ソフトが財務諸表を自動で作成する・・・なんてのは、すでに実用化の真っ最中ですし、情報が電子化されてさえいれば、数値の妥当性や会計上のアドバイスに至るまで、AIで十分に事足りるわけで、人間が介入する余地などありません。他の “士業” も同様でしょう。

 

AIに涙する人間?!

 

個人的には、刑事訴訟に関わる裁判や弁護、言い換えると、“人を裁くプロセス” については、AIが主導権を握ることに違和感を覚えます。AIが人を裁く、人間に刑を与え、自由を束縛し、駆逐する・・・ これではSF映画そのもの、シャレになりません。

 

実務的には、クロスボーダーのM&Aを扱うような企業法務も、人間が介入する余地があるかもしれません。このあたりの分野って、法律の知識云々というよりは、駆け引き の世界なので。もちろん、ゲーム理論をベースにした、論理的な駆け引きならば、人間はAIには勝てないのでしょうが、“行動経済学” で明らかにされつつある、「人間の非合理な行動」については、AIも手が出ないのではないかと思います。でも、非合理な部分だけ人間が勝つなんて、なんか逆説的ですね。

 

ま、いずれにしても、弁護士や会計士のようなエリートが、その地位を脅かされる時代が来ているということです。私は 士業 と呼べるような資格を持っていません(宅建は持っています。銀行員時代に取りました。あと、簿記2級も大学時代に取りました。しーくりくりしー です ← わかる人だけ笑ってください・・・)が、この事実は重い。あれだけの苦労をして取得した難関資格が、AIの台頭で無力化するわけですからねぇ・・・。

 

(3) は既に始まっています。例えば、映画をはじめとするエンターテイメントの世界なんて、その典型でしょう。ご存知の通り、昨今の映画は、CG と 3D が主体となっています。俳優陣は特殊なレオタードを身につけて、黄緑色の部屋に入って、「えいっ!」「やーー!」 と、無味乾燥な演技をします。その後、コンピュータ上で、メイク・衣装が施され、ありえないアクションが追加される。もう、なんでもありの世界です。

 

一方で、初音ミク に代表されるような、バーチャルなキャラクターが出てくると、もはや俳優すら必要なくなる。われわれは既に、人間が全く登場しない ヒューマンドラマ を観て涙し、AIに対して黄色い歓声を上げているわけで、この分野に関して言えば、人間は違和感なくAIを受け入れることができるように思います。

 

AI化を加速する“国家イベント”とは?!

 

さて、以上のような変化は、本当に実現するのか?また、その時期はいつなのか?という問題について考えてみましょう。

 

実現度合については、既に実現されている分野、また、その萌芽が見られる分野が大半であることから、かなりの度合でAI化が進むことは、みなさんも同意されるのではないでしょうか。問題は、その時期です。私は、それは10~20年後 ではなく、少なくとも 5年後 には起こると考えています。なぜか?

 

歴史的・経験的に見て、科学技術というのは、“国家的イベント” によって、加速的に進歩します。“国家的イベント” の最たるものは“戦争”です。第一次大戦を経て、航空技術が飛躍的に進歩しました。第二次大戦では、暗号解読に伴う数学・コンピュータの進歩、そして、核技術の進歩。続く、東西冷戦時代には、宇宙の覇権を巡る技術の進歩。逆説的ですが、「戦争が技術進歩を加速し、戦後世代が、その進歩の恩恵を受ける」 というのは、事実なんだろうと思います。

 

では、AIを加速する“国家的イベント”とは何か?幸いなことに、現在、世界的な戦争は起こっていないし、ここ数年の間も、起こらないでしょう(・・・と、期待も込めて!)。では、戦争に準ずる、“国家的イベント” があるのか? あるんですよ! それは・・・ 

 

東京オリンピック

 

です。オリンピックを東京で行うことによって、AIは加速的に進歩します。その理由は・・・

 

まず、言語の問題があります。日本においても、英語を公用語とする動きは始まっていますが、これは一朝一夕にはいかないでしょう。となると、翻訳・通訳に関するAIの技術が加速的に進歩せざるをえません。英語の通じない国に、英語をはじめとする、様々な母国語をベースにした人たちがやってくるわけですからね。

 

次に、日本で実施されるオリンピック、というのが大きい。日本は、AI および ロボットの先進国です。ハード部分だけでいえば、おそらく世界一でしょう。ソフトバンクの孫社長が、「Pepper(ペッパー)」という高機能ロボットに多額の投資をするのも、これを見据えてのことです。

 

東京オリンピックによって、AI化が加速する。つまり、5年後の2020年には、AIがブイブイと幅を利かせている世界がやってくるということです。だから私は、「10~20年後ではなく、少なくとも5年後だ」と言っているのです。

 

さて、科学技術というのは、“進歩”にばかり目が行きがちですが、“管理” も並行して行わないと、人類にとって、取り返しのつかない悲劇を生じさせかねません。その典型例は、核技術でしょう。次回のコラムでは、AIをいかに“管理”するか?という大問題について、“Singularity” というキーワードを説明しながら解説していきたいと思います。あと、われわれの仕事の将来像についても考えることにいたしましょう。

 

(次回続く)

 

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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